目的の地 ガルハムンド神殿
魔力飴を舐めたからなのかジュランとミリロも遅れを取らずにフェンリルに付いてくるようになった。
ただこの2人、”美味しい、美味しい”ってすでに何個も魔力飴を食べている。
「この飴、大量に食べても大丈夫なのかな?」
「問題ない。むしろ2人はずっと魔力を消費している状態だから枯渇しないいい補給になっているだろう。われももう一つくれ!」
「・・・・・・」
言われるまま私はフェンリルの口に魔力飴を1つ放り込んであげた。フェンリルがニコニコしている。よほど美味しいのだろう。
「珠子、この飴もう少し貰えないだろうか?」
フェンリルの口に放り込んだ矢先にミリロからそう言われた。
「もちろん。この飴美味しいの? 味があるの?」
「うん。甘い味がするものや、パチパチした弾ける感じがするものや、辛味があるものが有って、飽きがこない。それにすぐ魔力補給になるから今の私達にはちょうどいい」
なるほど。私はミリロとジュランにまた10個ずつ魔力飴を渡した。ジュランも心做しか嬉しそう。
ちょっと役に立てているんだろうか。そうだったらいいな。
「味が安定しないのは魔力操作をやり始めたばかりというのもあろうが、其奴自身の精神が安定していないのが大きな理由だろうな。安定すればそう味が変わることもなくなるだろう」
へぇ〜。そっか。そういうものなんだ。
フェンリルの隣を飛びながらジュランもミリロも聞いている。3人?とも飴のおかげか順調に進んでいる。太陽が少しずつてっぺんから西へ傾いてきていると思っていたら、違ったようだ。
「後数時間もしたら西日に向かって走ることになるね。眩しくない?」
「「「西日?」」」
「西日とは何だ?」
「え? 夕日のことだよ。朝日が東で、夕日は西だから」
「違うぞ。南西から日が昇り、北東方向に日は沈む」
「え〜、違うの〜?」
「そうだ。ずっと東に進んでいると言っていただろう…」
「あ〜、そういえばそうだったね」
私は改めて違う世界に来たんだと思う。この世界に来てそんなに経ってないけど、ずっとここにいた気がする。草原をもうすぐ抜ける。草原に風に吹かれながらそんなことを思った。
「あ、街灯も無くて道見えるの?」
私は走り続けてるフェンリルに唐突に聞いた。傾き始めてる太陽を見ていたら気づいちゃったからね…。
夜灯りってあるの?
「われは夜目が効く。エルフも夜目が効いたはずだ」
「ええ、夜道でもなんの問題もなく。しかも今宵は満月かと…」
「おお、そうか満月だったか。なら尚の事問題ない。このまま走り続けるぞ」
「「ハイ!!」」
ジュランとミリロが勇ましく返事をした。
…私もうたた寝して振り落とされないように頑張らなきゃ……。
朝日が私達の影を作り始めた頃、遠くに薄っすらと蜃気楼のようなものが見えた。
「あれが目的地、ガルハムンド神殿だ」
蜃気楼の様なものを鼻で指し示すとフェンリルがそう言った。
漸く目的地へ到着らしい。
「どこかの国だと思ってた。若しくは天空にある様な大地とか。でも神殿なんて意外かも…」
「何を申すか…、あのぼやけた影のように見える物すべて神殿だぞ。7神がトップのオーテント神が納める所だ」
そんな話をしてる間にもグングンと神殿に近付く。
トップの神様ってどんな神様なんだろう?
私は興味と恐怖が半々といった心境だった。
隣を見てジュランやミリロはどうだろうと思ったら、2人とも衣装が変わっていた。
「いつ着替えたの?」
「これが私達の本来の姿なのです。神子様」
2人はフェンリルの隣をピタリと付いて飛びながら頭を下げる仕草をした。
「やはりな。始めからおかしかったのだ」
「どういう事?」
「エルフにウェアウルフの娘よ、お主等この娘の従者に選ばれたものだな」
「はい。フェンリル様。私達はオーテント神様よりあの森へ行き、神子様に会えと言われあの森へ向かいました。付いた先で神子様の気配を見失い、森で彷徨っていましたが、お2人に出会えて良かったです」
私を無視してなんか私の話が進んでる気がするけど......。フェンリルを見ると察しが悪いとばかりに溜息を疲れた。
「言ってくんなきゃ分かんないし。何も言われていないのに分かれはひどすぎる」
「は〜、われが神よりお主をこの地へ連れてこいと言われていたことは話したな。われはフェンリル謂え、人語が操れる。当然お主と意思疎通も可能だ。しかし、獣であることも事実だ。そんなわれを1人で大事な巫女に会わせると思うか? 神は愚かではない。だからお主を守るものとしてこの2人を使いに越させたのだろう。われが巫女であるお主を食わぬ保証はないからな」
「え? フェンリル私食べようとしてたの?」
そう言ったが、確かに何度か食べられた。いや、ま〜未遂に終わってるけど、頭から行かれてるしね.....
「生意気なやつなら食い殺してやろうと思っていた。実際お主に会うまで、神の使いをしてることにも飽きてきたしな」
「いや、どうゆうことよ?!! なにかしでかした罰で神様の使い魔してるってことでしょ? 罪償うまで大人しく使い魔してなさいよ!」
あ、この顔納得してない。
「大体、何したらそうなるのよ?」
「この周辺に有った街や村をちょっと壊してしまっただけだ」
うん。大罪人だった。いや、大罪魔獣だった。
「残りの時間神様に尽くして償いなさい」
フェンリルが私を睨みつけてるけど、当たり前の罰だから!!ってか神様何気にちょっと優しいから!!
この辺の村や街って、跡形も無いでしょうが!!!
首と胴体が繋がっていることに感謝しなさいよ。かなりの恩情だと思うけど・・・・。
そんなやり取りをしている間に神殿の前に着いた。
でかい・・・・。想像してるより、と言うか遠目で見てイメージしていた尺度と相当乖離していた。
こんなでかい神殿に神様1人なの? どんな神様よ。私は不安になりながら、フェンリルから降りて、その後をついていく。ジュランとミリロは私の両隣を歩いてくれている。フェンリルが従者って言ってたしね。この2人は安心だよね。そう思いながら、ひたすらフェンリルの後を着いて歩くと、皇居の敷地、多分あの位ありそうな部屋に着いた。部屋というか、ぶっとい柱がいくつも立っていて、天井を支えている。そんな場所だった。
「ここだ。ここで待っていればよい」
そう言うとフェンリルはその場でゴロンと横になってしまった。
「いや、こんな場所で寝転ばないでよ」
「フンッ。何を怯えることがある。神より強き者の傍にいるのだ。ここより安全な地はない」
え〜?! 何よそれ〜....。も〜。自由人なフェンリルは置いといて、ジュランとミリロにちょっと話を聞いておいたほうがいいかな?
「ねぇ、ジュラン、ミリロ.....???? ジュラン?ミリロ? どこ?」
側に居たはずのジュランとミリロの姿が見えなくなっていた。
私はフェンリルを見るが、フェンリルはわれ関せずで眠っている。私はどうしたらいいかその場でオロオロするしか無かった。落ち着きなくオロオロしていると、向こうから誰かがやって来るのが分かった。逆光で全体が影だったから分からなかったが、近くに来ると当然姿が見えてはっきりと分かった。魚人ってやつだ。フェンタジーとかに出てくるリザードマンだったけ?そんな姿だった。エメラルド色した肌に頭から背にかけてヒレみたいなものがある。手にも水かきが有った。麻素材っぽい物で、足首が窄まったズボンを履いている。身長は多分3メートルは超えている。相当巨大だった。
「おお、ガンド帰ったか」
フェンリルに向かってそのリザードマンはそう話しかけた。しかしフェンリルは鼻をフンッとひと鳴らしそっぽを向いた。
「オーテント神だ」
フェンリルがそっぽを向いたまま私に教えてくれた。そう言われてフェンリルからそのリザードマン風の神様を見上げた。
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