第73話 王宮
もうすでに暗くなり、ライトアップされた王宮を前に、アラン達は、口をあんぐり開けて上を見ていた。
「スゲーな。」
ポールが呟く。
「綺麗ね。」
ニーナが、感嘆の声を漏らす。
ガラスかな……。
氷の城と呼ばれる城は、夜の暗闇に、ライトアップされた明かりのなか、青白くそびえ立っていた。
本当に美しいな……。
アランも、感嘆の息を漏らした。
州兵に促されて、アラン達は王宮の中へと歩きだした。
別に、王宮に来たからといって、姫様に会える訳でもないのだから、緊張する必要もないとアランは、スタスタと州兵の後を歩いた。
時間がかかると言われた通り、王宮の2階にある部屋を与えられた。
各自、1部屋で、3部屋続き部屋だ。
アランの部屋の両脇から、声が聞こえる。
「うぉー。」
「わー。」
きっと、姫様の部屋に比べたら小さな小さな部屋とされる部屋に、アラン達は、驚嘆していた。
スタンとボッサを抱きかかえたままのアランは、今すぐ、ゲージに入れたい気持ちになっていた。
……何もかも高そうー。
だけど、勝手に連れて来たんだから、俺は、もう知らねーからな。
アランは、スタンとボッサを下ろした。
スタンとボッサは、赤い絨毯の匂いを嗅ぎながら、恐る恐るアランの回りを歩いている。スタンが、ベッドに向かう。
スタンは軽々ベッドに登ると、ふかふかの布団に埋もれながら進み、枕まで到着すると、枕の上で横になった。
慎重にベッドの近くまで進んだボッサも、ようやくベッドに飛び乗り、ふかふかの布団に埋もれながら、スタンがいる枕に向かおうとしている。
「おいおい、お前ら、その枕は、枕で、お前らのベッドじゃないからな。」
アランは、ベッドに腰掛け寝転がる。
「何これ、眠ったまま、もう一生起きれなそう。」
あまりの気持ち良さに、アランも睡魔に誘われる。
「あー、もう、このベッド、人間をダメにするな。」
アランが、ゴロゴロしていると、ドアがノックされた。
ドアの外には、州兵ではなく、城に従事する者達が立っていた。
州都に遅く到着したアラン達に軽食を運んでくれたのだ。
ポールとニーナを呼び、温かいスープに舌鼓をうった。
肉団子と小麦粉を練った物が入っており、充分お腹を満たしてくれるが、ミートパイもあり、軽食を超えている気がする。
魔獣達の食事も用意してくれたが、スタンとボッサは、寝ていて起きそうにない。
テーブルから、ベッドまでが遠いので、気付かないのだろうと、アランは、そのまま放っておいた。
きっと、明け方早くに起きて、勝手に食べるだろう。
すでに、ポールとニーナは、食べ終わり、眠そうだ。
アランは、2人におやすみを言い、部屋に戻らせた。
アランも、眠ることにした。
ずっと座りっぱなしも、疲れたな。
スタンとボッサで、2つの枕を使っている。
3つ目の枕をアランが使う。
……どんだけデカいベッドだよ。
アランは、笑いながら、スタンとボッサを交互にもみもみした。
何とかなるさ。
明日、明日。
アランは、目を閉じた。




