第104話 アランと王子様という子供
「おっ、お前は、シャムリを倒したことがあるか?」
王子様という子供は、おずおずとアランに聞いた。
「あら、アランならもっと大きな魔獣を倒しているわ。なんたって特級魔法使いだもの。」
ニーナが嬉しそうに話す。
「とっ、特級魔法使い……。」
うーん、余計な事だぞ、ニーナ、何か面倒くさそうな展開が……。
「ふ、不届者だ。引っ捕らえろ。……城に着いたら、僕の部屋に連れて来い!」
王子様という子供は、嬉しそうな顔を浮かべた。
……正直に、言えないタイプか。
アランは、ため息をつくと、ニーナにすぐ帰るから、タイラーとラリーにもそう伝えてくれと頼んで、大人しく子供に従うことにした。
「お前を先生として、雇う事にした。有り難く思え。」
アランは、無表情で腕を組んで立っていた。
王子様という子供は、考えている。
「お前を先生として、雇いたい。有り難く思え。」
アランは、顎を上げ見下してみた。
王子様という子供は、慌て始めた。
「せっ、先生にしてやる、……よろしく頼む。」
うーん、親が使っている言葉で正解を探しているな。
アランは、顎に手を当て考えていた。
更に、王子様という子供は、慌てふためき、いきなり頭を下げた。
「おっ、お願いします。……僕を、僕を強くしてください。」
アランは、びっくりした。
ただ単に、どうしたものかと考えていただけだったので、まさか頭を下げるとは思っていなかった。
よっぽど、困っているのだろうか。
……俺のほうが、よっぽど困っているんだけど。
アランには、あまり時間が無かった。
最近、やたらと自分に薬草を使っていた。
体がダルくて、辛いのだ。
タイラーやラリーは、気づいているだろうな……。
「先生、僕は、強くならないとイケないんです。強い王様にならないと。みんなに認められないと……。」
……王子様って、大変だな。スタさんに言っとかないとな。間違っても王子様にならないように。
「しかし、何で俺……。」
「だって、先生は、僕に暴力をふるったでしょう。」
王子様という子供は、嬉しそうに話す。
「止めて、人聞き悪いから……。教育の一環です。」
「あっ、はい。でも、あんなに強く怒られたの初めてだったから、きっと僕を強くしてくれるって思ったんだ。」
はー、飢えてるなー、人間に。
アランが下を見ると、スタンとボッサがアランの後ろに隠れるようにいる。
「触ってもいい?先生の相棒だよねー。」
アランは、スタンを抱き上げた。
スタンは、いつものアザとポーズではなく、顔は、そっぽを向き、手足も広げず体をよじって逃げようとしている。
王子様という子供は、嬉しそうにスタンの背中を撫でる。
「ふわふわだね。」
アランを見て微笑んだ。
「はい、この子は、ボッサだ。」
アランは、片膝立ちして、ボッサを捕まえる。
ボッサも、嫌がる仕草を見せた。
ぎこち無いのが伝わるんだよなー。
ララフィーを殺そうとしたし。
「僕も、ニゲル種の相棒が欲しの。……でも、お前はハンターじゃないから必要無いって父上が……。」
「……別に、ハンターじゃなくても、護衛にする人もいるらしいぞ。俺もハンターでは無いし。諦めず、ちゃんと説得しろ。」
「うん。ありがとう。僕、諦めないよ。」
「うん。良かった、良かった。さて、帰るか。」
アランは、立ち上がる。
「何言ってるの!先生は、住み込みだよ。」
「はい、はい。」
アランは、少しだけ協力しようと考えていた。
時間は、あまり無いかもしれない。でも少しだけ……。




