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それぞれの未来

 夜通し走り続け私達は日が昇る直前に外壁の外までたどり着いた。

 門が開くまで少し待ち、再びキルトの街へはいる。門番がフェンリルを覚えていて、「忘れ物か?」って言われたけど、笑って誤魔化した。

 街に入り直ぐ奴隷商の店を目指す。開くのは夕方からだからこんな時間誰も居ないだろうが、取り敢えず尋ねることにした。

 「本当にあの奴隷商のところへ行くのか?」

 「うん。だって他に宛になりそうな所有る?」

 これにはフェンリルもミリロも呻るが、奴隷商を信じていないのだろう。それしか解答が無いことが分かっていても納得できない感じだった。

 皆仕方無しに奴隷商の店へ向かって歩く。

 この世界でも朝早くから働く人は居るもので、私達を覚えていた街の人から不思議な顔で見られた。

 奴隷商の店の前に着き、ドアをノックした。返事は無いだろうと思っていたら、ドアがゆっくりと開いた。

 「必ず来ると思っていましたよ。お待ちしておりました。どうぞう中へ」

 そう言って男は私達を中へ招き入れた。

 「そうそう、まだ名乗って居なかったですよね?私はニケル・コースティンと言います。コースティン商会へようこそ」

 ”商会!!”商会となればそれなりの規模。国をまたいだ取引も出来る。異世界から召喚された者が商会なんて作れるのか?何処の貴族の後ろ盾を得たんだ?

 益々胡散臭く感じるそのニケルと名乗った男の誘導で店の中に入る。

 客が座っていたであろう席に魔道具を使用したランタンが置かれていた。その席に着き、男に話そうとした時、ステージ上がライトで照らされた。結構大掛かりな魔道具が在るらしく、高額だから使われているのは高位の貴族邸か王宮くらいだろうと言われているものらしいが、奴隷商の店のステージにもそれが設置されているようだった。

 そのライトに照らし出されたのが、倒れたジュランと再び鎖で繋がれ仁王立ちしているアッシャムだった。

 「ジュラン!!!」

 私はとっさにジュランの名を叫んだ。そして隣で仁王立ちしているアッシャムに説明を求めた。

 「アッシャム、これはどういうことなの?なんでジュランがこんな所で倒れているの?」

 私がそう言うとアッシャムが答える前に男が口を挟んだ。

 「なんだ、お前名を明かしたのか?私がレオネールという名を与えてやったのに」

 「もう良いんだ。そんな偽の名は必要なくなった。ここから復讐が始まるんだ」

 アッシャムが男に向かってそう言い放った。

 そう言えばここで初めて有った時、フェンリルはアッシャムのことをレオネールと呼んでたっけ?

 「珠子、ごめんなさい。僕はこの男を殺さなきゃいけないんだ」

 ?!

 どういうこと?私は追いつかない理解をフェンリルやミリロに求めたが、2人とも分からないと首を振った。私が困り果てていると、ステージ上から声が聞こえた。

 「アッシャム、止めなさい。そんな事をしても貴方は何も救われないじゃない。悲しみは理解できます。でも、そんな男を殺した所で貴方の家族は戻ってこない」

 ジュランだった。

 ジュランは全てが解っているのだろうか?!少なくとも私達よりは何かを知っているのだろうと思った。だからアッシャムをつけてこの街まで来たのだろう。

 「復讐ならわれにすればいい」

 フェンリルがそう言うがアッシャムは首を振る。

 「そもそも貴方の故郷を破壊したのはフェンリルとホワイトドラゴンなんじゃないの?なんでその男が復讐の相手になるの?」

 私の言葉に私を見たジュランと、私から目をそらしたフェンリル。ミリロはずっとアッシャムだけを見ていた。その中で男だけが満面の笑みで私達を見ている。

 「アッシャム、話して!」

 私はステージのアッシャムに向けてそう叫んだ。

 「事の始まりはこの男がこの街へ来たことです。この男はあのマウント大陸からやってきたと言いました。しかしその大陸を支配した国は600年もの昔に滅び、あの大陸には国とよべるような物は存在していないと言われていました。しかしこの男の存在はそんな話が噂話で出鱈目なことを証明している。かつて世界を滅ぼそうとした倭国は今でも存在し、今もこの世界を滅ぼすことを目的としている。そのためにホワイトドラゴンを利用しようとした。そのホワイト・ドラゴンを利用するためにフェンリルを利用した。この世界に於いて、この2種は世界の守り神ともいわれる種族。それを利用しようなどと・・・・・それだけでなく、僕の街を、家族や街の人達を・・・・・・」

 アッシャムの故郷を壊したのはあの擬きじゃないの?神が2種を使って破壊しようとした。神殿を建てるために・・・・?

 え?!それも間違ってるってこと?

 「アッシャム、もっと分かるように説明して!貴方の故郷を壊したのは、ドラゴンとコハクを利用したあの擬きじゃないの?」

 「違います。神すらも操り、この世界を支配しようとしているのがこの男です」

 アッシャムの言葉に私は男を見た。男も私を見た。ニタニタと笑った顔が気持ち悪い。時代劇の悪代官より気持ち悪い。何こいつ!?

 「貴方はこの街の初代領主であるタカシ・シラヤナギを探しているんじゃないの?」

 「ああ、探していた。この街で見つけたんだ。だからもう探す必要はない。俺の目的は既に別にある」

 この世界に召喚されて、この世界の人間じゃない貴方が何しようって言うの?!

 こいつ、マジでイカれている。

 私もフェンリルも、アッシャムをずっと見ていたミリロも男を睨んだ。

誤字脱字報告宜しくお願いします。

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