第77話 チルチル
ニーナは、昨夜のことをまるっきり覚えていないようだ。
何事も無かったように、姫様が心配だと言いながら、朝食をとっている。
「地下に行ってみようぜ。まだ調べて無い所は地下だけだ。」
ポールが、提案するとすぐニーナが賛同する。
2人は、日に日に、姫様のことしか話さなくなった。
「アランは?」
ニーナが、アランを見る。
「俺は、これから姫様のところだよ。」
アランは、日課となっている体を温める魔法をかけに姫様の所に行くのだ。
気が滅入る。
姫様は、質問はするが、質問されると遠慮なく断る。
まったく可愛げがない。
笑ったり、怒ったりもしない。
笑ったら、もっと美しいだろうに。
……いかん、いかん。
さてと、行くか。
質問の内容を考えれば、ただ単に外への興味、そして……。
毎日、城の中。
ラシフィコ州のオッサンは、宮殿の外によく遊びに出てたみたいだけど…。
姫様は真面目なんだろう……。
あんなオッサンと比べたら可哀想だな。
しかし、可哀想とか言ってられない。
ガツンと言ってやらなきゃな。ガツンと……。
アランは、姫様のいる部屋へと向かった。
いつもの様に、アランは部屋へ通されて、姫様と対面している。
2人だけの空間。
……。
「姫様、お話しを聞いていただきたい。」
アランは、姫様の手を取り体を温めながら、お伺いではなく、依頼口調で問いかけた。
……無視かよ。
アランは、もう一度彼女に話しかけようと口を開く。
「何も、聞きたくないわ。」
彼女は、アランを見ず、いつもの様に伏し目がちに横を向く。
……拒絶。
アランは、ため息を吐いた。
アランは、姫様の頬に手を当てると、キスをした。
姫様は、驚き、目を大きく開いてアランを見て、口を小さくパクパクしている。
「……ぶ、無礼な。」
姫様は、アランの頬にある手を払い除けようとする。
アランは、軽々、姫様の手を掴む。
「無礼で結構。」
アランは、姫様の手を掴みながら立ち上がる。
「アラン、助けて!チルチルが居ないの!一緒に歩いていたはずなのに…、気がついたら…。」
ニーナが、ニーナを止めようとした侍女と一緒に部屋に飛び込んで来た。
また、自分のミスでチルチルを危険にしたとパニック寸前のようだ。
ニーナの後ろには、ポールが悔しそうに立っていた。
「……案内していただきましょうか、姫様。」
アランは、酷く腹を立てていた。




