第127話 大人の時間
アランの部屋は、1階にあり、部屋の前にウッドデッキがある。
最近のお気に入りは、寝る前のひと時、デッキチェアに座り、ここでゆったりと薬草園を見ながら果実酒を飲むことだ。
香りが良く、口当たりの良い美味しい果実酒で、シンシアのオススメだ。
最近は、たまにこうやってシンシアと飲んで他愛もない話しをしている。
「ねぇ、スタさんここに置いてくれない?」
アランは、何の気なしに言ったが、シンシアは、悲しい顔をした。
「あなたの相棒でしょう。縁起でもない話しをしないで。」
シンシアは、困った顔をしている。
「うん、まぁ、……そうなんだけど。」
アランが、必要なことを話したくても皆嫌がる。
お子様達は、アランのベッドで爆睡している。
「あれじゃ、アラン眠れないでしょう?隣の部屋使ってもいいわよ。」
シンシアが、窓から見えるスタン達を見て笑った。
「あれでも、何とかベッドに入り込めるんだぜ。いつもの事さ。」
アランも笑う。
「スタさんなんか、人間みたいだろう。ああやって仰向けで寝たり、たまに枕に頭を乗せて寝たりさ。小さい時から、ずっと俺と一緒だから、食べ物まで、俺と同じ物食べようとするし。」
アランは、子供の頃を思い出していた。
「小さい時って、まだ小さいじゃない。」
シンシアが笑う。
「あれ、本当の大きさじゃないから。言わなかったっけ?」
「えー!子供じゃないの?」
シンシアは、びっくりしてスタンを見る。
アランは、シンシアのびっくり顔を見て笑いながら話し始めた。
「俺が、10才頃出会ったから、11年近く生きているけど、まぁ、魔獣の生きる年数が分からないから、実は、まだ子供なのかもしれないけどさ。」
アランは、スタンを見て、また笑いだした。
本当、見てて飽きないよ、スタさん。
もっともっと、笑いたいよ、ね、スタさん。