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さみしい気持ちと新たな出会い

 お風呂から上がり宿へと向かう。

 貿易が盛んな街だからだろか、夜でも人が街中に結構居る。ギルドが有ったり露店等の店が多い栄えた町でも夜になると人っ子ひとり見当たらない町もある。街灯もそれ程多くないこの世界ではこの街は夜も明るい。基本酒を扱う店だか開いている店も結構ある。

 「あ、この店確か昼間開いてなかったはずじゃ・・・・・。せっかく外に出てきてるんだし覗いてみるか!」

 私は好奇心に負け、店の中に入って行く。扉を開け中を覗くと直ぐ側に大きな体の男性が立っていた。あまりにびっくりしすぎて変な声出た....。

 「すみません......。ここのお店ってなんのお店何ですか?」

 男性は私の頭から足までをずーっと見て答えた。

 「奴隷商だ。お前みたいなのが来るところじゃない」

 男性は高圧的に私を威嚇し追い返したいようだった。取り敢えず1人なので素直に従い引き返した。

 帰ったらジュラン辺りに聞いてみよう。

 宿へ戻り部屋へ入ると、皆既に寝てしまっていた。私は足音を出来るだけ立てないように自分のベッドに入り寝ることにした。諸々は明日忘れないようにすれば良い。今晩は寝るとしよう。


 朝になり窓から日が入り目を覚ます。

 周りを見ると皆既に居なかった。

 「もう起きてるのか。早いな~」

 私はボーッとする頭で独り言を言い、ベッドから出た。着替えをして食堂へと行く。食堂の中を見回し皆を探すが見当たらない。しょうがなく宿の人に皆のことを尋ねた。

 「すみません、3人は?」

 「…あ〜、最上階のお客様ですね。他の方はもう既に出掛けられましたよ。朝ごはんは弁当に詰めてくれと言われ、お弁当にしてお渡ししました。お客さんはどうしますか?」

 宿の人に聞かれ、戸惑いながらも食堂で食べると伝えた。なんだか避けられている様な気がする……。

 私は1人で朝食を済ませ、今朝忘れる前に渡そうと思ってたお金をそれぞれ分に分けて小さめの麻袋に入れた。後する事が無いので、明日直ぐにでも出られるように荷物を纏めておいた。

 それも昼前には終わり、仕方なく街へ出た。

 宛もなくブラブラしていると昨夜見た男性に似た人がいた。気になって観察しているとその人だった。昨晩は目元をマスクで隠して居たけど、間違いなく昨晩の男性だった。どうせ宛も無いので気晴らしに尾行してみることにした。男性が居る道へと出て少し離れて見ていると、露天の店の店主と何やら話していたり道行く人と挨拶したりしていた。

 「昨晩の印象と随分違うな〜」

 そんな独り言をぼそっと呟いた。すると男性は私の方に振り向きこちらに会釈をしてきた。驚いて一歩後ずさる。男性がこちらに向かって歩いてきた。

 「どうしよう....。逃げようかな」

 遅かった。

 「こんにちは。昨晩はどうも。お一人で買い物ですか?」

 「・・・・・・ああ、ええまあ・・・・」

 なんて不格好な返しだ!何となく足元を見られそうで焦ったら上手く声が出なかった。

 「お時間あるようでしたら近くのカフェでお茶でもしませんか?」

 男性の言いぶりに何かが引っかかったが、上手く断る言い訳も思いつかなかったので「はい・・・」とだけ返事をした。

 男性の後に付いて、紅茶の茶葉の匂いだろうかなんとも落ち着く匂いの店に入る。

 イスを引かれた席に大人しく座る。

 「ありがとうございます」

 「いえ、女性のエスコートは男性の仕事ですから。この店はダージリンに似た紅茶がありましてそれがお勧めですが、他にも美味しいものがあります。どれにしますか?」

 男性がメニュー表を見せてくれた。しかし男性の言葉で何に引っかかったのかが分かった。

 ”カフェ”という単語に引っかかったのだ。この世界にカフェなんて言葉は無い。店はどんな店であろうと店だ。だから野菜の店や誰々さんの店など、売っているものや店主の名を出してその店を表す。

 この人何者?!

 「私も貴方と同じですよ。・・・・それより何にしますか?」

 「・・・・・・?!あ、じゃあダージリン似のお茶で・・・・」

 私がそう言うと男性は店主に注文を伝えた。

 「あ〜、甘い物お好きですか?一緒にケーキなんてどうですか?」

 「あ、いえ。お茶だけで・・・・」

 「そんなに警戒しなくても。貴方が聞きたいことで答えられることは答えますよ。この世界の事でも”地球”の事でも!」

 やっぱりだ。この人もこの世界に召喚された人なんだ。”?!”そう確信した瞬間浮かんだ疑問がある。

 「この領地の初代領主の事、知ってますか?」

 私の唐突の質問に、男性は穏やかな顔でこちらを見つめた。そして静かに答えた。

 「知っていますよ。ただ、当然この世界では何百年も昔の人です。こちらでは有ったことはありません。しかし・・・・・」

 男性が話をしていると、店主が2人分のお茶とケーキを持ってきた。

 「すみません。女性は甘い物好きと勝手なイメージが有ったもので、先に頼んでしまいました。お嫌いでなければどうぞ。苦手な様なら私が娘に土産に持って帰りますからお気になさらずに!」

 男性には家族が居るようだ。

 「では、遠慮なく頂きます。それよりも先程の話の続きを聞かせて下さいませんか?」

 「そうですね。今の貴方には些細な事でも情報は大事でしょうかね。初代領主の事でしたね。こちらの世界では有ったことありませんが、地球では同じプロジェクトで一緒に仕事をしたことがあります。タカシは日本の商社勤務で当時ニューヨーク支社へ転勤してきていました。アメリカで働いてみたかった、夢がかなったと当時喜んでいたのを覚えていますよ。私達のプロジェクトは上手く軌道に乗り、後は運用班に引き継ぎをして私達の仕事は終了という時、なんの連絡もなくタカシは居なくなりました。同僚数名で部屋を尋ねても家具や衣類はそのまま、コーヒーカップも飲みかけのものがテーブルに残されたまま。私は少し政府機関に伝手が有ったものでそれを頼ってタカシの捜索を依頼しました。が、なんの情報もないまま捜索は終了となりました。日本の家族には会社から連絡してもらい、タカシのワイフのミチコという女性がニューヨークまで来て、ニューヨーク市警等方方を回って探し回っていたようです。私が政府機関に頼ってそこが捜索を諦めたのですから、市警などでは何も得られなかったと思います。それから数年して私も友人たちとゴルフをしに出掛けていたゴルフ場で・・・・。この世界に召喚っていうんですか、された時は何がどうなったのか理解できずにパニックになりました。しかし、召喚した者の1人から詳しく話を聞くことが出来、ある程度のことは理解しました。一緒にゴルフをしていた友人達はきっと探し回っているだろうと思います。しかし私には無事を伝えることすら出来ません。数日悩みましたが、帰るにしたってどうすれば良いのか分からない現状では何も出来ません。だからこの世界で生きて情報を得ようと決めたのです。召喚した者達は私を大賢者だといい、その国の為に尽力することを望んでいましたが、私は断りその国を出ました。その国のものはその場では諦めた様な口ぶりでしたが、私が国を出るまで何度命を狙われたか」

 そう話す男性は苦笑しているようだった。

 「その国は何処ですか?」

 「10数年ほど前に亡国となりました。当時の国名は確か倭国だったと」

 「・・・・・・?!」

 私の驚いた顔を見て男性は大丈夫かと尋ねてきたが、何とか大丈夫だと返した。

 「その倭国という国は現在は無いのですね?」

 「ええ、今はどの様になり、国であるのかさえ分かりません。私がその国の情報を得るのは私の居場所を教えてしまうようで怖くて知る必要のないことと・・・・」

 男性は落ち込んだような、少し困ったような顔で視線を落とした。

 私は男性から聞いた話を上手く飲み込めずにいた。

誤字脱字報告宜しくお願いします。


長くなるので途中ですが切りました。

明日、書き上がり次第更新します。宜しくお願いします。

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