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ジュランと共にタイフーン

10日も更新せずに申し訳ありません。

日がたったにも関わらす、会話がほどんどの回です。

 休憩の後ジュランと共にタイフーンの特訓に入った私は、傍で見ていてくれるジュランのアドバイスを元に駄目な所を直し再挑戦し、また直すといったことを繰り返していた。

 「神子様、やはり私には風魔法を使用しているように感じます。魔力も風を示すものかと・・・」

 「え?そう?カルマさんにはちゃんと見てもらってこれで良いはずなんだけどな〜。なんでだろう?」

 「やっている内に力の制御で楽な方へ行っていないですか?」

 「楽な方?」

 「ええ、魔法は魔力適性が関係していることは理解していますよね?例えば、土属性の適性が有って、風魔法も使える者が居たとして、そのものがちゃんと意識して風魔法を使わないと、土煙が舞ったり礫にもならないくらいの小石が混ざる風が起こったりするんです。要するに、適正とは他の魔法より苦労なく発動・使用継続が可能な魔法のことをいい、そうでないものは適正が出ません。適性が出ていなくても使える魔法が在るのは属性によって必要となる魔力量が違うため、その属性に必要な魔力保持があればその魔法は使用可能です。1番魔力量が少なくても使えるのが水魔法、ついで土、その次が風、基本属性で1番魔力量が必要なのが火です。ただしこれは初級魔法を使用するための魔力量のことで、上級魔法を使用する場合はまた違います。ここまでは宜しいですか?」

 ジュランが説明してくれたことは初めて魔法を習った時にサーディンやテンディー等が教えてくれたことと同じだ。

 「ええ、大丈夫よ。以前にも同じ様な説明を受けたことがあるわ」

 「では続けますね。そのうえで今神子様が使われていた魔法はタイフーンの魔力量では無いと思われます。私自身タイフーンの魔法を直に見たことが無いので使用する魔力量までは分かりませんが、風属性は分かります。今神子様が使われていたのは、風の上位魔法のように感じました。威力は大分抑えられているように感じますが、風の上位魔法で間違いないかと・・・。では、何故タイフーンが風の上位魔法に変わってしまったのかですが・・・神子様のイメージがタイフーンのイメージから風のイメージに変わられてしまったからでは無いでしょうか?」

 「私のイメージが変わった?」

 「はい!何かお心あたりはありませんか?」

 ジュランにそう問われて私は記憶を手繰る。しかし、そう悩むことなくこの記憶にたどり着く。

 カルマさんとメンチョウ鶏を飛ばしていた時に成功した感覚が”つむじ風”だったのだ。タイフーンという名から雨風をイメージした。当然成功したこともありこの”つむじ風”の感覚が正しいのだと思い込んだ。しかしそれが間違いだった・・・・?

 「ジュラン、タイフーンって雨風を強く強力にしたようなモノよね?」

 「いえ、違います。・・・・・神子様はタイフーンをご存知無いのですか?」

 「いや〜、元いた世界ではタイフーンに似た気象用語があって、それが強力な雨風の竜巻みたいなものだからタイフーンもそうかなって思ったんだけど・・・違うの?」

 「風は確かに起こりますが、雨は関係ありません。そもそもタイフーンとは風の刃に雷や氷の刃を混ぜた様な魔法で、広大な範囲の物や人を巻き込みながら切り刻んで行く魔法です。どちらからと言えば風属性の鎌鼬に似ているところが在るでしょうか・・・」

 ジュランの説明を聞いて、カルマさんは私になんて魔法を遣わそうとしているのだと怖くなったが、・・・確かに言っていた。タイフーンを使える魔法師は戦争に必ず駆り出されていた、と。

 なるほど、鎌鼬に雷や氷の刃ですか・・・。そりゃ〜敵味方関係なく殺したい放題ですわなー!!!

 後でカルマさんに文句を言うということは今は置いておいて、ジュランの説明で納得した私はこの魔法を使えるようにしたほうが良いのか悩んでしまった。今更だけど、完全に人殺しの魔法だと感じるこの魔法を使えるようになってしまえばいざという時に私は私一人の身を守るために傍にいるジュランやミリロ、フェンリルを巻き込んでしまうのではと思った。この魔法を使うということは、3人を犠牲にして私だけ助かろうと言うことと同義だと思えてしまう。

 ジュランになんていうか迷っていると、ジュランが私の顔を覗き込んでニッコリと笑った。

 「神子様、大丈夫です。私達は神子様が思う以上に頑丈ですし、強いですよ!だから、神子様は自分をちゃんと守って下さい」

 ジュラン、それはさ、”貴方が助かるための犠牲なら厭わない”って意味でしょ?!

 「納得できないなぁ〜」

 私は思っていたことが口から出ていた。しかし本心だし、ジュランの言い分に悲しさと同じくらい腹立たしさも感じたから引っ込めることはしない。

 「神子様〜・・・・」

 「私はあなた達の足を引っ張りたくないの!私もちゃんと戦いたい。でも、それであなた達が傷つくなら、私は負けてもいいと思ってる。私もあなた達を守りたい!」

 私は思いの丈をぶちまけた。ちょっとの恥ずかしさと、言いたいことを言えたというすっきり感で涙が少しだけ出た。

 それにジュランは笑って、「当然です!我々は神子様にお使えするのですから、途中で死ぬことなどありえません!」って言ってくれた。

 言いたいこと言ってよかった。皆、大好きだ。

 私の満足そうな笑顔を見て、ジュランも笑顔を浮かべている。

 「でも、タイフーンって戦争以外じゃ使えないよね?」

 「あ〜、そうですね・・・・。やはりタイフーンの使い手を探して指南してもらうのが1番かと思います。タイフーンの適性が出るものが少ないこともありますが、ある意味無双魔法と呼ばれるほど敵無しなところが在る魔法なので、適性が出ても隠すものが多いと聞きますし・・・」

 「? それは戦争に駆り出されないためじゃないの?」

 「いえ、ま〜それも在るでしょうが、1番の理由は金儲け目的の勧誘から逃れるためでしょう」

 戦争に参加すると報奨金が貰えるとかってことかな?でも、それは国が戦争に勝って、国として存続出来た場合だよね....?

 「金目的の勧誘って、戦争に勧誘って事・・・」

 「いえ、戦争に駆り出すのは国です。戦争に駆り出されても貰える給金は僅かだと聞きます。そうではなくて、ダンジョン踏破のためのパーティーの臨時雇用です」

 OH~!ダンジョン!そうか、ダンジョンってお宝ザックザクって言うもんね。

 「でも、それは双方にメリットが在るんでしょ?パーティーは踏破の永誉と格が上がるんじゃない?それにタイフーンの使い手はお宝ザックザクだし、相当儲かるんじゃない?」

 「いいえ!タイフーンの使い手を雇うのは高ランクパーティーばかりなのです。当然高ランクのダンジョン踏破を狙います。高ランクダンジョン踏破と成れば指名依頼も多くなるでしょうし、そもそも高ランクダンジョンの素材は高値で取引されるものばかりです。それを使い手とパーティーで公平に分ければ問題ないのでしょうが、使い手は何でも無いように階層ボスを倒してしまいます。それを見ている内にパーティーメンバーの感覚が狂って来るのでしょう。大した労力でな無いのだから、分前は要らないだろうと僅かな金貨や結果無報酬ということが後を絶たないことが問題になったことが在るのです」

 「え?!なにそれ」

 私の返答にジュランが頷く。

 「当に、なにそれ!です。神子様はカルマ様の訓練の時、タイフーンを成功させたのでしょうか?」

 「・・・あ〜多分、1度くらいは成功してるはず。そうでなきゃカルマさんの特訓まだ続いているはずだしね・・・・」

 「では、その時どうだったのでしょうか?大した労力では無かったのでしょうか?」

 「え〜?すっごく疲れたよ。魔力もそうだけど、瞬間的にお越してるだけじゃなくて、維持し続けなきゃ意味ないから、それが体力をごっそり持っていかれる感じ?ん〜、そうだな、、、、かなりの長距離を魔力全開放で全力で走り切るくらいは疲れるかな?」

 「それだけのことをして金貨数枚や若しくは無報酬だったらどうしますか?それもダンジョンという危険な場所でのことです」

 「・・・・・暴れるねぇ〜」

 私の返答に満足したのかジュランが笑顔で「ですよね!」と言った。

 「問題になったのはそれが有ったからなのですよ。使い手が残った魔力を使って臨時パーティーにタイフーンを使ったのです」

 ジュランが何が言いたいのかよく分かった。

 当然高ランクの魔物を易易と狩れる様に見えるタイフーンだ。人を切り刻んで殺すくらい分けないだろう。不当に使われたことに抗議をしたが、その抗議が行き過ぎれば被害者と加害者の立場は逆転する。

 「それが問題になるほどの件数起きたってこと?!」

 私の確認の問にジュランは静かに頷いた。

 「その問題があって以降、ギルドはタイフーンの適性持ちの偽装を推奨しているのです。自身で偽装できない場合は格安でギルドがステータス偽装を請け負っていると聞いたことがあります」

 へぇ〜。???

 「その話と、私の特訓となんの関係・・・?」

 「タイフーンの使い手は、パーティーと一緒に狭いダンジョンの中でも魔物だけを狩っています。パーティーに異を唱えたときも、その場に観衆がいなかった場合ばかりではありません!」

 「うん。だから?」

 「タイフーンはちゃんと使いこなせば味方に危害を咥えずに使用可能ということです」

 私はジュランの答えに光を見た。

 無敵な魔法を使い放題・・・・・。

 私は早速カルマさんに相談しようと、訓練を切り上げ、ジュランとともに村長宅へと向かった。

誤字脱字報告宜しくお願いします。

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