第91話 青い空と海
美しい海と青い空が広がり、アラン達は、歓声をあげていた。
ハンターの溜まり場の村ディケを出て、小さな村を2箇所泊まった後、大きな森を抜け、小高い丘が現れた。先が見えない丘を登りきると南のパルネラ州の海が目の前に広がったのだ。
パルネラ州は、横に大きく広がる州で、常に観光客や、商いに訪れる人で賑わっている。
右側には、大きな船が停泊していて、左側には、白く広がるビーチが遠くまで続いている。
その先には、森とその森に続く山が見える。
その森と山には、数多くの鳥獣の生息地で、ニゲル種の次に、ハンターに人気の羽のある魔獣ピガラの生息地だ。
アラン達は、早速、宿屋を決め海へと繰り出す。
スタンとボッサが、凄い勢いで海に向かい、海に足が浸かった瞬間、また凄い勢いでアランのもとに戻り、海を凝視している。
初めての波にびっくりしたようだ。
「スタさん、ボッサ、大丈夫だよ、おいで。」
アランが裸足で、海に入るとスタンとボッサは、波際まで慎重に来たが、波は思った以上に勢いよくスタンとボッサをずぶ濡れにした。
アランも、ズボンの裾を捲っていたのにずぶ濡れになった。
「うぉ、凄い濡れた、スタさん、ボッサ、乾かすぞ。」
アランは、魔法で乾かそうとしたが、スタンとボッサは、海が気に入ったようで波際を2匹で走り回っていた。
アランは、自分の服だけ乾かし、砂浜に座ってスタンとボッサを見ていた。
「おい、本当にいたよ。」
寝癖のついた髪の毛が、歩く度に揺れる眼鏡をかけた青年が、頭を掻きながらアランに近づいて来た。
側には、ニゲル種が歩いている。
「お前、いつからハンターになったんだよ。」
アランは、笑いながら手を差し出した。
寝癖の青年は、アランの手を軽くタッチして横に座るとニゲル種も座った。
ニゲル種は、かなりのお歳のようで、黒毛に白い毛が混じり、疲れたようにヘナ座りすると頭を砂地に横たえた。
「こいつは、サンダーだよ。先日、亡くなったハンターが連れてたんだけど身寄りがなくて、なんとなく引き取ったんだよ。こういう子預かるところあるんだけどさ……。」
青年は、サンダーの頭を優しく撫でた。
「年取って感傷的になったんじゃないか?」
アランが微笑んだ。
「バカ言え、同い年だろ。」
青年も笑った。
スタンとボッサが、アランのもとに戻って来た。
「なんだよ、お前もハンター気取りかよ。スタさん元気にしてたか?」
青年は、スタンとボッサをもふもふする。
「こんな小さなニゲル種を連れたハンターがいるかよ。……まぁ、俺もなんとなくだけど……。この子はボッサだよ、ボッサボサのボッサ。」
アランがボッサを撫でる。
「相変わらず、センスがねぇな。」
ふたりが笑い合っていると、アランを呼ぶ声にふたりは振り返る。
「ポールとニーナだよ。新人ハンターで、一緒に東のリネルト州ジャイロに向かっているんだ。」
アランは、ポールとニーナを紹介する。
「コイツは、タイラー。俺の幼馴染だよ。」
アランが紹介するとタイラーは、ふたりに向かって軽く手を上げた。
「なんだよ、師匠にでもなったのかよ……。」
「んな理由ないだろ……。」
「そうだ、俺の城に案内するぜ。」
タイラーが立ち上がる。
アランとタイラーは、肩を組み合い笑いながら歩き出した。
「……城?」
ポールが呟く。
「家ってことよ……。」
ニーナが、ポールの肩を叩いて歩き出した。
「なんだ、家かよ。」
ポールは、笑いながらニーナに追いつき、アレクサンダーもやれやれとポールの横についた。




