意外な所で魔力飴?
ジュランにタイフーンの訓練に付き合ってもらってダメ出しをしてもらっていて分かったこと。私はタイフーンを使えていなかった。そもそもカルマさんの特訓の時でもタイフーンを使えていたのか疑問。それを解消するためにカルマさんを訪ねたのだけど・・・。
「カルマなら、もうじきやって来る水害に備えて村を一昨日出ているが・・・」
村長が出てきてくれて、そう教えてくれた。
「そうなんですか・・・・、すみません。私達気づかなくて・・・・」
「いや、すまんな。カルマはてっきり伝えて出ていっているものだと思っていたから。後1月もしない内にこの森一帯が大雨の時期になる。窪地や土地が弱いところは毎度水害に見舞われるんだがな、この村もカルマが守ってくれなければ即席のダムの様な状態になってしまう。それをカルマが魔法で守ってくれているんだ」
「え?!でも、オリファンが・・・・」
「水神様は守り神だが、我らの村だけを守る守り神ではないからな」
私はオリファンに助けられてこの村に連れてこられて随分この村の世話になっている。この村がそんな苦労を抱えているなんて知らなかった。ただ毎日平穏に幸せに暮らしている村だと思っていた。
「カルマさんはどれくらいで戻られるんですか?」
「雨が止んだら直に戻ってくるさ」
私は村長の言葉を聞いて、その場を後にした。
この村がどれほどの水害にあうのか分からないけど、守り神であるオリファンが何もしていないわけはないと思う。私もこの村の一員だと思っている。だったらちょっとでも役に立たなきゃ!
「ジュラン、オリファンに会うにはどうしたら良いんだろう?」
「オリファン様に会ってどうなさるおつもりですか?」
「オリファンはこの森の守り神でしょ?ただ見守っているってだけじゃないと思うんだ。オリファンならちゃんと対策はしているような気がする。それでも水害に苦しむところがある。この村だけじゃないって話だし・・・。鬼神属の村もここからそう遠く無いはずでしょ?だったらそこも苦しんでるんじゃない?そうなれば益々オリファンが何もしていないのはおかしいと思う。だからこの水害の時期を今までどうやって凌いできたのか、何故そんなにも雨が降り続くのかを聞こうと思って」
私の問に何故か安堵したジュランは、「そういうことなら」と、オリファンに連絡を取る手段を教えてくれた。
なんてこと無い、念視だった。
いや、だったら今までだって連絡取り合えたのでは・・・・?ま〜、今は置いておこう。
”オリファン、聞こえる?オリファン?”
”・・・・珠子か?!珍しいな。どうした?”
”この森の水害について聞きたいの”
”そうか今はまだハイエルフの村に居るんだったな”
”そう。で、タイフーンの訓練をしているときで、上手く行かないからカルマさんに聞こうと思って訪ねたら、村長さんが水害を防ぐためにこの村に今いないって教えてくれて”
”そうか。一時待っていてくれ。そちらへ行く”
そう言ってオリファンは念視を切った。
それをジュランに伝えると、広場が見える庭先で待っていれば良いだろうって、家に戻ることにした。
ジュランと玄関先の階段に腰掛けて待っていると、結界の蔦がシュルっと引っ込み開いた。そこから久し振りの人型のオリファンを見た。
長い銀髪に毛先を結紐で纏めて服装は日本の神官の様な出で立ち。端正な美青年に見えた。オリファンは神に準ずる力を持っているから、姿かたちは好みのままに変え放題なんだろうなと思った。
その美青年が私達の方に向かって歩いてくる。私達もその場から立ち上がり、その青年を待つ。
その青年が私達の目の前に立つと、ニッコリと笑って「久しぶりだな」と言った。
「オリファン、本当に久しぶりね。創造神様と会った時以来かな!?」
「そうだな。元気にしていたか?」
「うん。皆元気にしてたよ。フェンリルは相変わらずで、私達の言う事聞かずに好き勝手してるし、ミリロはダラケまくってるし、ジュランと私はいつも通り!」
私がそう答えるとオリファンは幸せそうな笑顔になった。
「この村で話すのもなんだ、外へ出られるか?」
オリファンのその物言いに引っかかるところは有ったけど、オリファンに従い村を出て話すことにした。
村から少し離れた、カルマさんがタイフーンの練習場として案内してくれた広場に来ていた。
私とジュランが倒木に腰掛け、オリファンは近くの切り株に腰掛けた。
「先ずは珠子の聞きたいことから聞こうか」
腰掛けた後、黙ることなく直ぐにオリファンがそう言ってくれたので、私は頭の中を整理し、聞きたいことをすべて聞いた。
オリファンが説明してくれたのは、この地帯一帯が元々雨季に水没する場所が多く在る場所だと言うこと。それを分かったうえでオリファンが森を作ったということ。森を動かすことも僅かに動かすだけなら可能だが、大移動という程動かすことはオリファンの力では出来ない。それを分かった上でこの場所に森を作ったのはこの世界に於いて水資源はとても貴重ということ。天気を司る神でも無い限り日照りも水害も耐えるしか無いのがこの世界の当たり前ということだった。当然元いた世界のダムを作るほどの技術は存在しない。それを理解した上でみなこの森に住んでいるという。オリファン自身は水神様と呼ばれてはいても、神の様な力はないため、森に住まう住人を守ることが精々だと言うこと…。
「なら、カルマさんは何をしているの?」
「ハイエルフの中でもカルマは魔力譲渡が上手くてな、そういった者を各村から出してもらって私を助けてもらっているのだ」
「オリファンを助ける?」
「ああ、私とて長期間魔力を放出し続ける事は出来ない。だから魔力譲渡ができる者から魔力を借りてこの雨季を乗り切っているのだ」
魔力で守ってるのか〜。結界を張るとかかな?ま、どっちにしろかなりの期間みたいだから、その間ずっとってなるとしんどいよね。そっか〜、私も何か手助け出来れば良かったんだけど…。
そんな事を考えていると隣で大人しく聞いていたジュランが、ツンツン私を突付いた。
私がそれに振り向くと、ジュランはこそっと耳打ちして来た。
(神子様、あの飴は如何でしょうか?流石に神の子である神子様が魔力譲渡をするのは拙いと思いますが、あの飴であれば…)
ジュランのその言葉に私はジュランを見つめた。そしてグッドアイディアと合図した!それにジュランも笑顔で返してきた。
「オリファン、私こんな物持ってるんだけど、使えないかな?」
そう言ってオリファンに魔力飴を差し出した。
オリファンは不思議な物を見るように困惑している。ま、初めて見るものだろうしそうなるよね…。
「これね、私の魔力を固めた物なの。口に入れて溶かすように食べるもの何だけど」
「食べる…?魔力を?」
「そっ、ジュランもいる?」
ジュランにそう聞くと喜々として頷き飴を受け取り口に入れた。魔力飴は魔力譲渡とは違うが、似たような効果もある様で、ジュランの魔力量が上昇したのを感じたオリファンは受け取った魔力飴を1粒口へ入れた。
「お〜、これは…凄い。どんどん魔力が…そう、補強されていくような感覚です」
気に入っえもらえたようで!
「魔力譲渡代わりに使えないかな?」
「これがあれば、皆を村に返してやれるかもしれません」
「本当に?なら、大至急飴大量に作るけど、どれくらい必要そう?」
私のその言葉にオリファンは喜色満面の笑みを浮かべた。
「1月以上雨季は続きますから、1粒1週間として10粒程頂ければ…」
「え?そんなんで良いの?じゃ〜、予備として20渡しとくね。軽く100以上居ると思ってたからちょっと焦ったけど、間に合って良かったよ」
私はそうオリファンをみて笑った。
これでタイフーンが何なのかがきっとわかる。
カルマさんの・・・・・地獄の特訓で…?
誤字脱字報告よろしくお願いします。




