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第12話 全てを語るとき

 目に映るのは夜空。数秒後、意識が覚醒し体を起こす。


「ここは!」


「目が覚めたようだな」


 声のする方を向くと焚き火をする白髪の女がいた。白髪の女は燃える火の中に小枝を何本か入れている。


 今の状況が何を意味しているのか全く理解できない。


「そんなに険しい顔をしなくて大丈夫だ。ここは王都ではない。あの後、君が意識を失った場所と変わっていない」


「何故、我を連れていかなかった。ぐっ!」


 体が燃えるように熱い。力の反動だ。ということは……両手を見ると肌の変色が広がっている。


 前までは手の甲が少し黒くなっていたが、今では手のひらや指先まで黒くなっている。完全に両手が真っ黒だ。


「なるほど……。もとの竜王である力と君の体が一致していないからか。あの竜王が地を這いつくばるように戦うのも納得だ。何故人間の体で復活したのだ?」


「目が覚めた時には人間だったのだ。そんなことはどうでもいい!お前なら我が意識を失っている隙に身柄を捉えることもできたはずだ!」


 白髪の女は焚き火の火を見つめる。


「四人が死んだ。ローシー、マガルド、ルーダ、そしてスレイ。三人とも立派な騎士達で私を支えてくれた。スレイのやったことは決して許されるものではない。だが、彼もこの世界の被害者なのかもしれない。君が眠っている間にそんなことを考えていた」


「被害者?」


「エルフ中心の世界。人間はエルフを敬い様を付けること。人間を奴隷にするエルフ。どんな理由があれエルフに暴力を振れば死罪。私がすべきことは陛下を守ること。それ以外のことを考える必要は無い。そう自分に言い聞かせてきた。けれど真向からこの世界を否定する君の言葉が、いつしか自分が諦めていたことに気付かされた。私は君が世界最悪の竜王とはどうしても思えない。君が何故、世界最悪の竜王と呼ばれ恐れられたのか教えてくれないか?」


 白髪の女には二度助けられた。一度目は町で子供に甚振られた時、二度目は先程の回復魔術。腕の傷は白髪の女にやられたものだが、腕を犠牲にしたのは我の判断だ。


「……いいだろう」


 そう答える自分が変だと思いながらも全てを語りたいと思った。やはり我は変わってしまったようだ。


 白髪の女なら正しくこの世界を見ることができると思った。


 我は口を開く。過去の記憶に思いを馳せて、誰にも語らなかった世界の在り方を伝える。

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