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奴隷の相場と幻惑魔法

 昼ご飯を食べ、ギルドへとやって来た。昼過ぎということもあり、そこまで混んでは居なかった。

 「すみません、買い取りってしていただけますか?」

 「はい。ギルドカードはお持ちですか?」

 そう言われミリロがギルドカードを提示した。

 「はい。確認しました。本日はどの様な素材を買い取り希望でしょうか」

 私は皆に聞きながらアイテムボックスからドラゴンの素材を少しとブル系の素材、獲物のままの物をいくつか出した。獲物の解体は今日中に出来ると言われたが、引き取りたいものは無いので全て買い取りをお願いした。やはりドラゴンの素材は僅かでも結構な値になった。全部で8,652ゴルド。1ゴルドが10万円くらい。だから8億円以上の儲けになった。こんなにいっぺんに買い取りに出してもいいか迷ったが奴隷の相場が分からなかったので量的には結構な量を出した。しかし、ドラゴン素材は出しすぎると全体的に値が落ちてしまうとジュランが教えてくれた。だからドラゴン素材は少しだけにした。(他の素材は需要と供給のバランスで集落殲滅程の量でない限り値崩れすることはそうそう起こらないらしい)

 ギルドから出たら夕方まで街を皆でブラブラしながら時間を潰し、日が傾く少し前に例の男性の奴隷商に赴いた。灯は思っていなかったが人の気配がしたのでドアをノックし中を覗いた。すると例の男性がテーブルを拭いたりして準備をしているようだった。

 「あの〜、すみません。私昨日お会いした者ですが…」

 そう男性に向かって声を掛けると、男性は振り向いて笑顔で頷いた。

 「こんなに早く訪ねてくるとは流石に思いませんでしたが、何か聞きたいことでも有りましたか?」

 私は男性の質問にフェンリルを一瞥して事の詳細を話した。

 「…という訳でその人が居れば、私達で何とか出来ないかと。あ、相場が分からないので足りるか分かりませんが今用意できるお金も持ってきました」

 私が話をし終わると男性は考え込むように顎を抓み暫く黙ってしまった。沈黙が続くが、じっと耐えて待っていると、男性は私達を準備していたテーブルに着かせた。私達が席に着いたことを確認して、男性は裏手に消えていった。少しして男性は誰かを連れて戻ってきた。

 「お探しの奴隷はこの者でしょうか?」

 そう言うと男性はクビに鎖の付けられた10才前後の少女を私達の前に出した。

 「いえ・・・こんな年齢の「レオネール!!!」?!」

 私が言いかけた言葉を遮るようにフェンリルが少女の名を呼んだ。

 「コハク、どういう事?こんな小さな子供を探していたわけじゃないでしょ?」

 「いや、確かにレオネールだ」

 私は理由が分からなかった。フェンリルの先の説明では明らかな成人男性を探していると理解していた。容姿でも名でも・・・・・。

 レオはこちらの世界ではオスという意味を持つらしい。だから兄妹だったりすると兄にレオ、妹にはフィンと付けたりすることが多いそうだ。

 しかしフェンリルにレオネールと呼ばれた子どもはとても男の子には見えないし、成人とも思えない。私は何か聞き間違えたのだろうか?

 「神子様、この子どももしかすると・・・・・」

 ジュランが何やら思い当たる節が有るという感じ。

 「後で説明します」と小声で耳打ちしてくれた。フェンリルは男性の側に居る子どもから目を離さない。ミリロはそんなフェンリルと子どもを交互に見ている。ジュランは男性を睨むように見ていた。

 「すみません。その子はどの様な経緯でこちらに来たのでしょうか?」

 私は3人に問いただしても今は無理だと悟り、男性に質問をすることにした。すると男性は守秘義務だったり商売としての情報の秘匿だったりで全ては話せないが、と前置きして話してくれた。

 「この子はある国で借金の形に奴隷商に売られていました。それを私が買ったのです。その国では一般奴隷であっても扱いはこの国より劣ると言われています。其の為奴隷となった者も買い戻し金が上がっても他国の奴隷商に買われることを望む者も多いのです。ハイエルフ族であるこの子は今回の目玉にしようと思っていたのですが、貴方が買われると言うなら今この場で契約いたしますが」

 男性の言葉にフェンリルは私に視線を向けてくる。正直驚いた。只の人間の少女に見えるからだ。多分私以外皆分かっている。この子がハイエルフだって。普通の子どもなら大してお金も掛からないだろう。しかし、容姿端麗なハイエルフならその金額は大きく違ってくる。相場が分からない私には今手持ちの金額ならば足りるだろうと思うが、もしそもそもの相場自体を読み間違えていたら、魔力がケタ外れて多く、多くの魔法を使いこなすとされるハイエルフは一体いくらの値になるか・・・・・。

 「その子が何故ハイエルフだと分かったのですか?私には今だに人間の普通の少女に見えますが・・・・?」

 「貴方は魔法は使われないのですか?召喚者なら魔力は有るはずですが?!」

 男性の返事の意図が分からない。見た目エルフにすら見えない子どもが何故ハイエルフなのだと聞いたつもりが、私の魔力を問われるとは........。

 「魔力はありますし、魔法も使います。それは今は関係ないですよね!?私は」

 話そうとしたら男性に手を前に突き出されストップの合図をされてしまった。

 「魔力をためて、この子を見てみて下さい」

 いきなりそう言われ訳が分からない。分からないが、言われた通りやってみる。

 するとどうだろう。少女の周りに蜃気楼のような揺らめくものが見える。それよりも驚いたのは確かに彼はエルフの青年だった。

 「どういう事ですか?」

 私の質問に男性は私達の居るテーブルの側によってきて、指を鳴らし裏に居た従業員らしき人にお茶を持ってくるように指示していた。そうして男性も席に着いた。

 「貴方も見た通り、彼は自分に幻惑魔法を掛けています。それは人もエルフも出来るものは多いかと思いますが、この幻惑魔法、意外と魔力消耗が激しい魔法の類なのです。それ謂え、人ならば数時間から半日持てば良い方でしょう。エルフでも1日掛け続ければ魔力切れを起こします。しかし彼は数日経った今も幻惑魔法を自身にかけ続けられています。それの魔力量が彼がハイエルフ足る根拠です。奴隷自体に詳しくない貴方でもハイエルフが相当な値で売り買いされているのは想像できるでしょう。人間で魔法が使え20才そこそこの青年なら10ゴルドから80ゴルドと言ったところでしょう。本人の借金の金額にもよりますが、20才そこそこなら1ゴルドから15ゴルドの借金が相場。それ以上の返済は貴族でも無い限り平民には見込めません。ですので、高くても80ゴルドもあれば大抵の奴隷は買えてしまうでしょう。女の場合はまた変わりますがね。しかし、エルフでその10倍、ハイエルフならそのまた10倍するでしょう。いかがされますか?」

 何この人・・・・・・。昨日と全然別人のようだと思った。少し怖かった。奴隷商って皆こんなものなのかな?私はそうそうにこの場を引き上げたかったがそうも行かない。歯を食いしばり、その場に留まる。フェンリルを見ると視線が床を見つめているようだった。流石にそこまでするとは思っていなかったのだろう。私は意を決して男性に尋ねた。

 「その方はいくらでこちらに引き渡して貰えるのでしょうか?」

 私がそう言うと男性はほくそ笑み7,500ゴルドだと言った。手元には8,000ちょっとのお金がある。買える。私は3人にそれぞれ視線を合わせ3人が頷くのを確認する。私は男性に向かって、「買います」と告げた。男性は商売人らしく笑い「契約成立ですね」と言った。お茶を持ってきてくれた男性が準備よく契約書も持ってきていた。当然奴隷なんて初めてで書面で契約を交わしたら終わりと思っていたら違った。書面の下部になにかの文様のようなものがあり、男性と私とが署名をした後、その文様をハイエルフの青年の首元に押し当て何やら呟くと文様が光だし青年の首元に入れ墨のように刻印されていた。

 「これで契約完了です。流石にこの値だと買えないだろうと思っていたのですがね」

 男性は私にそういい、契約書を渡してきた。

 私はそれを受け取るとジュラン達に見せた。ジュランもミリロも頷いてくれたので大丈夫のようだ。

 「なら、この人は私達が引き取らせてもらいます」

 「ええ、また奴隷が必要の際はお声がけ下さい」

 心のなかで二度と来るものか!と思った。

誤字脱字報告宜しくお願いします。

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