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愛するハーブティー

白い風

作者: 沢崎照

何年も何年も、淡々と何かを作っていく

変わらぬ風をまとった人生がある。

自分の時間を愛する人。

自分の人生もそうありたいと生きる。

風は吹いていく、明日へ。

 夏が過ぎ、季節が変わり、秋が深まっていく。昨日まで暑かったのが嘘のように今日は涼しい。何を着れば良いか困るけれども、この困りごとは毎年楽しい。


 はじめての人と出会う日は、ベージュのパンツスーツに白いブラウスを選ぶ。いつも撫でたくなるスエードがお気に入りのベージュのパンプス。アクセサリーはホワイトゴールドの三角形のネックレス。ナチュラルメイクでシャンプーだけの香り。シンプルな黒革のトートバックに、ボイスレコーダーと筆記用具と化粧ポーチ、上着を丁寧にたたんで入れた。


 駅を地下から地上へ。爽やかに香る風が首元を抜けていく。風に向かうとブラウスが少しだけ風をはらんで、心地よい。


 さあ、行こう。ヒールのかかとからくるりと回って取材先のカフェに体を向けた。そこは、私の戦場だ。このお店は、ライターさんに頼らず、自分で書こう。歩きながら、そう決めて、お店のドアを開けた。


 --- いらっしゃませ。

 玉のような声が私に届き、通り抜けていった。

 --- はじめまして。

 名刺を渡す。

 --- お待ちしていました。あら、かわいい名前ね。

 店主が微笑んだ。「風花」という名前は私に優しい、母からの贈り物だ。


 さらさらとした店主の声がお店の空気をつくっている。ただそれだけなのに、何年も先を生きている人の強さが伝わってくる。何かのきっかけがあって、ひとりでこの店をつくり、人生を生きてきたのだろう。そのきっかけまでは、教えてもらえなくても、感じられる。知らなくても良いのだ。この空間が、この方の人生なのだと思う。


 曲がり角は、お肌だけでなくってねって思うようになった。若さだけではなく、人生というものを意識しはじめた。何年も前から、爽やかな風をまとい、生きてきた。これからも、優しく、美しく生きていく。そういう人がいる。


 帰り際、お店の前の花壇を見た。小さな白い花が揺れていた。

ハーブティ「白い風」

白いエルダーフラワーが開き舞うカモミールやジャスミンの花の香り


ハーブティは、シンプルで柔らかく爽やかなカモミールベースのブレンド。優しい花の香りのカモミール、エルダーフラワー、ジャスミンを中心に、春萌の草原を思わせるレモングラスやホーステールの爽やかさをアクセントに。優しい気分にさせてくれるレモンバームをキーハーブとしている。

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