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第11話 それぞれの暮らし

「まったく、こぼすなよ。」

 スタンの隣には、ボッサが一緒に朝飯を食べている。

 同じように、チキンをテーブルに飛ばしながら、眉間にシワを寄せて真剣だ。

 やっと食べれるようになったら、この有り様だ。スタンの真似ばかり。

 アランは、チキンを木の皿に戻しながら、呆れて2匹を見ていた。


 元気になったなぁ。


 ボッサのケガから3日が過ぎた。


 ボッサは、麻痺の心配もなく、スタンと遊び始めた。衰弱も酷く一時はどうなるかと思ったが、頑張ってくれたようだ。

 良かった、良かった。


 アランは、そろそろ旅を続けようと考えていた。


 ボッサともお別れだな……。



 アランたちは、マジックハウスから出て前に立つ。

 また、首から鎖を引っ張りだし、ペンダントにはまっている茶色の石を押すと、ぽよんっという音とともに消えた。


 消える時も、ぽよんかよ。

 アランは、こればかりはこの魔法を作った人の好みなんだから仕方ないと諦めた。


「さっ、行くぞ。まずは、ボッサを送りに反対の森だな。」

 ボッサは、嬉しそうに付いてくる。

 スタンは、アランとボッサを交互に見ながら歩きだした。



 前にギルドからの依頼で来た畑にたどり着くと、ボッサが森に向かって行く。

 が、すぐにアランのところに戻り服に噛みついて引っ張りだした。

 どうやらアランに森へ来てほしいようだ。


 アランたちは、森の奥へ入って行く。



 アランは、立ち止まり、大きなため息を吐いた。


 ボッサは、こっちこっちとばかりにアランたちを見ている。

 ボッサの寝床なのだろう。木の幹に小さな穴がある。

 嫌、俺は入れないから……。


 それに、


 ボッサの寝床の木の横は、大きく伐採されていて、もう、森は半分もなかった。


 そういえば、この辺りは最近人が増えて住宅開発に力を入れていた。

 たぶん、ボッサの寝床の木も、そのうちに伐採されるだろう。


 やっぱり、親もいないんだな。


「ボッサ、俺とスタさんは、また旅にでるからな。さよならだ。気を付けるんだぞ。」

 アランは、膝をついて、ボッサの頭を撫でた。かわいそうだと拾って歩いてたら大変だ。


「スタさん、行くぞ。」

 アランは、立ち上がると元来た道を歩きだした。


 スタンは、何度も振り返る。


「おい、スタさん!」


 スタンは、ボッサが座っているところに走って行くとボッサを頭で押す。

 ボッサは、立ち上がるも歩き出さない。

 何度も、スタンは、ボッサを頭付いて歩くよう促している。




「もう、スタさん行くぞ!……う~ん、もう、行くぞ!ボッサ!」


 アランに向かって、スタンと一緒に、ボッサが走りだした。

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