第83話 美術館
アランと姫様は、美術館の館主に案内を頼んだ。
身分は、内緒にしている。
姫様と魔獣、州都の歴史を聞きたいとリクエストを出していた。
ちょうど年配の館主なので、聞きもしないのに、良くも悪くも色々な話しをしてくれる。
だが、姫様と魔獣、この街への愛情は、強いもので、姫様も気分良く聞いている。
例えば、世の中が、戦いに明け暮れた時期、ミーティア州は、中立の立場で戦いに出るのを拒んだ。
その為に、隣のリネルト州が、ミーティア州を攻撃した。
しかし、姫様が魔法を使いリネルト州の王宮の一部を凍らせ、攻撃をするなら、リネルト州ごと凍らせると脅し、リネルト兵は撤退せざるをえなくなり、二度とミーティア州に攻撃をする者はいなくなった強き初代姫様の話しやお祭り好きで、花の祭典や氷の祭典などたくさんの華やかな祭典をした姫様の話し。
そして、ラシフィコ州との戦いにもなった史上最悪の姫様として知られ、最後は、姫様同様、選ばれたパラデニア種によって、首を噛み切られ生涯を終えた姫様の話し。
……そのパラデニア種がソフィーだ。
その後、次の姫様が、11歳で魔獣を怖がったことから、ソフィーは檻に閉じ込められたようだ。
11歳の姫様は1年で、亡くなった。
詳しくは、記されてないが、自分で命を絶ったと噂だ。
それ程昔ではない為、確かなのかもしれない。
史上最悪の姫様から、ミーティア州は、不安定な状況が続いていた。
先代の姫様は、頑張ったがソフィーを檻から出さなかったことで、アリッサと同じく体調を崩していったのだろう。
アリッサも、あのままでは、病気の為、または、精神的に追い込まれたに違いない。
美術館の絵は、すべての姫様があるのか分からないが、ほとんど姫様は、室内なので王宮で描かれたのかもしれない。
だが、何枚かは、やはり外で描かれている。
確かに共鳴していたが、やはりどちらかと言えば、ハンターとニゲル種の相棒と似ているのではないだろうか。
ソフィーは、帰ってこない。
動物は、主人に死に様を見せないと言われているが、もしかしたら……。
いや、魔獣は、長生きだから、そのうちふらっと帰って来るかもしれない。
今度こそ、きっと最強な姫様と相棒になれるのかもしれない。
そうなってほしいな。それで、彼女が幸せであれば……。
アランは、絵を見る美しい横顔を見た。
「笑っている姫様が多いわ。……分からないではなく、知ろうとしていなかったのね……。」
アリッサは、絵画を食い入る様に見ている。
アランは、少しだけ寂しいい気持ちになった。




