第102話 懐かしい故郷
「アランは、ここの出身なの?」
ニーナは、森の様子に気が付かないのか普段通りだ。
「違うよ。俺の出身地は、西のラシフィコ州よりさらに奥、西南にあるベディフィーテって街さ。」
アランは、懐かしそうに街の名前を口にした。
「何か、聞いたことある街ね。じゃぁ、タイラーさんやラリーさんも、ここの出身じゃないの?」
ん、タイラーさんやラリーさん?何で俺だけ呼び捨て。
ニーナは、少し周りを気にしながら歩くようになっている。
「あぁ、アイツらもベディフィーテの出身だよ。ベディフィーテは、保養地として有名だからな。海も山も、湖もあって、温泉もあるんだ。落ち着いた、本当に美しい街だよ。」
「そうだ、父に聞いたことがあるわ。ハンターの仕事で、肩を痛めた時に、保養地でリハビリしたって街が、ベディフィーテだわ。」
ニーナは、嬉しそうに笑った。
「保養地だから、医者や薬屋も多いんだ。俺の父親は医者だし、母親は薬屋を営んでいるんだ。」
アランは、どこか寂しげに笑った。
「……でも、タイラーさんやラリーさんは、何でここにいるの?」
ニーナは、アランに、家族の話しは、これ以上聞かないほうが良いと思い、話題を変えた。
「保養地だからかな……。一度、医者に診てもらった人が多いんだよ。だから、初診の、出来ればブッ飛んだ患者が来るようなところで修行したいと、ここを選らんだらしいよ。」
「ブッ飛んだって……。」
ニーナは、呆れながら呟いた。
アランも、呆れながら聞いた話しだが、実際、落ち着いた保養地では、現れないブッ飛んだ患者が来ていた。
このパルネラ州では、血気盛んな者が多く、喧嘩沙汰は、日常茶飯事で、血だらけで診療所に運ばれてくる患者も多い。
タイラーとラリーは、いつか地元に戻ると行っていたが……、刺激が強ければ強いほど、離れられないのではとアランは思っていた。
アランは、静かで美しく、退屈だった街を思い出していた。




