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 「神子様?大丈夫ですか?」

 ジュランに声を掛けられ我に返る。

 「・・・・ゴメン。考え込んでて…。確定ではないんだけど、さっきも言った通りコハクの毛に付いてる透明な物は私が元いた世界の接着剤って物で、無理やり取ろうとすればコハクの毛を毟り取るしか無いと思う」

 その言葉に皆驚くが、ジュランが冷静に質問をしてくれる。

 「神子様が言っていたアロンアルファとは、その接着剤の事なんですね?!そもそも接着剤とはどの様な物なのでしょうか?」

 あ〜、接着剤自体がこの世界には無いのか…。

 「こっちで物と物をくっつける時ってどうするの?」

 「溶着すると言ったことでしょうか?それなら鍛冶師の領分になります」

 「あ〜、木や紙をくっつけたりはしないの?」

 「何故でしょうか?家を建てる時は木材に凹凸をつけて嵌め込みますし、紙をくっつけるなんて事はしません」

 そっか〜。そもそも羊皮紙が主流で紙は高級品扱いになるんだもんね…。そんなものくっつけるなんて事する訳ないか。

 「私が元いた世界は本やビラは紙で作る物で、羊皮紙は使われてないんだ。だから紙はアロンアルファみたいな接着剤やホチキスと言われる非鉄金属で留められる事が殆ど何だよね。それ以外で纏める事もあるけど接着剤やホチキスが便利だからこの方法が主になるかな。それでなんだけど、そのアロンアルファってポケットに入るくらいの物なんだけど、この世界に召喚された時、髪の毛や肌、若しくは身に付けている服にくっついて居れば持ってこられるみたいなんだけど、ポケットに入ってるだけとか手に持ってるだけだとこっちには持ってこられないみたいなんだよね」

 「つまり、本来持って来られないはずの物を持ち込んだ人物が居ると言うことですか?」

 「そっ。それと、どうやって持ち込んだのか、何故持ち込めたのかって謎が出来ちゃったんだよね。持ち込んだのは多分あの領主で間違いないと思う」

 私の話に皆は顔を見合わせる。

 そりゃ何に使われて、それが今後何に影響するか分かんないもんね…。頭痛いよね〜。

 そうしているとアッシャムがフェンリルの横でまた何やら耳打ちしている。

 「いや、その様な時間も感覚も無かった。しかし、あの暗闇だ。耳や鼻に意識が行き過ぎてその他の感覚は疎かだったかもしれん」

 フェンリルにそう言われアッシャムは顎に手をやり考え込んでしまった。

 アッシャムはそのまま数分黙り、ゆっくりと顔を上げると皆に向かって話し始めた。

 「フェンリル様が言うには側に人が寄ったり何かをされたような感覚はなかったということです。そこから考えると、皆から離れる前に取り付けられたのではと考えます。確実なことではないですが、フェンリル様だけになった後に付けられたわけでは無いと思います。・・・・邸に移動中のあの森で取り付けられたのではないかと・・・・」

 アッシャムの言うことも分かるけど、根拠が分からない。

 「ねぇアッシャム、そう考える根拠は?私もその可能性はあると思うけど、邸に着く前じゃなくて私達と引き合わされる前かもしれないじゃん」

 私はそう言ったが、これは只の思いつきなだけで何かを考えてということではない。

 そもそも私達と引き合わされた時は倒れてしまうのではと思えるほどの状態だったのだ。そんな短時間で行われたとは考えにくい。でも、あらゆる可能性を考え、何故こんな事をしたのか何故フェンリルにしたのか考えなければいけないことは沢山ある。

 「そうですよ!それです。神子様の言うとおりですよ」

 ジュランがいきなり叫ぶように話す。

 皆ジュランの大声に驚きジュランをみる。ジュランが大声を出すことなんて1度も無かった。だから皆驚きで声を出せずに居る。私も驚きすぎて頭が真っ白になった。

 「これは何の意味もないんですよ」

 そう言ってジュランがフェンリルから取り外した”モノ”を皆に見せる。

 「フェンリル様が魔力を吸い取られたのは部屋自体にその様な仕掛けがされていたのでは無いでしょうか?それならばフェンリル様がこんな”モノ”を取付けられて気づかなかったのも納得です。魔力を吸い取れるだけ吸い取り、私達と引き合わせる直前に取り付けたなら何をされても分からない筈です。そんな余力は残っていなかったはずですから。回復したのも神子様の飴が有ったからです」

 ジュランが興奮気味に一気に話す。

 こんなジュラン見たこと無い。

 その姿に驚くが、ジュランの話した内容に皆が納得する。アッシャムも納得のようだった。

 ジュランの話した通りなら、このまま安静にして私の魔力か飴を摂取させ続ければ確実に回復していくだろう。それは皆を安心させた。フェンリルも心做しか安心したようだった。

 「だとするとそれは何なんだろう?全く無意味なモノを態々付けたってこと?この世界に無いものを使って?」

 「その接着剤というものは本当に物を接着させるだけなのですか?他の用途は?」

 私はジュランの質問に首を振って答える。

 私はそれよりもこの世界に無いものをどのようにして手に入れたのかが気になってしょうがなかった。身につけていなければ召喚時に元の世界に残ってしまう。接着剤を体に付けていた?そんな事は考えづらい。やはり何かしら地球の物を持ち込む方法があると考えたほうが良いだろう。

 私は1人で恐ろしい想像をしていた。

 皆が側に居ることも忘れて、1人で恐怖の中に佇んでいた。

 この時、私達は何故この道を選んだのかを失念していたと思う。

 敵から逃げていたことを・・・・・。


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