表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

三題噺もどき4

買い物

作者: 狐彪

三題噺もどき―ろっぴゃくじゅうさん。

 



 自動ドアをくぐると、この時間にかけるにしてはあまりにも陽気な音楽が出迎えた。

 来慣れた場所ではあるが、相変わらず選曲がなんとも微妙な……最近の流行りでもないだろうこれ。そんなものをはっきりと理解しているわけではないが、それでも違うだろうと分かるくらいにはこの店の店内BGMは微妙な選曲がされている。

 店内BGMというのが、どんな方法で流されているかは生憎知らないので、この店の人が選曲をしているのかどうかも分からないが。

「……」

 ドアをくぐった先に置かれている買い物カゴを手に取り、カートに乗せる。

 カゴだけでもよかったが、この時間に人はいないので少しでも楽な方法で買い物をさせてもらう。今日は少々いつもより多めに買い物をするので、重くなるような気がしているのだ。

「……」

 入ってすぐの場所には、野菜が置かれている。

 今日はこれを買ってきてくれとメモを渡されたので、それを確認しながら買っていく。

 余計なものを買ってくるなと釘を刺されたが、一体私はいくつだと思われているんだろうか。そんな事、三回に一回しかしない。

「……」

 とりあえずは、定番の……我が家で定番というだけで、他はどうかは知らないが。

 人参と、キノコ類。やすくなっているのがあったので、それを手に取る。

 キャベツはいくら以下なら買ってきてくれと言われたが、まぁ、ギリギリ買える範囲なので買って置こう。最近は値上がりが酷いな……。

「……」

 果物は苺と、バナナ。柑橘類も何か欲しいところではあるが、メモに書かれていないのでやめておこう。しかし苺……いい値段をする。サイズがバラバラではあるが、安いしこちらにしよう。これもこれで美味しい。

「……」

 それと、豆腐と、厚揚げ。

 ……と、納豆。これは種類を間違えると機嫌が悪くなるので、いつもアイツが食べている奴を買う。これの何が美味いのか全く持って分からない。匂いがどうにも無理で、味もこう……口には合わない。何年経ってもこの国のこの納豆だけは、どうにも受け付けない。アイツがあそこまで納豆というモノにはまるとは思ってもいなかった。

「……」

 あとは、魚と肉。

 遅い時間なこともあって、値引きがされているものがいくつかある。それを手に取り期限を軽く確認しつつ、カゴに入れていく。

 極力、刺身ではなく、煮付け用とかボイル用と書かれたモノを買う。刺身や寿司も好きではあるが、今日すぐに食べるものではないので今は買わない。

 肉は大き目の塊とコマ肉を買う。この辺りは冷凍でもしながら使っていく。

「……」

 後はいくつかの調味料。

 コンソメと砂糖、小麦粉、薄力粉。

 ……ほとんど菓子作りの材料だなこれは。今度は何を作るつもりなんだか。

「……」

 それにストック用のコーヒーと、ココア。ココアは、菓子作りにも使えるように純ココア。そのままお湯を注いだだけで飲んだことがあるが、これはこれで案外美味しい。砂糖を入れた方がいいんだろうが、丁度良い苦さなので個人的には純ココアで飲むのが好きだ。他のココアも美味しいが、どうにも甘すぎたりしたものだから。

「……」

 そのほかにも、乳製品をいくつかと、冷凍食品も何個か。

 軽く総菜も見て、何かあれば買おうかと思ったが今日は残念ながらなかった。

 後は菓子コーナーをみて、レジに向かうだけである。

 アルコールは最近控えているので、見ないようにする。

「……」

 そういえば、そろそろバレンタインの季節だったのを昨日思いだした。

 こんなスーパーにも小さくコーナーが設置されていた。

 いつもは見ないような、綺麗めな箱が並び、見ないような値段のチョコレートが並んでいた。どれもすべて可愛らしい感じのものが多いような気がする。ポーチ付きのモノとかもあるのか。

「……」

 シンプルなものもあるにはあるが、今は友チョコというやつの方が多いんだろうか。

 キャラクターものの中に混じって、明らかに女子受けバツグンという感じのものが多く見受けられる。

「……」

 これなんかとても可愛い。観覧車をモチーフにしたもので、観覧車の籠に当たる部分にそれぞれ味の違うチョコが埋まっている。それと似たようなもので、メリーゴーランドだったり、コーヒーカップのものだったりもあるようだ。どれもこう、メルヘンチックでとても可愛らしいと思う。

「……」

 買うつもりはなくとも、思わず手が伸びてしまう程に良いデザインだ。

 何目線だと言う感じだが、こういう可愛いのとかきれいなモノとかはいくら見ていても飽きがこない。

「……」

 いつもなら買ってしまってもよかったんだが、今日は残念ながら釘を刺されてしまっているので、カゴに入れなかった。釘はいつも刺されているが、今日は必要以上に刺された。そんなに家計が緊迫しているのだろうか。

「……」

 少し後ろ髪惹かれつつも、レジへと向かう。

 今日もいつもの店員がいるようだ。

 こんな時間まで全く、ありがたいことだ。





「なんだか、久しぶりに見ましたねお客さん」

「ん。あぁ、ちょっと色々立て込んでいてね」

「お元気そうで何よりですよ」

「君もな」

「はは、ありがとうございます」

「こちらこそ、いつも世話になってるよ」











 お題:ポーチ・ココア・観覧車


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ