枝話③
珠子たちが異世界へ召喚されたその日の夜。
「あのゴミ部屋に居るのか? 靴がないが」
此処は珠子の実家のリビング。家族が集まるそのリビングで皆にそう聞いたのは珠子の祖父である秀吉だ。父や母、祖母もソファーに腰かけ、各々本を読んだりスマホをいじったりしている。視線だけ祖父に向ける。しかし内容が興味のないものなので直ぐに視線が戻る。その態度を見て、祖父もそれ以上気に掛ける必要なしと冷蔵庫からビールを出して飲みだす。
この家族珠子に一切の興味関心が無い。
だから珠子が消えようがどうでもいい。自分たちに火の粉が降りかからないなら、どこかで死んでいても良いとさえ思ってるのかも....。
「英樹と恵子は塾か?」
「英樹は塾だけど、恵子はクラスメートとずっと楽しみにしてた映画を見に行くって言ってたわ」
「「それ、男か?」」
「2人とも恵子のこととなると・・・・。恵子がお嫁に行くときにはどうなることか」
父、祖父の言葉に呆れる祖母だった。
この家族に天罰が下るのはもう少し先になるが、必ず天罰は下るので楽しみに待っていて欲しい。
誰目線なのかはお気になさらず・・・・。
もう一つ天罰が下る人達が居ましたよね!?
そちらもその後を覗きましょうよ〜。(ただの野次馬根性ですけど、気になるでしょ〜!)
珠子達を精霊の森へ送った翌日。テントーレ王国、王宮謁見の間にて。
「ローグラ侯爵、聖女始末ご苦労であった。その後新たな聖女の選定は進んでおるか?」
「はい。魔法全属性使える京極麻穂子様がよろしいかと。心優しき女性のようで、聖女様にぴったりです。王子も気に入っているようですし、このまま進めても問題無さそうです」
「相手の娘、その麻穂子とか言う娘も息子との結婚を望んでいるのか?」
「正確には王子との結婚というより、この国の民の為になることをしたいという考えのようで、結婚がそうなるならと了承を得ております」
この言葉に気を良くした国王は満面の笑みで頷いている。
良くある駄目召喚の国というだけでなく、この国が魔物や魔族の標的になっていたのは事実で、それなのにドサクサに紛れて領土も拡大してしまおうなどというバカなことを考えた。ただの領土拡大における戦争は多くの他国から断罪を受け、重い罰を受けることになる。そのため戦争をしても良いことが無いのがこの世界の常識。しかし、抜け穴が1つだけある。それは魔物や魔族から侵略されたとき、手に入れた土地や物はその国のものになるということ。取られた国にとっては納得の出来るものではないが、魔族に侵略された国を協力して立て直す意味があるため、この世界の殆どの国がこの協定に署名している。だけど、今回王国がしたことはこれに当たらない。魔族侵略に寄るものと誤魔化せると思っているようだが、そうはいかない。魔族に侵略された土地はその証拠とも言える痕跡が残るのだ。その痕跡があって初めて所有を認められる。逆にいえばその痕跡が無ければただの戦争。罰を受けて終了。バカ王が治めるバカ王国はこれにより・・・・(カウントダウンがハジマリマシタ)
テントーレ王国東西南北の端の街―。
「騎士団に応援は? 何故援軍が来ない?」
「わかりません。しかし、東の街でも西の街でも同じようなことが起こっているようで、遅れているのでは・・・」
「なぜ、魔王領と隣接しているこの北の街への援軍が他の街より遅れる! この街が占拠されれば国の崩壊にも繋がるのだぞ」
領主と執事が話しているが現実は違う。東の街にも西の街にも騎士団の援軍は来ていない。そもそも魔物の大群に襲われていることを国は知らない。王国といえども、多くの地や人を管理できるほど優秀な人材が居ないのだ。そして王族一家はバカばっかり....。この国に住んだことを悔やんでくれ....。ア〜メン♪
因みに南の街は、魔物の楽園と化していた。
『この辺の土地は暖かくて快適だな。寒さに強い俺達魔族でも、あの地より快適に動ける。ま、あの地が寒すぎたんだろうけどな』
魔王領は1年を通じて氷点下。1番寒いときで−50度を下回る。それを平気で動き回れる魔物たち。皮いい値がつきそうです。
万事この調子で国の中枢は国の現状を知ろうとせず、王都まで攻め込まれ国を失う。その場合、クズほど逃げ延びるものだが此処ではそうならなかったようです。
『この国の王族だ。皆殺しにしろ! そしてこの国のものにその死体を晒せ〜!!!!!! この国は俺達魔族の国だ―!』
「国が欲しいならやる。今召喚術をしたばかりで、異世界からの者も多くいる。その者たちはこの国の民とは段違いの強さを持っています。その者たちを食えば更に力が増すことは間違いないです。だから我々家族は見逃しては・・・?」
『聞いていた通りゴミ以下の連中だな。腹を割いて開いてみるか? それとも頭蓋骨を砕いて脳みそをさらしてみるか? どうするのが良いと思う?』
そう周りにいる魔物に問うたのはテントーレ王国侵略を任された魔王軍軍師ザンシュだ。
『3人居ますから、全部やってみては如何でしょうか?』
部下の1体がそう答える。それもそうかとザンシュが実行に移した。
「いや…他にも溜め込んだ金銀財宝もあります。だから・・・・私だけは助けろ〜」
「父上?! 今なんと? 俺と母上を見捨てるつもりか!?」
「私は国王だ。偉いのだ。偉いのは私1人だ」
王族はその家族内での喧嘩中にザンシュの一撃でやられ、腹も脳も開かれ街のいたるところに晒されたのだった。魔族えげつないです。でも、それ以上に自分の利益しか考えられない者が治める土地に住んでは行けません。みなさんもこれを反面教師に、心美しき日々を〜! ね、だから誰目線なんだろうね......。
クラスメート達の詳細はまたの機会に。アデュー。
誤字脱字報告宜しくお願いします。
日曜日の分とは別です。
もう少しちゃんと書きたかったんですが、この憂さは家族編で晴らしたいと思います。




