ハイエルフの青年
「何なのあいつ!昨日の態度と違いすぎ。ジキルとハイドかよ」
私は帰りの道中プンスカ起こりながら帰った。それを3人はくすくす笑いながら「まあまあ」と宥めてくる。肝心の青年はフェンリルの隣を俯いたまま付いてきた。こんな時は大体ジュランが色々な提案をしてくれるものだが、私は男性への怒りが収まらず青年へ当たり散らす。
「貴方も俯いてないで堂々と歩いたら?コハクとどんな関係なのか分からないけど、アレだけのお金を出して皆貴方を助けたいって言ったんだから!」
青年は俯いたまま何も言わない。私は呆れて溜息を着く。そんな私にフェンリルは「許してやってくれ」と一言言うだけだった。私はジュランとミリロを見て2人に頷かれて仕方なく放っておくことにした。
「あ、宿・・・・・」
「大丈夫ですよ。私達が泊まっている程の部屋は無理でも一般客室なら開いている所有りそうでしたし、そうでなければ床に布団を敷いて寝かせれば良いのです」
「そう、開いてる部屋在るんだ。そんなことよく知ってたね」
「あの建物であの窓の数。食堂へ降りてきた客の数を見れば」
ずっと思っていたけど、初めて森であった時からどんどん印象が変わっているなと思った。初めはミリロの方がしっかりしてるんだと思ったけど、ジュランのほうがお姉ちゃんタイプでミリロは妹って感じだもんなぁ。ほんと人って話さないと分からないよな。
「そっか、本当よく見てるね」
私の返事に気を良くしたのかニコニコしていた。
その間も青年は俯いたまま。ハイエルフってもっと強気な人達ってイメージなのに。そう思いながらハイエルフの村の皆を思い出す。
この青年に一体何が会ったのか・・・・・。
私達は宿への道を歩いている。すると突然"バタン”と大きな音が近くでする。振り向くと青年が倒れていた。
確かに俯いたままだった。それは昔付き合いがあったフェンリルに迷惑を掛けたこと、奴隷という立場に戸惑っていること、だから俯いたままなのだと思った。倒れるほど体調が悪いとは思わなかった。
私がその場で呆然としているとフェンリルが「飴だ」と叫んだ。
「へ?雨?雨なんて・・・・・・あ〜飴か!・・・・・魔力切れ?」
「そうだ。あやつも言っていたであろう。幻惑魔法は魔力消費が激しいのだ。ハイエルフと謂えどもこれだけ掛け続ければそうなる。宿までは持つと思ったのだが、われの見立てが甘かった」
「今はそんなこと言ったって始まらないでしょ!とにかく魔力・・・・?!」
私はそこで飴をアイテムボックスから取り出し青年の口へ放り込む。それと同時に青年の腹と背に直に触れ私の魔力を流し込む。どんどんと魔力を吸われている感覚がする。暫くすると青年の顔色は落ち着いてきたように感じた。そのまま魔力譲渡を続けていると、青年は意識を取り戻し目を開けた。
「良かった〜。大丈夫?まだ無理しないで。ハイエルフならこれくらいの魔力ではまだでしょ?もう少し魔力流すから」
私がそう言うと青年は穏やかな顔で頷き、眠ってしまった。余程疲れていたのだろう。いつから幻影魔法を掛けていたのだろう。奴隷として買われてからなら相当な時間のはず。他の国で奴隷になったって言ってた。その頃からなはず・・・・・ないか。そんなのハイエルフと謂えども魔力が持つはず無い。
青年をフェンリルの背に乗せ私は青年の背に振れたまま魔力を流し続けた。そうして宿に着き、宿の人に1人増えたが構わないかを確認し、問題ないと言われ青年を私達の部屋へと一旦運び込んだ。ソファーに寝かせ毛布を掛けた。
「このまま暫く寝かせておきましょう。この部屋に泊まらせるのはよくないので、宿の人にもう一部屋手配してもらってきます」
そう言うとジュランは部屋を出ていった。正直フェンリルがベッドを使わないので、1つ余っている。そこで良いのでは?と思ったが、ジュラン的には駄目らしい。ま、ジュランもミリロも居るから年頃の青年が一緒ってのは拙いのかも。2人とも何気に美人さんだしね。ミリロは可愛いとも言うけど!
ジュランが戻ってきたが大変ご機嫌斜めな様子…。
「ジュラン…どうしたの?」
「部屋は手配出来ませんでした。お金ならあると言ったのに!!」
あ〜、それで機嫌悪いのか…。でも…。
「ジュラン、宿には宿の都合がある。必ずしも客の要望を聞けるとは限らないからね…」
分かっていても納得できないと……。困ったものだ。
「そもそもコハクはベッド使ってないんだから一晩くらいそこで寝かせれば良いじゃない?何でそんなに別室に拘るの?」
私はてっきり2人が男性との同部屋を嫌だからだと思っていたが違ったらしい。
「神子様と同部屋に男など入れるわけには参りません!!」
「?何で?私は気にしないよ」
「何を言うのですか!神子様に万が一の事でも在ろうものなら、私とミリロは何と言い訳をすれば良いのですか…」
泣き崩れてしまった…。ん~どうしようか・・・。
誰に言い訳を剃るのかは何となく分かった。でも何故言い訳をしなければならないのかそれが理解出来ない。言い訳など誰にする必要も無い。私の身に起きた事は自己責任だ。ジュランはどうも過保護過ぎるところが在る。
私達が押し問答をしていたら青年が漸く目を覚まし体を起こした。
「すみません、ご迷惑を掛けました。お金はどれだけ掛かっても返します」
そう言って頭を下げた。
私は青年に少し怒りを覚えた。お金も大事かもしれないけど、それよりも人をこんなにも心配させたんだからなにか言う事あるだろ!
「そんなことどうでも良いの!それよりもあなたのことを聞かせて。コハクがどれ程あなたを心配したか。その気持が分かるなら、話してくれますよね?」
私の問いに青年は頷いた。
誤字脱字報告宜しくお願いします。
最近熱中症なのか、頭痛が酷く目眩がするため次の更新は土曜日までお待ち下さい。
体調が戻ればそれより前に更新します。
どうぞ宜しくお願いします。




