第18話 お風呂は怖い
……うっ、金縛り?
マジで、今まで幽霊見たこと無いし、金縛りも無いのに。この部屋出るのー。
「……って、お前ら!」
スタンとボッサが、アランを挟んで、両脇にぴったりくっついて寝ていて、掛け布団が上がらないだけだった。
「びっくりしたー。」
アランは、強引に起き上がると、スタンとボッサがベッドの上を転がり、寝ぼけた顔で辺りを見ている。
「なんだよ、寒かったのか?自分のベッドで寝ろよー。」
季節は、春だが、朝晩は寒い時もある。
だが、
「お前ら、毛皮着てるだろう。」
アランは、伸びをした。
「お前ら、安い毛皮から、高級毛皮にしてやるぜ。付いてきな!」
アランは、風呂にお湯を張り出した。
スタンが来るとボッサが興味津々で入って来たので、急いでドアをしめた。
「ボッサ、お前には未知の世界だったな。ふっふっふっ。」
アランは、不敵に笑う。
水を足し、丁度良い湯加減にすると、まずは、馴れているスタンを入れる。
スタンは、子猫サイズになってくれているので洗いやすい。
手早く洗うと頭の毛をモヒカンにする。
「ぷぷっ、笑う。……あー、お客様ー、痒いとこはございませか?」
掻き掻き、優しく洗ってやる。
スタンは、お気に召したようなので、ボッサを見ると、ボッサは、クゥーンクゥーンと鳴きながら、かしかしとドアから出ようとしていた。
「恐れをなしたな!観念しろ!」
アランは、ボッサを掴むと風呂にゆっくり下ろす。足をバタバタとして、空中を走っている。
「ざぶーん。」
ボッサは、びっくりして最初こそ暴れたが、しばらくすると観念したように、固まっている。
ニゲル種のボッサは、スタンのように毛繕いをするわけでは無いので、滅茶苦茶汚れていた。
ケガした時、一部タオルで拭いただけだったので、念入りに洗ってやる。
スタンほど、毛が長いわけでは無いので、洗いやすい。
いつの間にか、お湯の温かさで、また眠そうな顔をしている。
「このお子さまめ。」
アランは、ボッサも短いモヒカンにしてやる。
掻き掻き洗ってやっていると、アランのお腹が鳴った。
「よし、モヒカンボーイズ、洗い流すぞ。」
詮を抜き、泡をキレイに洗い流すと、スタンとボッサが同時にぷるぷると体を振り、お湯を飛ばした。
「おーい。びしょ濡れじゃねーか。」
アランは、スタンとボッサと自分に魔法を使い乾かした。
「ふー。いいね。高級毛皮の出来上がり。野郎ども、飯に行くぞ。」
スタンもボッサも、飯と言う言葉には、異様に反応する。