第72話 ミーティア州 州都
ミーティア州の州都に、アラン達は馬車で到着した。
「うー、体が痛い。」
ポールが、体をさすりながら馬車を降りる。
長時間座っていた事と寒さで、体が痛い。馬車から降りた人達は、同じように体をさすったり、伸びをしたりしながら馬車を降りている。
……しかし、思った以上に寒い!
アランは、これは本当にヤバい状況かもしれないと思った。
早急に離れたほうが良いかもしれないな……。
急に突風が吹き荒れる。
ニーナの小さな悲鳴が聞こえた。
「大丈夫か?」
アランは、ニーナを見たが、その後ろには州兵らしき者達がこちらに向かって来ていた。
馬車に乗っていた者達は、州兵の詰め所の建物に連れて来られた。
取りあえず、暖かい部屋に入れたのでホッとした。
部屋には、ベンチがあり、小さいがインフォメーションや、飲み物や軽食を売っている売店があったので、アラン達は温かい飲み物を買ってベンチに座った。
「インフォメーションで、宿屋を探して来るよ。」
体がやっと温かくなってきたので、アランはインフォメーションへ向かおうとしたが、州兵に呼び止められた。
「君の申請書を、見させて貰いました。」
州兵から、受付けのデスクに通され目の前に、申請書を広げられる。
「薬草師としての資格をお持ちですね。あなたの持っている薬草は、私どもの州では、珍しい物が多いので、王宮の医者や薬草師にも確認させていただきます。時間がかかりますので、その間、王宮でお待ちいただきます。」
「どの位、かかるのでしょうか。」
アランは、この話しが強制だと分かって、日数を確認した。
「申し訳ないが、私は、医者や薬草師ではありませんので、お答えできません。このまま、王宮にお連れします。お連れ様もご一緒で構いません。すぐご準備下さい。」
あー、あー、捕まっちゃった。
きっと、姫様の病に効く薬草があるか調べるんだな。
薬草でどうこうできる病なのかねー。
アランは、ニーナとポールに伝えるとカバンを肩にかけ、スタンとボッサを抱きかかえた。
俺も、急いでいるから、長居は困るんだけどなー。
「スタさん、ボッサ、王宮に行くから、お行儀良くするんだぞ。なんか壊したら、二度とお外に出してもらえないぞ。」
アランは、スタンとボッサに頬ずりして、州兵の後に続いた。




