第85話 南かよ
アラン達は、ミーティア州の端にある町ケディアにいた。
そこから馬車に乗り、東のリネルト州に入る予定、だった。
ケディアの町のオヤジが言うには、姫様の体調が良くなり、雪山の雪がゆっくりと溶けているようで、川が増水したり、地盤が悪くなったりしているので通るのは危険だから止めとけとの事だ。
これでも姫様が、雪崩や洪水にならないようにしてくれているので、俺等は安心して暮らせると言っていた。
……俺は、幸せじゃないけど。
「いつ通れるの?」
アランが諦めたように聞く。
「雪が溶けきる前に、また冬が来るからなー、……春になったらだな。」
オヤジが、笑った。
笑えねーよ。
だけど、ミーティア州の気候は安定しそうだな……。
「他に、東に行くルートは?」
アランが、オヤジに聞く。
「ダント経由だな。」
「ダント!南の町じゃねーか!」
アランは、思わず叫んだ。
ラシフィコ州からリネルト州の間に山があり直線でリネルト州に行けないから、北経由で来たのに、山の周りをグルっと辿って、南の州から行けとオヤジは言っている。
アランは、がっかりした。
「……アラン、南経由しかないから、そのルートで行きましょう。」
ニーナが、がっかりしているアランの背を撫でた。
「俺も頑張るからさ。」
ポールが、珍しく静かに声をかけた。
「ありがとう。頑張るか。」
アランは、ようやく笑った。
……なんか俺、相当、酷く落胆してたんだな。
まぁ、あまりに遠回りするから、がっかりしたけど、仕方がないよな。自然には勝てない。
……2人がいて良かったな。今回は、助けられた。
「しかし、南かー。楽しみだな。海があるんだろ!」
ポールがいつも通りに、伸びをしながらニーナと話している。
本当にお気楽だな。南に行くまでの山近くが危険なんだよ。
あいつら、まだ魔獣図鑑買ってねぇーな!
スタンとボッサが、楽しそうに走り回っている。
アランは、頭を抱えた。
くっそー、俺のまったり旅返せー!




