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旅は道連れ、世は情け・・・行き先知らぬ珍道中?

 「って言うが私の名前知ってたんだ。いつもお主、お主って言ってるから知らないとばかり思ってた」

 「オリファンが名で呼ぶから知ってるのは知ってた。一応聞いてはいたからな。ただわれらフェンリルが人間を契約者でも無いのに名で呼ぶことはほぼ無い。大体、『おい人間かそこのもの』だな」

 めっちゃ偉そうやんけ! 強いからって理不尽だわ〜!

 「偉そう…」

 「ん? なんだ。われらフェンリルは強者だ。偉いのは当然だ! 弱肉強食は世の常だ」

 何となく、何となくだけど獣に理を言われると腹立つのなんでだろう…。なんかイラッとした。

 私はとっても正直な素直な子だから、お顔に出てたみたい…。前脚で顔潰された…。反撃するといつまでも続くから諦めたけど、いつか見てろよ~!


私達は朝食を済まし一息付いたら次の街へと向かって出発した。森を抜けてからはフェンリルの背に乗せて貰ってるから私は大した疲労はないけど、走り詰めのフェンリルは休憩の度にクタッとしてるから本当は疲れてるんだと思う。ただ、神様との約束もあるからそんなにゆっくりしてられないから頑張って走り続けてる。だから、さっき顔を潰した事への兵糧攻めは辞めてあげた。今のところ…。

 「もう少しだ。向こう側に見えるあの小さな城壁が次の街の城壁だ」

 「じゃあ、その手前の森に入ろう。あのくらいの森なら何かいそうじゃない?」

 「そうだな、ボーンボアとディーブランブル、ジャイアントピーコック当たりが近くにいそうだな。それと...」

 「それと?」

 フェンリルがちらっとこちらを見た。なんだか言いづらそう・・・。

 「なによ、息切れでもしたの?」

 「そんなわけあるか! われがこれしき程度で息切れなどせん。...森に居るのは、何故か分からんがブラックドラゴンが居るようだ」

 え?! 

 「巣があるの?!」

 「違う。何故か分からんと言ったであろう。このへんはブラックドラゴンの(ねぐら)などではないはずだ。当然巣でもない」

 ええ?! じゃぁ、なんでいるのさ!!!!

 私は驚きの余りフェンリルの背中の毛をグイグイ引っ張っていたようで、『イテッ、痛いぞ何をしておる』って叫ばれたけど、それどころじゃない。だってブラックドラゴンだよ! アースドラゴンでさえ狩るのに苦労したのに、空飛ぶドラゴンなんて無理だよ。死亡フラグってやつじゃないの、これ! ヤバイ、絶対にヤバイ。

 「今日、狩りするの止めない?!」

 「われは構わんが、お主が肉の調達をしたかったのではないのか?」

 「いや〜、私は別に・・・。ねぇ〜」

 「ブラックドラゴンはジャイアントピーコックらよりも少し奥に居るようだ。気をつければ鉢合わせずに済むと思うが、狩りはせんのか?」

 「え?! そうなの? じゃあ、このまま狩りをしよう。ブラックドラゴンには充分に注意して!!」

 ブラックドラゴンに遭遇せずに済みそうということに笑顔になった私に”子供だの〜”ってフェンリルが呟いた。子供で〜す! ピチピチのセブンティーン!!

背中でフィーバーみたいなポーズをしたら、われの背で遊ぶな!って言われた。は〜い。でも子供だも〜ん。しょうが無いで〜す。(ニッ)

 私がフェンリルの背でふざけている間もフェンリルは森へ向けてひた走っている。森の入り口まで来て止まると屈んでくれた。私はフェンリルの背から降り隣に立つ。フェンリルの背を手で押し、行こうと合図をする。フェンリルがのそりとあるき出す。

 「先ず、一番近くに居る魔物から狩ろう」

 「うむ、まずはディーブランブル・・・。止まれ」

 いきなりそう言って、止まったフェンリル。私も何事かと止まる。どうしたのか聞こうとしたら”シッ”と言われた。しょうがないので言うことに従って黙る。すると、茂みからカサカサと葉が擦れる音がする。何か近付いて来ると、音のする方向に目をやる。すると弓を持った若そうなエルフと、斧を持った人形の獣?が出てきた。私は驚いて背に乗せていた手でフェンリルの毛を強く掴んでしまった。

 「お主、先程から痛いぞ!」

 「・・・あ....あ〜あ、ごめん」

 そう言って漸く掴んでいた毛を離した。

 その間も森から出てきた2人と視線は重なったままだ。見つめているつもりがない状態で見つめ合ってると、人は何を見ているのか分からなくなるのだろうか? 見つめ合っていたことに互いに気付いたのは随分間が合ってからだった。

 「「「あ、・・・ご、ごめんなさい」」」

 エルフと獣人、私の言葉が重なる。

 ドモリまで一緒だったよ...。

 「あ、あの、、、、」

 私は勇気を振り絞って2人になにか聞こうとしたが、気持ちが空回って何を聞きたいのか、何を聞いたら良いのか分からず、言葉に詰まってしまった。

 「あの、あなた達は? そのフェンリルは貴方の従魔なの?」

 獣人の女性がそう聞いてきた。エルフの女性は黙ったままだ。

 「あの、えっと、いや、従魔では無いです...」

 「なら何故一緒に居るの? 仲間じゃないの?」

 再びの獣人の女性の問いに私はフェンリルを見た。フェンリルは従魔ではない。では、何なのか。仲間と言って良いのだろうか分からずフェンリルを見た。するとフェンリルは無言で頷いてくれた。仲間で良いようだ。フェンリルの答えにちょっと嬉しくなる。

 「はい、一緒に旅をする仲間です」

 そう言うと2人ともちょっと安心したように胸を撫で下ろした。

 「そう。どこまで行くの?」

 ??? そう言えば私、行き先知らない。再びフェンリルを見る。フェンリルは”は〜”と溜め息を吐き代わりに答えてくれた。

 「此処より更に南東にあるアルゲン王国へ向かっている」

 その答えに2人は顔を見合わせて驚いている様だった。無言のまま互いに頷き、今度はエルフの女性がこちらに質問をしてきた。

 「アルゲン王国が最終目的地なの?」

 「いや、一旦アルゲン王国に滞在する。その後そこから更に東へ移動する」

 この答えにも2人は顔を見合わせ頷き合い、またこちらへ物申してきた。今度は質問では無かった。

 「神の地を目指すなら、私達も一緒に同行させて欲しい。私達は飛行魔法が使えるから、フェンリル殿にも遅れは取らない」

 2人の発言に私とフェンリルは驚き黙るが、フェンリルが『良かろう』と返事をした。

 私は小声で”大丈夫なの?”と聞いたら、”問題なかろう”だってさ。

 なんか重大なことみたいだけど、私だけ蚊帳の外。何も状況を飲み込めていない。

 旅は何とやらだけど、本当に大丈夫なの?

 そもそもこの2人は何で森から出てきたの? 狩りをしていたにしては戦果が無いようだった。何かと争った感じもないから、森で何してたか分かんないし。森に住んでるハイエルフは知ってるけど、この2人は住んでる訳では無いと思う。ハイエルフも鬼神属も森で住んでる人は一様に似たように匂いと言うのか、雰囲気みたいなものを感じるけど、この2人からは森の雰囲気は感じない。

 怪しい人では無いと思うけど、謎が多い。

 「いや〜、普通はそれを怪しいと言うのか!!」

 ひとりツッコミで納得した。

誤字脱字報告宜しくお願いします。

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