第41話 責任
「スタさん、ボッサ!血がついてる、ケガしたのか?」
アランは跪き、スタンとボッサを触って確認したが傷らしい傷は無かった。
スタンとボッサは、人の心配を余所に気持ち良さそうに、触られている。
「大丈夫だ。アレクサンダーと一緒に守ったし、 一緒に戦ったりしたよ。」
新人ハンターくんだった。
「お前が連れて来たのか?」
アランは、立上がった。
「俺の相棒への判断を、お前が勝手に変えるな。」
アランは、声を荒げることなく、新人ハンターくんを嗜めた。
「でも、相棒だろ。」
アランも、新人ハンターくんの言っていることは分かる。
「周りを良く見ろ!こんな小さな子を連れているハンターがどこにいる?」
新人ハンターくんは、周りを見廻す。
ハンターたちは、皆、自分の相棒のケアをしている。
「チルチルを見たろう。人間同士なら行く、行かないと話し合える。だが彼らは違う。主が行くなら、彼らも行く。主が間違った選択をしていても。我々には責任がある。彼らの為に、彼らを死なせないという責任だ。」
「ごめん。でも、こいつらは頑張って戦っていたよ。」
新人ハンターくんは、本当のことを言っているが、忠告したことをないがしろにしている。
「俺は、洞窟に入る前、選抜した時に伝えたはずだ。洞窟で戦う魔獣はレベルが違うと。だから、途中までしか入ることはさせないし、ある程度行ったら、撤退させると。」
「でも、俺たちは倒せているよ!勝ち進んでる!」
新人ハンターくんは、声を荒げる。
アランは、ため息をついた。
「違う、あれらは……」
アランは、急に洞窟の奥へと振り向く。
ハンターたちが連れている魔獣が唸り始める。
アランは、凄まじい炎を洞窟の奥へと浴びせる。
甲高い鳴き声が響き渡り、炎に撒かれた蜘蛛のような魔獣が何体も現れ暴れ始める。
アランは、すべての魔獣を切り倒した。
「……やったのか?」
新人ハンターくんが小さな声で呟く。
「まだだ。撤退しろ。」
アランは、洞窟の奥へと続く道の真ん中で、仁王立ちになった。