第57話 ギルドの依頼場所に到着
アラン達は、小一時間ほどで、畑の中心に到着。
「広いな。」
新人ハンターくんは、畑を見渡した。
「この一帯の畑を持つ農家さん達が、みんなでギルドに依頼を出したのだろう。依頼名、見てないのかよ。」
「見てない。」
女の子ハンターが答える。
……潔いな。
アランは、呆れた。
「お昼食べるよ。」
アランは、畑と畑の間の農道を森に向けて歩き出した。
「もう食べるのかよ。」
新人ハンターくんが、文句を言う。
「グリンと戦った後、食べる気かよ。こんなに広い畑じゃ、いつ食えるか分からないし、ヘトヘトで食べれないぞ。まぁ、俺が戦う訳じゃないから、任せるけど。」
アランは、取りあえず畑の端まで来ると、ちょうど良い高さの石に座った。
まぁ、石じゃないけどいっか。
動かないみたいだし。
アランは、嬉しそうにカバンに手を入れ、街で買った昼食の厚切りハムサンドを取り出した。
魔法のカバンに入れて置いたので、買った時の焼きたてを維持されている。
「最高ー。」
取りあえず、新人ハンターくんと女の子ハンターもアランについて来ていた。
「グリンって、どんな魔獣?」
新人ハンターくんが、厚切りハムサンドにかぶりつきながら、聞いてくる。
「えー、知らないで、これにするって言ったの!」
女の子ハンターが、びっくりしている。
本当だよ、下調べしろよ。
「じゃあ、どんな魔獣なの?」
女の子ハンターが、聞いてくる。
お前も、知らないんかい!
アランは、スタさんとボッサにカリカリをあげたのに、今や2匹とも、アランに群がり襲いかからんばかりに、厚切りハムサンドを狙っている。
アランは、思わず立ち上がった。
「……身の丈は、俺の半分ぐらい、二足歩行だ。攻撃は、…噛みついたり、それと鉤爪に気をつけろよ。結構鋭利だから。」
アランは、スタさんに厚切りハムサンドを取られないように必死だ。
スタさんは、お子様サイズでアランの肩にいる。
「それだけ!」
新人ハンターくんが、素っ頓狂な声を上げる。
その言葉を言った自分を、後で呪え!
「あー、もうっ、お前達には、味が濃いのこれは。」
アランは、ちょっとだけ、スタさんとボッサにあげたが、終わりっと言って、自分が食べ始めた。
「美味いなー。もう一個買えば良かった。」
厚切りハムサンドは、十分すぎるほど、大きかったがまだ食べれそうだった。
「何!?岩が動いてる?」
女の子ハンターが、驚いている。
「目の錯覚じゃね。」
新人ハンターくんが、厚切りハムサンドの最後の一切れを口に放り込む。
「お前ら、マジ魔獣図鑑買えよ。…このロクド様のこと知らないのか?」
アランは、ロクドを撫でながら2人に問いかける。
「「知らなーい。」」
2人声を合わせて答える。