表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/133

第54話 最低限の準備

「スタさん、ボッサ可愛いな。中々似合っているぞ。これ買うか。」

 アランは、スタンとボッサにレインコートを試着させていた。


「お前、雨の中歩かないじゃん。雨降るとすぐマジックハウス出すクセに。」

 新人ハンターくんは、鋭い一言をアランに浴びせる。


「…いつか必要になるかもしれないだろう。準備は大切だ。お前も準備しとけよ。」

 アランは、もっともらしいことを言い返す。

 間違ってない。


「だいたい、お前の攻撃は、矢ばかりじゃないか。他に攻撃に使える物は無いのか。それからアレクサンダーの装備もな。」


「……今いち、欲しいのが見つからない…。」

 新人ハンターくんは、歯切れ悪く答える。語尾は何やら聞き取れない。


 アランは、女の子ハンターも見た。

 こちらも何やら、目を合わせない。


 こいつら、素直に分からないと言いやがれ。

 アランは、アレクサンダーとチルチルも見た。


 アレクサンダーは、縋るように見返し、チルチルは珍しくアランに救いの目を向けている。


 アランは、アレクサンダーの着ている装備を掴む。


「重っ!」

 マジか。

 チルチルの装備も掴む。

 こちらも、アレクサンダーよりは軽いがチルチルの体からすると重い。


 アランは、思わず新人ハンターくんの装備や女の子ハンターの装備も掴む。


「重いな。良く頑張って歩いたな。」

 アランは、感心したが、同時に気づいてやれなくて悪かったと思った。

 アランにとっては、ハンターの装備についての関心は、全くといって無かった。


「ハンターだから、これくらい頑張るさ。」

 新人ハンターくんが言うと、女の子ハンターも同じようなことを言ってのけた。


 ……俺、無理。


 アランは、ササッと魔法で、彼ら全体の装備を軽くしてやる。


「軽い!」

 女の子ハンターが、思わず声を上げる。


「基本的に機能は変わらない。ただ、防具に魔獣よけつけたから、魔獣からの至近距離の攻撃は受けにくいはずだよ。俺には、このぐらいしか出来ないかな。だから、少しは装備を増やせよ。」

 アランの言葉に、2人とも店内を物色し始めた。


「おい、買う前に念の為、俺に見せろよ。俺の魔法で何とか出来るものあるかもしれないからな。」

 アランは、あの2人じゃ何買うか心配になって声をかけた。


 アレクサンダーとチルチルは、尻尾を振りながら相棒と店内を歩いている。

 やっぱりしんどかったんだな。


 アランは、スタンとボッサを見た。

 相棒どもは、困ったように座っている。


「ずっと着る訳じゃないよ。雨の時だけな。それと、やっぱりお前達にも必要だよな。なんか装備を見つけような。」

 アランは、スタンとボッサのレインコートを脱がしてやると店内を歩きだした。


「危ないな、転ぶだろ。」


 動き易くなったスタンとボッサは、アランの足に、まとわりつきながらついて行く。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ