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天知る地知るお味噌汁
「何なんだ、おめえらはっ!?」
豪華客船ロスメルタにある、悪の組織〈アーリマン〉のボスの執務室に、金の長髪をなびかせた美形のブランド物のスーツに身をかためた男がなだれ込んだ。
手にはフェンシング用のスタンガン・サーベルが握られている。
「天知る地知るお味噌汁。悪を倒せと、ボスがわめく。人呼んで、めちゃくちゃカルテット見参!」
仮面を被ったライダーのように決めポーズをきめるレイ。
その後に、ふうとフランシス・フォン・レイドリックはため息をついた。
ハンズフリーマイクで仲間のアリーズに、愚痴をこぼす。
「なあ、アリーズ。この前口上、必要か?」
すぐさまイヤホンへと返答が来る。
〈必要も必要! ミソスープは正義よ!〉
ハッカー兼指示役のアリーズが熱弁を振るう。
彼女にとって、お味噌汁は水戸黄門の印籠と同義なのだ。
流れで戦闘になったレイが、ブランド物のファルマーニの汚れが気になって仕方ない。
クリーニング代は、ボスのツケにしとこう。
レイは心にそう、固く誓ったのだった。
実験的に何作かアップします。