魔力飴
草原で夜を明かし、朝を迎える。
此処から最後の目的地迄は丸1日掛かるらしいが、此処を出発したら目的地迄ノンストップで走り続けるらしい。
「え? だったら昨日飛行魔法の練習なんてやらないでちょっとでも進んだ方が良かったんじゃない?」
私がそう言うと、
「「「飛行魔法使えるようになる方が重要!!!」」」
と皆に言い返されてしまった。
その言葉でシュ〜ンと私の反論は萎んだ。
ま、フェンリルまでそう言うんだからそうなんでしょう! ジュランもミリロも目的地の事知ってそうだしね。私だけ知らないみたいだしねッ!!!!
「目的地って飛行魔法使えないとたどり着けない場所なの?」
「いいや」 「「いいえ」」
「え? じゃなんでそんなに急いで飛行魔法を?」
みんな無言ってことは急いだ理由は無かったって事? ミリロなんてスパルタだったのに・・・・。
もういいや、こういった反応をすることを突っ込むとフェンリルあたりからどんな仕返しが返ってくるか分かったもんじゃない。納得いかなくてもスルーだ。オトナな対応をするワタシ!!
「朝飯を食ったらさっさと出発するぞ」
フェンリルにそう促されて、朝飯をちゃちゃっと作る。昨日確認した材料で作れそうなのはステーキか肉煮込み系......ご飯がないから、ステーキにした。
フェンリルは放っといても肉なら何でも食べるからいいけど、ジュランもミリロも朝からガッツリでもへっちゃららしい。私は無理なので1個だけ残ってたパンを食べた。軽く火で炙って昨日作ったマヨネーズの残りと砂糖で甘々朝食を食べたよ。え? 何? ガッツリは無理だけど、朝から甘々は大歓迎だよ。フェンリルが私をというかパンをめっちゃ見てくるけど、あげないから。
「お主朝からよくそんな甘ったるそうなもの食えるな〜」
顔しかめながら言わないで。そんなの、お互い様だから。
「そっちこそ、朝からよくそんなガッツリしたもの食べられるよね?」
「朝は1日の活動を左右する大事なエネルギー補給だ。朝しっかりと肉を食わないと力が出んぞ」
いやいや、朝からそんなもん食べたら、胃もたれするから・・・・。ジュランとミリロを見る。ま、例外もいますよ! 世の中広いですから.....。
みんな朝ご飯を食べ終わり、片付けも手分けしてやったので早く済んだ。昨日言ったことを気にしているのか、フェンリルも片付けを手伝ってくれた。何気に手伝い出来てないの気にしてたのかな? そしたら私だいぶ酷いこと言ったよね?! これだけの距離を私はただフェンリルの背に乗せてもらってるだけ。必死に走ってくれているのはフェンリル。主観でものを言いすぎるのは良くない。意識して直していこう。
「さ、出発するぞ」
フェンリルに促され、ジュランもミリロもふ〜っと数十センチ浮き上がる。私はフェンリルの背に乗る。
「では行くぞ」
そう言うとみんな一斉に進み出す。
せめて邪魔しないようにしなくちゃ。
これまで通り、フェンリルを先頭にジュランとミリロが左右後方を飛行魔法で付いてきている形だ。
「ねぇ、今日1日食事休憩も取らずに走り続けるんでしょ? みんな体力持つの? お腹空かない?」
今更だが、当然の疑問をぶつけてみた。
「当然腹は減るが、先へ進むことが優先だ。1日くらいどうということはない」
「それでも、ジュランとミリロは魔力を使い続けることになるんでしょ? 魔力ってなくなったりしないの?」
「それは彼奴ら自身で考えているだろう。お主が心配することではない。それよりも振り落とされないように自分の心配でもしてろ」
フェンリルにそう返されてしまい、私は何も返せないまま言葉を引っ込めた。
フェンリルは更にスピードを上げる。私は落ちないようにフェンリルにしがみついた。
そっと後ろを振り返り、ジュランとミリロの様子を見る。まだ進み始めたばかりだから問題なさそうだけど、フェンリルに言われた事と、心配な気持ちとが私の中でせめぎ合っていた。私が心配したところでどうにか出来るわけではない。だからといって、ジュランとミリロに何か有っても嫌だ。子供じみた解消の出来ない感情がモヤモヤと私を曇らせた。
「・・・・・フンッ」
?
フェンリルの様子が・・・・・。ま、何かあれば言ってくるし、大丈夫かな?! 私は舌の根も乾かぬうちからまたしても主観でものを考えていた。
魔力を使っているのはジュラン達だけでは無かったのだ。フェンリルもまた、私を守るため、走り続けるために魔力を使っていたのだ。そんな事気付きもしない私はただフェンリルにしがみついているだけだった。
出発してからかなり時間も立ち、日も高くなってきた。また後方を振り返る。予想出来たことだった。ジュランとミリロに遅れが出始めた。少しづつフェンリルから離されているのだ。
「ねぇ、ジュランとミリロが」
「言っただろう。お主は自分の事だけ心配していろと」
「そうは言っても......ちょっとくらい止まれないの?」
「無理だ。先を急ぐ。彼奴らも戦士だ。自分のことは自分でなんとかするだろう」
「え? どういう事? ジュランとミリロ、見捨てるってこと?」
「違う。あの2人は戦闘に長けた2人だ。お主とは違う。われがおらぬとも目的の地へは必ずやってくる。心配するな」
どういう事なのよ!!! 全く理由がわからない。
「遅れが出たってことは魔力が足りなくなってきてるってことよね?」
「・・・・ああ、そうだ」
「私の魔力分けることって出来ないのかな?」
なんの気なしだった。はっきり言えば考えなし。でもフェンリルは私の方を一瞬振り返り、驚いた顔をしていたけど、フッて笑って、いいかもしれんなって言った。確かにそう言った。
なら後はどうやって魔力を渡せばいいかだけど....
「ねぇ、魔力ってどうやったら他人に分けることが出来るの?」
「われがお主を舐めていたことが有っただろう!?お主は嫌がって魔力壁を作っていたが、その魔力壁を舐めていてもわれはお主の魔力を多少吸い取ることが出来ていた。だから、彼奴らにも同じことをすればいいのではないか?」
・・・・・あ〜あ、あの頭食べられてたのってそういう事か〜。今更納得。
う〜ん......でも、ジュランとミリロは私の頭食べられないと思うんだよね? そこまで口開かないだろうし、そんな事したら顎外れちゃうだろうしね。どうしたらいいかな〜.....。
口に入れられるもの、ってことでいいんだよね?なんだろう・・・・・。
フェンリルの背に捕まりながら、う〜う〜ん唸っていると、フェンリルが魔法壁を作って彼奴らにそれを舐めさせればいいだろうと言った。
いや〜....流石にそれは難しくない?
頭を右へ左へ傾げながら考えていたら、フェンリルた言った”舐めさせれば”ってことで思いついた。
魔法壁ならぬ、魔法飴。
私は早速実践して魔力をキャンディー型になるようにイメージをする。
始めは上手くいかず、熱で溶けたドロドロベチャベチャの飴って感じだったけど、段々と上手くイメージに近づけられて、1時間後にはイメージ通りのものが作れた。私はそれをアイテムボックスに落とすようにどんどん作っていった。30分もすると総当量になったので、ジュランとミリロに渡すことにした。
「私の魔力で作った飴のようなものなんだけど、ちょっとでも魔力補給になったらって思って」
そう、後ろを向きながら2人へ叫んだ。
すると2人はスピードをあげてフェンリルの横へつけてくれた。それぞれにまずは10個づつ渡した。
「口の中で舐めてみて、少しづつ溶けると思うんだけど・・・・」
そう言うと、2人は早速口の中へ魔力飴を入れた。
「「・・・・・・!!」」
2人は顔を見合わせて
「「なにこれ、おいしい〜」」
良かった、気に入ってもらえたみたいだ。ホッとしてたらフェンリルが、われにも・・・・って言ってきた。笑っちゃったけど、ま、フェンリルはずっと私の魔力美味しいって言ってくれてたもんね。フェンリルの口へ1個放り込んであげた。
誤字脱字報告宜しくお願いします。




