第100話 なんか…
森から帰ったアランは、タイラーの診療所にいた。
みんなでギルドに報告へ行き、ポールとニーナは、仲良くなったハンター仲間と夕飯を食べに行った。
スタンとボッサは、下でカリカリを食べている。
アランは、指でテーブルをトントン叩きながら、スタンとボッサを見ていた。
不思議だな。あちこちで振動……。
ボッサの口から、カリカリが飛んで行く。
ボッサは、飛んだカリカリを食べに移動して、カリカリの破片を食べている。
……まるで追い込み漁?みたいな。
ボッサが、戻って来てご飯皿を探している。
……しかも、ハンターが引き上げる時間帯。
ボッサが、スタンが食べているご飯皿を見ている。
「スタさん、それボッサの皿だろう。
同じカリカリなんだから、自分の皿のカリカリを食べなさい。」
アランは、スタンを手で押して元の皿に戻すと、ボッサが自分の皿のカリカリを食べ始める。
……振動。魔法使いが何かやっているのか。
しかし、スゲー食うな。
カリカリが、ほぼ無くなってるじゃん。
「ほら。」
ラリーが、蒸したチキンをスタンとボッサの前に置く。
「……ラリー、お前、いい嫁さんになるな。」
「嫁じゃねーよ。」
「うん、そうだな。……んで、俺のご飯は?」
アランは、子供のようにテーブルを手で叩く。
「はいよー、飯ー。」
タイラーが、両手に皿を持って部屋に入ってきた。
「飯ーって、作ったのラリーだろう。いかにも作ったみたいに。」
アランは、笑いながら皿を受け取った。
「最近の街の話題は?」
アランが、レモンの果汁をたっぷり使ったこんがり焼きめのついたチキンを食べる。
「うまっ。」
「お前は、本当に美味しそうに食うなー。んでもって、最近は、王子様誕生の話題が、まだ続いているな。」
タイラーが、酒を飲みながらつまらなそうに話す。
「王子様?2番目?」
アランも、酒を飲む。
「昔から、州王は、パルネラ州の独立を望んでいるだろう。大喜びさ。」
ラリーは、料理を一口食べて、自分が作った料理に満足そうに頷いている。
「そのうち、他の州に攻め入るんじゃないかと、噂されてるよ。成長した息子を従えてね。」
タイラーが、嫌だ嫌だと首を振りながら酒を飲む。
「また、昔むかしに逆戻りか。」
アランも、首を振る。
スタンが、満足そうに毛繕いし、隣りで欠伸をするボッサのほっぺをついでに舐める。
本当に、嫌だな。いつか、俺達やポールにニーナ、……そしてスタさんやボッサも巻き込まれる。
アランは、スタンとボッサを見る。
アランは、あるか分からないことを考えるのを止めて、ラリーの料理と酒を楽しむことにした。
……明日、散歩がてらに森に行ってみようかな。




