第89話 ハンターの溜まり場
アランが乗る馬車は、南への中継地点の村、ディケに到着した。
この村は、ハンター達の為にある村だ。
ただ、村と言っても、ひとつのだだ広い建物があり、その周りを壁で囲い、魔獣の襲撃に備えている場所だ。
東への道に立ち塞がるようにそびえ立つ2つの大きな山と森、川や滝が人を寄せつけず、魔獣が多く生息する。
時より、人を襲う魔獣が近くの村や町に現れる。魔獣も手強いのばかりだ。
その為に、この山々に近いディケと言う村は、腕に自信のあるハンターの溜まり場だ。
「スゲー!なんだよこの広さ。」
ポールは、口をあんぐりと開けて、広い室内を見渡した。
1階には、ギルドの受付やインフォメーション、カフェがあり、広い室内の真ん中には、テーブル席やソファが置かれハンターや魔法使い達が談笑したり、次のギルドの依頼を確認したり、若いハンターがチームに入れてもらおうと交渉したりしている。
ここでは、新人だけで、ギルドの依頼を受けることは出来ない。
ベテランハンターに、自分を売り込み、なんとかギルドの依頼に参加させてもらおうと若いハンターが集まって来ているのだ。
1階には、魔導具を扱う店や装備品を扱う店、薬草屋、医者、魔獣用の医者、食堂などがあり、2階には宿泊施設、3階には、警備施設があり、魔獣からの攻撃に備えている。
この建物の警備も、ギルドの依頼が出されているので、若いハンターは、ここでお金を稼ぎながら、ベテランハンターへの交渉ができるのだ。
アランは、食堂で食事をしながら、この施設や、ここでのギルドの依頼がどんなものかをポールとニーナに話していた。
スタンやボッサ、アレクサンダー、チルチルも食事に励んでいる。
この施設では、魔獣達の食事も最高の食事が用意されているらしく、みんな夢中で食べている。
アランは、スタンとボッサ達を見た。
お前さんたちは、働いてないだろうに、まったく。
「おい、アラン。安心して旅が出来ただろう。」
金髪長髪髭面ハンターが、食事をするアランの肩を叩いた。
「そうだね、中々いい腕してるじゃん、あの新人くん。」
アランは、正直に答えた。
「あぁ、結構スジがいい。馬車にいた魔法使いも、地面に立てばまぁまぁいいぜ。」
金髪長髪髭面ハンターは、むさ苦しい姿で、爽やかな笑顔を見せた。
「あの、デカい魔獣は?」
ポールは、気になって気になって仕方がなかったことを聞いた。
「ギルドの依頼を受けたハンター達が倒したぜ。お前さんもいつか来るか?
」
「あぁ、連れていってくれ!」
ポールは、興奮して立ち上がっていた。
「あぁ、来いよ。頑張る奴は、歓迎だぜ。なぁ、師匠さんよ。」
長髪髭面ハンターは、ウィンクして、立ち去った。
ポールは、立ち上がったまま、長髪髭面ハンターの背中を見つめていた。
おいおい、俺は師匠じゃねー。




