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立ち往生な気持ち

 あの後、一本向こうの通りを歩き目的だった店の近くまで来て、元の通りに戻っらその店の隣の道に出ていた。この街は中心地に近くなればなるほど碁盤の目の様な街づくりになっているようだ。外壁に近い所は円のような外周路に脇道がありそこから街の中へと入っていくような作りだ。魔物や敵襲から街を守る為の作りなのだろう。ウェザーリアンはもう少し違った街づくりになっていた。それでも魔物や敵襲用だろうなと思わせる通りにはなっていた。

 店は日本の青果店の様な作りではなく、雑貨店等の様な扉を開けて入る建物になっている。その扉を開けて店の中に入ると、野菜独特の匂いがしてくる。腰くらいの高さの棚に並べられた野菜を見ていく。気になっていた野菜をいくつか見つけそれを購入する。他にもキルト料理に使われる一般的な食材を店の人に聞きそれらも購入した。

 買い物の間中もミリロ達の事を考えていた。きっと立ち入った話になる。それは間違いないだろう。このまま旅を続ける限り、聞かなきゃいけない時は必ずやってくる。その時私はちゃんと聞けるだろうか。下手な遠慮をしてギクシャクすることになったりしないだろうか…。グルグルと頭の中で同じ考えが繰り返されるばかりで、答えも気持ちも定まらない…。フェンリルの事だってそうだ。聞かなきゃいけないことが沢山ある。でも、怖くて聞けてない。今はまだそれ程支障はない。考えてもしょうがないと、棚上げすることにした。只の先延ばし行為だ。でも今はそうするしか出来ない。

 「そんなことより、皆に美味しいもの作って食べてもらわなきゃ!旅は続くしね」

 そんなうわべの誰に言ったわけでもない言葉で気持ちを切り替えた。

 私はそろそろ夕飯の時間になるだろうと宿へと引き返した。


 宿へ帰ると3人とも一緒に食堂で待っていた。

 「皆に一緒に帰ってきたの?」

 私は皆に聞いた。

 「われが1番乗りだ。お主遅かったな。何処に行っておったのだ?」

 「昨日気になってた青果店に…。ミリロとジュランはお目当てのもの買えた?」

 私はそう言いながら席へ付く。

 「私は見つかりませんでした」

 そう答えたのはジュランだ。

 「私はいくつか手に入りましたが、小遣いが足りず諦めたものもいくつか…」

 「そっか…。じゃ、ご飯の後に皆それぞれにお金渡すね!」

 「本当ですか!?やったー!神子様ありがとうございます!」

 ミリロが嬉しそうにはしゃぐ。

 そう言えば…。

 「コハクはどうやって買い物したの?」

 「どういう意味だ?普通にしたが?」

 「お金はどうしたの?」

 皆私の疑問が分かったらしくクスクス笑い出した。

 「こ奴ら2人に念視を送り買いたい物のある店まで都度来てもらっていたのだ」

 なるほど、そういう事か!

 「・・・・。今朝ミリロが置いていかれたって言ってたの、そのせい?」

 やはりその様だ。2人して笑ってる。

 「それじゃミリロ達は余り自分の買い物に時間取れなかったんじゃない?」

 「そんなことないですよ。欲しい物が同じ店に有ったりしましたから」

 なるほど。それで買いすぎてお金が足りなくなったのか〜。今度は私が笑ってしまった。

 今日の夕飯もキルトの郷土料理で、キッシュぽい料理と街の外壁の外回りでよく取れる雉の様な鳥を煮込んだシチュー。それとキルト産の野菜を炒めたものが出た。どれもとても美味しく、特に3人はシチューがお気に入りだったようで、レシピを聞いた。

 「この辺でしか取れない鳥みたいだから、街を離れる前には確保しなくちゃね」

 そう言ったら皆目をギラギラさせて殺る気満々だった。狩りはフェンリルだけじゃなくて、ミリロもジュランも好きみたいだから、危険な魔物じゃなければストレス発散代わりに任せたほうが良いかもと思った。

 「そうだ神子様、私達は明日この近くの森で狩りをすることにしたんですが、神子様どうされますか?」

 「私居ないほうが皆楽に狩り出来るでしょ?!良いよ、皆で行っておいでよ。街での買い物があれば私が明日しておくから」

 「宜しいのですか?…ではお願いします。後で私達が欲しいもののリストをお渡しします」

 私はジュランの話に頷いて夕飯を続けた。フェンリルは相変わらず早食いで、食べたらとっとと部屋に帰ってしまった。ジュランとミリロも食べ終わり先に部屋へと戻って行った。

 あ、お金……。ま、部屋で渡せば良いか!私はのんびり1人で夕飯を済ませ、今回使った雉の様な鳥肉の他のレシピも聞き部屋へ戻った。

 フェンリルはいつもの通り床で寝そべり、ミリロとジュランはベッドで寝そべって喋っている。

 「皆お風呂は?近くに大衆浴場あるって。行かない?」

 「・・・・・いえ、私は・・・遠慮しておきます。部屋のシャワーで十分です」

 「えっと・・・・・私も・・・・・」

 「そっか・・・・・・。コハクは・・・・・お風呂入らないもんね」(本当は定期的にシャンプーして清潔にしてほしいのに!!!)

 私がそういうと当然のことを聞くなとばかりに顔を背けてしまった。私は仕方無しに1人で教えてもらった大衆浴場に行くことにした。

 今朝の事が有ったから、何でもないことでも距離を感じてしまう。思い込みだって分かってるけど、皆といつも一緒に居て、1人で道を歩くと恐ろしいほどの孤独を感じる。

 「あ、あ〜(落胆)。また忘れた。3歩歩いたら忘れるニワトリの頭かよ!!」

 自分で自分の阿呆さに怒りが込み上げてくる。それでも消えない孤独感。

 この街に居るのは明日まで。しっかりしなくちゃ。

 自分の頬を2〜3発平手打ちして、気合をいれる。街の大衆浴場に着き、ゆっくりとお湯に浸かる。この時ばかりは気持ちが緩む〜。顔を天井に向け、結露で落ちてくる雫を見た。

 皆で居るのも良い。たまには1人で居るのも良い。ただそれだけだ。明日こそ気持ちをしっかりと切り替えて、「皆にお金を渡そう!!」そう呟いて、1人心の中で突っ込む。

 明日こそ皆にいうぞ!そう決意して風呂場を出た。四季はないこの世界でも夜風は少し寒かった。

誤字脱字報告宜しくお願いします。

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