第69話 祭り
翌日、アラン達は、宿屋に朝食が付いてなかったので、近くの食堂で朝食兼昼食を食べていた。
「チルチル祭りがあるなんて、ラッキーだわ。アランは知ってたの?」
「うん、インフォメーションで聞いたから、直、州都にも行ける馬車もあったけど、馬車の旅も疲れるし、せっかくだから一泊して、見ておきたいと思ってね。」
アランは、チルチル祭りではない、とツッコみを入れるのを諦めることにした。
「だけど、あまり人いないな。」
ポールは、店の窓から外を見ている。
「寒波続きで、昨年も景気悪いみたいだし、祭りの寄附金の集まりが悪いんだろうな。出店も少ないし。」
アランも、窓の外を見ながら呟く。
祭りが、ショボくなれば観光客も減って、お金を落としていかないだろうし、大変だな。そのうち祭り自体が無くなってしまうかもしれない。
姫様に嘆願書を出してるらしいけど、難しいんだろうな。身体の心配されてたし……。
「チルチル祭り、続いてほしわ。」
ニーナも、寂しげに町の様子を見ていた。
「おみやげ見に行くか。」
アランが立ち上がると、ニーナやポールも立ち上がる。
すでに屋台が出ており、パラデニア種のぬいぐるみ等も売っている。
ニーナは、パラデニア種の小さなぬいぐるみが付いているキーホルダーを買って、早速カバンに付けている。
「おっ、見ろよ、ついでにニゲル種もあるぞ。」
アランとポールも思わず買ってしまった。
「スタさん、残念だな、お前のは無いや。」
アランは、スタンの頭を撫でた。
ヘル種は、自分の生息地から出ないし、連れて歩く人もいないから、しょうが無いな。
町の中心が騒がしくなった。
「おー、何か練り歩いてるぞ。」
アラン達は、町の中心にある広場に駆けつけた。
アランは、駆けつけて損した気分になった。
パラデニア種の着ぐるみ姿の人間達が、練り歩いてた。
もうちょい何とかならなかったのかよ。
着ぐるみは、頭は、パラデニア種の被り物を被り、下は、真っ白の毛布みたいな生地で、丸みが無くダブダブな感じで着ている為に、人間にしか見えない。
アランの出身地だったら、もっと可愛らしく丸みのある着ぐるみ姿だったろうに。
まったく、子供に夢を持たせろや。
「向こうで、ドーナツ売っているぞ!」
アランは、気を取り直して、ニーナとポールを見た。
ポールは、何やら真面目な顔で小さく呟いた。
「……人間かもしれない。」
……どんだけピュアだよ。




