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生き延びたものの運命

 珠子が実の親との楽しいひとときを過ごしている頃、精霊の森で身を隠している1人の男がいた。

 珠子と千里と一緒に精霊の森へ捨てられた新村洋輔だった。洋輔は千里と一緒に珠子を餌代わりにして自分たちが逃げる時間稼ぎに使ったが、当時のカムイに助けられ珠子は無事にハイエルフの里で暮らすことになった。しかし、千里と洋輔はカムイからは逃げられたが、森から抜け出すことが出来ずにオークとエレファントベアーに襲われ、2人ともエレファントベアーの腹に収まることとなったのだ。

 エレファントベアーは2人を咀嚼することなく丸呑みしていたため、しばらくは腹の中で生きていた2人だったが、そんな時でも千里は触れることなく責任転嫁してその状況を洋輔のせいだと言い張り、なんとかしろ、自分だけは助けろと騒ぎ立て、その姿に流石に幻想を抱くことを止めた洋輔は、自分のスキルを使って自分だけ助かる方法を考えたのだった。千里と違い、洋輔はスキルを各々確認できると聞いて、直ぐに自分のスキルを確認していた。スキルは盗賊。初めはこんなスキルと落胆していたが、盗賊スキルそのものを鑑定すると、【他者の能力を盗むことが出来る。見て盗んだものは1時間〜数時間程度使用でき、その身を喰った者のスキルは自分のスキルとして習得出来る】と有ったのだ。それが分かってからは盗賊スキルを使えるように密かに練習していた。魔法を使える連中を見てそのスキルが盗めるかやってみたら、火・土・水・風の初級魔法は見て盗めることが分かった。使用時間はどれもきっかり1時間だったが、魔法が全く使えないよりましとばかりに訓練した。他の氷や雷などの特殊魔法は見た程度では盗むことが出来なかった。身を喰えば習得出来るものも有りそうだったが、王宮でそれをやれば目立ってしまう。そのため王宮では見て盗めるものだけ訓練した。

 「何しているのよ! 早く何とかしなさいよ!」

 「ギャーギャーギャーギャー五月蝿いな〜。黙れよ、あばずれ女」

 「はっ?! 何よ、今までストーカーみたいに人に付き纏ってたくせに、クラスの女子全員から嫌われてたのに、私だけは酷いこと言わなかったでしょ? それでつけあがって付き纏ってたのに、何その態度!」

 「知らね〜よ。クラス中の男子に色目使ってたアバズレだから、可哀想に思って構ってやてたらつけあがってたのはテメ〜の方だろうが。俺はもう知らね〜よ。助かりたかったら自分でなんとかしな」

 そう言うと洋輔はエレファントベアーの腹の肉に食らいつき食いちぎった。それを吐きそうになりながらも飲み込み、自分にスキルが現れるのを待った。これは初めてだったから洋輔自身も賭けだった。スキルが現れなければ千里と一緒に消化されて終わり。スキル発動が遅くても同じこと。早くスキルが現れる事を祈った。そしてそれがここを抜け出せるスキルで在ることを・・・・。暫くして洋輔の体から白い煙が出る。何事かと焦るが、体が熱くなり、全身の筋肉が硬直するような感覚がある。

 「わっ!!」

 それと同時にエレファントベアーの様子がおかしい。洋輔は耐え難いほどの苦痛の中でも、これはチャンスかもと、エレファントベアーの胃の上部へと動く。千里は慌てふためくだけで、なんの行動も起こそうとしていない。それを視界に入れて、自分だけ助かるかもと、移動した場所でじっとしていると、エレファントベアーがえづき出した。その弾みで胃の上部に居た洋輔は吐き出され、千里だけが体内に残された。吐き出された洋輔は胃液やら唾液まみれになっていたが、それどころではない。エレファントベアーが自分に気づいていない内にと、近くの茂みに身を転がし隠れた。吐き気が収まったエレファントベアーはその場をのっしのっしと移動し、どこかへと消えていった。それを見た洋輔は、まだ軋む体を動かし、ガッツポーズをした。

 「やったー! ざまーみろ。あのアバズレ! そのまま消化されて消えちまえ!」

 そう言うとその場に大の字に倒れ込んだ。そのまま意識をうしない、2日後目を覚ますまで眠り続けた。幸か不幸か、エレファントベアーの胃液や唾液まみれのままだったことが、この森の魔物から2日という長い時間無防備だったにも関わらずその身を守ることに繋がったのは言うまでもない。


 一方、即座に自分の置かれた状況を理解し、3人から離れた雄介は隣国への脱出に成功していた。ほとんど休むことなく歩き続け、2週間程した頃隣国ファスカル帝国の帝国大森林迄たどり着いていた。そこで力尽き倒れ込んだところを、帝国騎士で森林の巡回に来ていた者に拾われ、帝都の病院で治療を受けていた。そのまま10日程眠り続け、目を覚ました頃には皇帝に素性が知られ、帝国騎士として働きながら、身を守れと言われ、帝国に匿われることとなった。


 千里は言うまでもなくエレファントベアーの餌となった。そこから生還した洋輔は王宮に戻ることも出来ず、方方を彷徨うことに成る。

 雄介は帝国騎士として立身し、数年の後帝国貴族の養子となり家督を継ぐ。

 珠子はフェンリル達と楽しく暮らしている。

 しかし、生き残ったこの3人はいずれまた出会うことに成る。それがどんな運命であったとしても....。

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