フェンリルの心の在り処と精霊王②
オリファンは私の考えを読んだのか、フェンリルに頭を下げた。
それに対してフェンリルは納得がいっていないのか怒っているような悔やんでいるような、なんともいえない顔をしていた。それだけで魔獣といえども心病むほどのものだったのだろうと想像した。
「人間も愚かに戦争をするけど、やっぱり戦争が終わると人を殺した人たちは心病む人が多いって言うもんね。フェンリルといえども、いい気がすることではないよね....」
「.........われは魔獣と言われる所詮は獣だ。人のように病んだりはせん。しかし、われら獣とて自分の食う分や敵意を向けてきたものを狩るのがせいぜいだ。おそれをなして逃げ惑う者を殺すことに躊躇が無いわけではない。人の言うところの心など在りはせん。しかし、時々夢を見る。あの惨劇を思い出すと自分が自分で無くなるような気がするのだ........。それが怖くてたまらん時がある」
フェンリルのその言葉にオリファンは俯いて口を真一文字に結んで黙っている。オリファンとてフェンリルの複雑な胸中が理解できないわけではないだろう。だからこそ、謝って済む問題では無いと分かっている。分かっていてもそうするしか無いのだろうなと思った。フェンリルを癒やすことも慰めることも出来ないオリファンは俯いたまま何も言わない。そんなオリファンを見ているとキラキラと光る物が地面に落ちた。涙?と思ったけど、近付いて見たらきれいな宝石だった。スカイブルーの様なきれいな色で、澄んでいてキラキラと周りの光を反射している。
「キレ〜・・・・・・」
「オリファン.........。そうか、もう良い。謝罪を受けよう。これで終わりだ。そもそも奴は消滅した。珠子のおかげだ」
そう言うとフェンリルはやっと笑った。
私はその顔を見てちょっとホッとした。
「ガンド、済まなかった」
「もう良い。それより、奴はいないのだ。そのガンドという名は止めてくれ。嫌いなのだ」
「そうだったな」
2人の話が終わりそう何だけど、名前・・・そう言えば初めて会ったときだったけ? 名前言うの嫌そうだったね。だから今までフェンリル、フェンリル呼んでたんだけど、あの擬きと何か関係が在るのかなぁ〜? そう思って聞いてみたらあった。なんと名付け親擬きでした。
「そっか〜。それは嫌だね・・・・・」
「ただ嫌だと言うだけではない。名には力が在るとも言っただろう。奴はわれに必要もない過度な力を与えようとしていたのだ。その力も利用するためだったようだがな。われが断固として拒否していたため、その名のちからを授かることは無かったが、もし拒否しきれていなければわれは今頃奴の完全なる傀儡だっただろうな」
「うゎ〜、まじか〜。ほんと嫌なやつだったね。擬き。消滅して良かったよ。これで安心して暮らせるよ。そう言えば、フェンリルはこれからどうするの?もう操られる必要は無いんでしょ?」
私がそう聞くと、フェンリルは考え込んで、そうだな〜といった。
「お主と旅をするのも良いかもしれんな」
なんて言って、私を見る。えっ?
「そう言えば私はこれからどうなるんだろう?」
その疑問にはオリファンが答えてくれた。
「またハイエルフの村に戻り、魔法を学ぶといい。まだ全てを学べたわけでは無いのだろう?」
「うん。治癒魔法ばっかり主にやってたから、攻撃系はジュランとミリロに教えてもらったものが少しと、飛行魔法も短距離なら使えるようになったよ」
私は笑顔でオリファンにそう報告した。そしたらオリファンは優しい顔で頭を撫でながらそうか、そうかと言っていた。なんだかおじいちゃんみたい。姿は20代の美青年みたいだけど、中身がね・・・・・。
実際オリファンが何歳なのかしらんけど、フェンリルより上って言うのは言っていたような。
「そうだ。私って神様の子なの? でもだったらなんで地球で産まれて育ってるの? あの家族は私の実の家族でないってこと?」
「そうだな。珠子には1番気になることだろう。珠子は前の創造神と今の創造神との間に産まれた正真正銘の神の子だ。聖女の力を持った神の子はどの時代に産まれても必ず神殺しと言われる力を持つ。そもそもその地を想像した創造神の力を分け与えられたものだからな。珠子が異世界で育ったのはお2人の意思だ。他の謀反を起こした神達から殺されかねなかったからな。だから他の神達が何も出来な場所へ移すことが優先された。お2人共珠子の事を守りたかったのだ。決して嫌いだからとか、嫌だからとかではない。異世界で珠子がつらい思いをしていたことも創造神は知っている。心を痛めていたが、これも珠子の命を守る為と耐えていたようだ。ずっと見守っていたのだよ。創造神は.....」
そう言われて直ぐに言葉は出てこなかった。私は何を言えばいいのだろう。どう受け止めればいいのだろう。モヤモヤとした気持ちが頭の中の思考と重なってグルグルとしていると、フェンリルが背中をぽんぽんと軽く叩いた。フェンリルを見ると穏やかな顔をしていた。私は意を決してオリファンに言った。
「創造神に会うことは出来る?」
「創造神も会いたがっていた。3日後、陽が1番高くなった時この草原で会えるようにしよう。創造神も喜ぶと思うぞ」
オリファンがそう言った。取り敢えずはその話で納得することにした。他にも聞きたいことは山程あったけど、フェンリルのことと、私の事実でちょっとキャパオーバー気味だった。
そうして話し合いが一段落すると、ジュランとミリロがご飯にしようと言い出した。いや、2人共、話し合いの最中ちょいちょい姿消してたけど、どこ行ってたの?
「「今日の戦果です」」
2人してニッコニコでそう報告してきた。2人が持ってきたのはブラックサーペントとジャイアントピーコックそれにホーンブルだった。
あんたら、どんだけ食うつもりだよ・・・・。
私は呆れながらも夕飯の準備をした。そんなに時間は経っていた気がしなかったが、日は完全に傾き、ご飯時は過ぎていてもおかしくなさそうな頃だった。
「では、ウェザーリアンの街で手に入れた材料で夕飯を作りますか!」
私はいつか作ろうと思っていた竜田揚げを作ることにした。手に入ったんですよー! この世界で手に入れるのはやっぱり無理なんだろうなって思っていた食材の数々が・・・。グフフフフ.....。
ジュランとミリロが狩ってきた獲物を解体して、あ、狩った後でも素材になれって効くみたいだったから私が素材に変えたんだけどね! それ見てオリファンが引いてたよ。ま、いいけど。早速それらに下準備をする。下味をつけて、片栗粉、そう、有ったの片栗粉それを肉につけて、揚げていく。肉の焼ける匂いってお腹空くよね〜。みんなの(私の)腹の虫が大合唱を始めて、急いで竜田揚げをどんどん揚げていった。その間に、ジュランとミリロに手作りマヨをお願いした。その晩はオリファンも含めてみんなで夕飯を食べた。久しぶりの竜田揚げ、美味しゅうございました。
誤字脱字報告宜しくお願いします。
次は珠子と創造神の再会?を先ず書きたいと思います。その話の進み具合で、これまでの話の宙ぶらりんを解消する回を書いていければと思っています。
分かりづらくて申し訳ないです。




