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飛行魔法の教師役

 フェンリルからカムイの事実を聞いて、何となく納得のいかないまま次の目的地に向けてひた走り続け、予定よりも早く最後の中継地点へ到着した。

 此処も大草原で、後方の森へと風が吹きねけていた。暫くそうして風に吹かれていると

 「お主、ここで少し飛行魔法を習ってみてはどうだ?」

 「え? いやいいよ。時間もあまりないでしょ?」

 「大丈夫だ。予定していたより少しばかりだが早い。だから今日はこのままここで野営したらいい。それなら少しは出来るようになるのではないか?」

 フェンリルからそう提案され、飛行魔法に興味津々だった私はその案に乗ってみようかと、ジュランとミリロに相談してみた。そしたらあっけなくOKだった。飛行魔法を練習してから野営の準備を始めれば遅くなってしまう可能性もあるので、先に皆で手分けして準備を進めた。ジュランとミリロは水と薪代わりの枯れ木集め、私はテントと夕飯の準備をした。フェンリルはずっと走っていたからと夕飯まで休憩担当だと言い張っていた。

 ”いいよ、そのぶっとい脚じゃ何も出来ないだろうし、今までだって何もしてなかったから。そもそも頭数に入ってないしね”って言ったら、拗ねてた。流石に言い過ぎたと思った。旨い夕飯作ってやろう。そう思って思い付いた唐揚げや竜田揚げをと思ったが、材料が足りなかった。此処は草原。調味料なんかの食材は目的地につかなければ手に入らない。だからしょうがなく、今手持ちの材料で作れるものを考えていたら、『やみつきになる肉料理』という本を立ち読みしたことを思い出した。たしか手持ちの材料で何とかなるはず・・・・。

 私はアイテムボックスから持っていた調味料類を出し、必要な物を選ぶ。醤油・味醂の代わりになるものとガーリック、砂糖とたしか・・・マヨネーズ....マヨネーズって確か手作り出来たはず・・・。よし、作ろう。早速マヨネーズ牴牾を作る。少し手間取ったがカロリーオフのマヨっぽい味のマヨネーズが出来た。そしたら、肉を適当な大きさに切って、合わせた調味料に漬け込んで、味が染みたら鍋で焼く。

 「う〜....フライパンがほしい....」

 ま、無いものはしょうがない。諦めよう。

 肉に火が通ると垂れの香ばしいいい匂いがしてきた。美味しそう〜。

 「うむ、美味そうな匂いだな」

 「さっきはちょっとだけ酷いこといちゃったからね。お詫びのつもり。こってりした味で美味しいよ」

 この匂いに釣られて、ジュランとミリロも鍋の側にきた。皆さん目が爛々と・・・・、お腹すいたしね。

 「魔法の練習はどうするのだ?」

 「あ! あ〜、ま、食べてからで良くない?!」

 ジュランとミリロはうんうん無言で頷いて賛成してくれた。.....お腹すいたんだね.....。

 「よし、焼けた。さ、食べよう!!」

 それぞれ皿に盛り、一口口に入れる。

 「おいひい〜」

 「うむ、旨い。おかわり」

 「・・・・うぐっ、ゴクン。って、まだお皿に残ってるでしょ! それ食べ終わってからね」

 「ふん、もう食べ終わる」

 そう言ったら本当に直ぐに空の皿を咥えて人の頭を皿で小突き始めた....、人が下手に出ていれば....。

 しょうがないのでおかわりを盛って出してあげる。すると、ジュランとミリロも自分たちでおかわりをよそって食べていた。気に入ってもらえたみたいで!

 食事が終わりジュランとミリロも片付けを手伝ってくれたから、早く片付いた。

 「じゃ、飛行魔法の練習初めましょうか!」

 「はい! よろしくお願いします」

 そう言って私はジュランとミリロに頭を下げた。

 そうしたら、アワアワしだして神子様が〜とかいい出したけど、ま、聞き間違いだよね?! 未だに名前覚えてもらえてないって、相当ショックなんですけど...........。

 「さ、始めましょ!」

 ミリロが場を切り替えた。誤魔化された感があるけど、今は飛行魔法を使えるようにするほうが優先っと思って、頭を切り替えた。


 「そうです、そうです。上手ですよ。魔力操作は総ての魔法の基本です。それが出来ていれば後は適性を探すだけですから、直ぐに飛行魔法も使えるようになると思います」

 そうジュランが励ましてくれた。

 実際空を飛ぶような格好で浮いてはいられないけど、立ち姿勢のままでなら2メートルちょっと浮かぶことが出来るようになった。飛行魔法特有なのか、ジュラン達の教え方なのか分からないけど、ハイエルフの村でやっていた魔力操作をやらされ、そこから体に纏わせた魔力を魔力だけ空へ持ち上げていく訓練が永遠と続き、それが上手く出来るようになったら、漸く体を浮かせる訓練に入っている。初めは10センチ程度から。

 「ここなら草の絨毯がありますから、落ちても平気ですよ〜」

 って、ミリロが呑気に言ってたけど、・・・落ちるの私なんですけど・・・。これって落ちるってなっても助けてくれないのかな?

 「落ちそうになったら・・・」

 「「助けません」」

 ウォ....、2人とも酷い....。

 「助けたら訓練にならないでしょ!? 怪我をしたくなければ、痛い思いをしたくなければ必死に魔力操作して下さい」

 スパルタだった。

 「そんなこと言ったって、初めから落ちるなって無理くない?」

 「無理じゃないです。初めは尻もち付く程度の高さからしか練習していないでしょ? いきなりその高さにはしてません。今までのことをしっかり思い出して、落ちないように頑張って下さい」

 雰囲気からして、教師っぽいのはエルフのジュランの方なんだけど、・・・・さっきからスパルタ発言してるのはミリロの方。獣人って見た目怖い種も居るけど、基本もふもふしてるから、なれてくると人懐っこく笑ったりして優しい種族なんだなって思ってたら、めっちゃ鬼教官だった。

 「日が沈んで来ましたから、今日はこの辺にしてまた機会を見て練習しましょうか」

 そう声を掛けてくれたのが、ジュラン。ジュラン優しい・・・。

 「いや、もう少し大丈夫でしょう?」

 「これ以上は魔物の標的になるだけです。それでなくても魔力が多いのです。危険です」

 ミリロの意見にジュランが反対してくれて、今日の訓練は終了。

 私は慎重に地上へ降りる。手本で見せてもらった時、ジュランもミリロもストンって感じで降りてきたけど、実際に浮いてみると怖くて出来ない。なので、慎重にゆっくりと降下した。

 トン。

 「ふ〜う。降りられた〜」

 「まだまだですからね。もっと訓練しないと・・・」

 「ミリロ!」

 ジュランがミリロを叱責した。私は巻き込まれないようにそ〜っとその場を離れフェンリルの元へ行く。

 「ねぇ、ねぇ、ジュランのほうが厳しそうに見えるけど、実際はミリロの方がキツイよね? 獣人族って優しいんじゃないの?」

 「は〜? お主何を言っておる。獣人は争いごと、戦争などは嫌うが、物事には厳しい者が多い。対して、エルフ族は戦闘となればその膨大な魔力を使って戦う戦士が多いが、物事や他人のことに関しては寛容なものが多い。お主の認識は逆だな」

 うへぇ〜。やっぱり人は見た目で判断してはいけません。今度からはジュランが居るときだけ頼もう。

 スパルタは勘弁してほしいです。

 

誤字脱字報告宜しくお願いします。

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