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偽装

 3人の奇妙な行動の理由が分かり、皆で一旦部屋へと戻った。それぞれが好きな場所に座り寛ぐ。皆が誰が先に話し出すか探り合っているような雰囲気だ。何となく気まずい・・・・・。仕方なく私から話そうと声を出そうとすると、意外なところから声が聞こえてきた。

 「この2日間、われはこの街の奴隷商を回っていた。ある人物が奴隷商に買われたと聞いたからだ。その人物は昔われが世話になったことのある者だ。だから救い出せるなら、救い出したかったが手がかりが無かった。従魔でありながらお主の元を離れて済まなかった」

 そう言ってフェンリルが頭を垂れた。

 そっか、フェンリルにもそんな人が居たんだね。余り人と関わる種族じゃないって話だけど、そんなことばかりでな無いんだろうな。

 そんな風にフェンリルの話を聞いていたら、今度はミリロが話しだした。

 「私はフェンリル様に置いていかれて、どうして良いか分からず街中を探し回ったら、奴隷商を探しているようだったと教えてくれる人が居て、それで私も奴隷商を当たっていました。結局宿に戻ってきているフェンリル様に会うまで1人でした。買い物はしていません。だからお金も必要無かったんです」

 なるほど。お金が足りなかったと言っていた割に受け取らずに朝早くから出掛けたのはその所為か。

 続いてジュランが話しだしたが、こちらは意外な話だった。

 「私は外壁の外へ出ていました。そこで水神様と会っていました。その時水神様が神子様の誕生日を教えてくれたのです。人で言うところの誕生日が明後日だと。水神様と情報交換を終え、街へ戻り神子様に何かいいものがないか探していました。そこで神子様が”味噌”という食材を甚く気に入っていたことを思い出し、そのお店で何か他にその様な食材がないかと探しておりました」

 三者三様の理由で動いていたんだね。

 「オリファンとは今までも定期的に連絡取り合っていたってこと?」

 私は単純な疑問をジュランにぶつける。

 「はい。神子様のことを守るように言われているのは何も私達だけではないのです。水神様もクピト様に恩を感じている御方なのです」

 そっか。創造神は創造神になる前は愛の神様だったけ!?皆に優しい神様だったんだろうな。

 そんな話をしていると、部屋のドアをノックする音が聞こえた。

 「食事の時間になりますが、どうされますか?食べられないようなら他のお客さんに食堂開放しますが」

 皆で顔を見合わせ「「「「直ぐ行きます(食べる)」」」と返事をした。

 宿でゆっくりと食事が出来る最後の夜だ。皆で食事を堪能しよう。

 食堂に降りていくとテーブルに食事はもう用意されていた。皿から湯気が立ち上り美味しそうだ。急いで席へ着き、食事を始める。

 今晩のご飯は魚の姿煮と、パイタンスープの様な汁物とブロック肉と大根を炒めたもの、野菜と卵を炒めたもの等多くの種類の料理が並べられていた。

 「3泊の滞在の宿からの礼です。沢山食べてくださいね。明日はいい出立になりますように!」

 そういいながら宿の人が私とジュランとミリロのグラスに酒を注いだ。フェンリルには既に酒が注がれた深い皿が置かれた。宿の粋な計らいに私達は良き旅になることを願って乾杯した。

 明日は早い出発になるため私は一杯で遠慮したが、3人は大いに楽しんでいた。

 明日大丈夫かな・・・・・・。心配だ。


 翌日、・・・・・酒は残らないらしいとなれば良かったのだが、許容量を3人とも超えたらしい。起きない。何度も頑張って起こそうとするが死んでいるように反応しない。仕方なく私は宿の主人と交渉をした。延泊したいと言ったら、嬉しそうにOKしてくれた。宿泊客の少ない時期で良かったよ。

 こちらの世界にも年末年始に近いような風習は在るらしく、その時期ならそもそも予約のない飛び込みの宿泊は出来ないらしい。しかし、森が雨季に入るこの時期は観光客を含め、商人の宿泊も少ないらしい。持ち込んだ品物をとっとと売りさばきさっさと帰ってしまうらしい。だから私達のような客が喜ばれたのだ。ま、こちらとしても運が良かったのだろう。

 宿との交渉がすんなり行き、部屋へと戻ると、起きていそうだが二日酔いで起きてこられないような酔っぱらいがう〜う〜唸って居た。

 「皆大丈夫?お水要る?」

 「私欲しいです・・・・」

 そう言ったのは珍しく寝相の悪いジュランだった。私はジュランの側まで行き、お水を渡してやる。ベッドの縁に背を預け何とか上半身だけ起こし水を飲む。その姿は二日酔いのオヤジだ。そのジュランを見ているとぬ〜っと隣で手が上がった。何かと見るとミリロが右腕をあげていた。

 「ミリロどうしたの?お水要る?」

 声を出さないまま頭だけが布団に埋まったまま動いた。

 頷いたんだよね・・・?お水要るって事だよね。布団に埋まっているため反応が分かりづらいが、水をミリロの手に持たせてやると海老反りの様になり、無理やり水を飲んでいた。

 獣人って体柔らかっ!

 飲み終わったグラスを布団に埋まったまま差し出し、また寝てしまった。こりゃ1日無理だわ・・・。

 私は今日は1日3人の解放かと思っていたが、昼直前には復活して皆起きてきた。

 朝飯を食いのがしたのが悔しかったらしい。

 宿は朝と晩の2食は提供してくれるが、昼飯は無いので、皆で街の食事処まで出掛けた。


 「皆本当に大丈夫なの?こんなことになるなら、昼から出発にしておけば良かったんじゃ・・・」

 「何を言っているのですか、神子様、素材の換金はまだでは無いですか?今日はギルドに行って素材を換金しますよ。其の為に私達は狩りをしたんですから」

 ジュランに言い返されてしまった。

 そうなのだ。素材の換金のことをすっかり忘れていたのだ。この街で換金できなければ、次の街までは遠い。肉や自生していそうな物は大丈夫だけど、買わなければならないものも当然在る。其の為には金がいる。ここで換金できていなければ、金が尽き水や食料が不足し死んでいたかもしれない。狩りだけでは賄えないのだ。この時代の旅は以外に厳しい。

 「そうだ、コハク、昨日奴隷商って言ってたけど、私昨日奴隷商をやっている人と話したんだよね!?そこはもう尋ねてたのかな?えっと・・・・あ、名前聞かなかったや」

 私は肝心な事を聞いていないことを今更気がついた。

 「其の者の容姿はどの様な姿なのだ」

 フェンリルが質問してきたので、男性の容姿を思い出しながら答えた。

 「いや、昨日は尋ねていないな。其の者の奴隷商は何処に在るかわからないか?」

 「あ〜、多分分かる。行けると思うよ。夕方から開いている所みたいだから、夕飯前に行ってみようよ」

 「そうだな。手がかりが無かったから、少しは希望が持てればいいがな・・・・・」

 フェンリルは恩人が気になるのだろう。

 そりゃ嘗ての知り合いや友人が久し振りに見かけたら奴隷になってましたって心配するだろう。

 「ギルド行って、素材沢山買い取ってもらおう。それで、その人助けられたら良いね」

 そんな話をしながら皆好きなものを注文し簡単に昼ご飯を済ませギルドへと急いだ。

誤字脱字報告宜しくお願いします。

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