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旅の醍醐味、それは料理だ!

 森を抜けたことでフェンリルの背に乗せてもらい、日が暮れる頃には王国内でも3番目に大きな街の近くまで来ていた。私達はいくつかの村や街を過ぎたけど、そのどこにも立ち寄らずに歩みを進めていた。先を急いでいるのもあるけれども、カムイの指示に従っていると言ったところだ。私は王国から処刑される所だった。他の2人ももうすでに死んでいるだろうとのこと。そんな中で、私がのうのうと街を闊歩すれば再び殺されかねない。それを最低限に抑えるために村や町へ入ることをカムイが止めたのだ。フェンリルもこの考えに同意し途中にある村や街は出来るだけ入らず、王都と貿易があまりない所で補給物資を手に入れようとなった。どれくらい掛かるのか聞いたら、フェンリルだけなら2日もあればたどり着くとのことだが、私が一緒のためペースを落として進むと1週間程掛かるとのことだった。森を抜けるのも我が儘で歩いて抜けたしね。私も2人の意見に反対はしなかった。だからなんだろうけど、今頃気が付いた。

 「ねぇ、お金持ってる、、、」

 フェンリルが当然訝しげに答えた。

 「われは今は神の使い魔といえども、そもそも魔物だ。魔物に人の金は必要ない」

 予測できる当然の答えが返ってきた。でも・・・デモ・・・・それだと困るんですよ〜〜〜〜!!!

 「私もお金持ってない。これから先物資ってどうやって調達するの? 盗賊や強盗の類は私は嫌だよ」

 「何を言っておる。冒険者ギルドにお主が入ればよかろう。そうすれば途中狩った魔物が売れる。金はそうして手に入れればよかろう」

 「冒険者ギルド?」

 なんでもそのへんまでカムイとフェンリルは打ち合わせ済みのようで、物資を調達できる街の中で比較的安全な所で冒険者登録をし、私のアイテムボックスでその街までは魔物を保管しておく。立ち寄る場所を少なくするために少しなら買い叩かれてもその場で現金化してしまう。目に余るほどあくどい所なら、カムイに透視し、森にいる村の人達が騎士団か冒険者ギルドに報告をしに行くとの事だった。いつの間に....。

 「懸念事項が解決したらお腹すいたね。ご飯にしよう」

 「うむ。そうだな。人が食べる旅の飯はいつも不味そうなのだが、村で持たせてもらった飯がまだ有っただろ? 早く出すのだ!」

 フェンリルが私をそう急かすけど、、、

 「あ、お弁当ならお昼に食べたので最後だよ。だってフェンリル3人前を1人で食べちゃうんだもん。そんなに沢山は持たせてもらってないよ。普通だったら3日は持ちそうな量だったのに」

 「なっ、、、、そうなのか、、、、なら、あの見るからに不味そうな飯を食わねばならんのか」

 フェンリルが明らかに気落ちしている。私はその姿に笑ってしまったが、お腹が空いたままなのは可哀想なので、早々に種明かしをした。

 「大丈夫。お弁当はもう無いけど、肉も野菜もたくさん持たせてもらった。急いでなにか作るよ」

 笑顔でそう言うとフェンリルは尻尾をブンブン振っていた。なんか、犬っぽ。

 私は貰った素材からホーンボアの肉とキノコと卵を使って雑炊のような物を作った。調味料はこの世界には元の世界程の種類はないけど、それでも塩・胡椒・砂糖・蜂蜜・ハーブ数種類・貴重な香辛料を少しと調理用の酒も持たせて貰ったからそれらを使って調理した。日本の食事とまではいかないけど、それなりに美味しいものが出来て満足だった。フェンリルも文句を言いながらもおかわりをして、作った分は全部食べてくれた。まだまだ旅は続く。美味しいもの作れるように頑張らなきゃ!!

 その晩はテントも張らずにフェンリルを枕にして寄り添って寝た。朝飯は旨いものが食いたいと言われたが、だったら自分で作れば?と返しておいた。これに分かったなどと応えようものなら、目的地までに血を見ることになりかねない。私は早々に美味しい肉を手に入れなければと思った。

 「明日少し狩りをしない? まだ素材はあるけど充分って程ではないから、魔物が確実にいそうな時に確保しておきたいの」

 「分かった。明日昼から日が落ちるまで近場で狩りをしよう。昼間で移動すれば次の街の近くまでは行けるだろ。その街で冒険者登録をし、肉を確保するとしよう」

 そう話して眠りについた。


 太陽が出て、朝日で目が覚めた。

 「?! おはよう。魔物って朝早いものなの?」

 「ああ、起きたか。われは特別だ。本来魔物は獲物を狩るか敵の気配がしない限りこんな早くに活動することは少ない。われは今は神の使い魔だから朝起きるのだ」

 「ふ〜ん。そういうものなんだ。じゃぁ、魔物を狩りたい時朝襲撃すれば成功するね」

 「・・・・・・・。お主、そんな事をしてみろ。悪魔にも劣る所業だぞ。魔物と言えども赤子も年老いたものもいる。寝込みを襲うみたいに...。お主巫女ではなく悪魔の子か?」

 持っていた中華鍋っぽい鍋とこん棒でフェンリルを殴っておいた。その場で気絶した。ほっておこう。そのうち起きてくるだろう......。

 私はフェンリルを殴った鍋とこん棒を使って上位種のブル肉をカツっぽくなるようにあげてみた。オリーブオイルは余り好きでは無いのだけれど、油というと魔物肉の油かオリーブオイルくらいしか無い。仕方無しにオリーブオイルで揚げた。朝から揚げ物か〜と思ったが、以外にあっさり揚がっていて美味しかった。皿に盛った所で見計らったように目を覚したフェンリルにそれをだした。何も言わずすっごい勢いで食べてる。尻尾をブンブン振ってるんじゃなくてグルングルン回してる。それ、ねじ切れたりしないの? あ、今度逆回転で回してる。やっぱりねじ切れるんだ....。おっかし、、、プッ。私がニタニタしていることは気になるようだが、それより目の前のご飯みたいで必死に食べている。なんか可愛い...。ジト目でこっちを見てくるのは見てくるけど、可愛い。やっぱ犬っぽ。

 でも、フェンリルって強いんだよね。そうは見えないけどね。

 「朝飯を食ったら昼迄に次の街の近くまで行くぞ。美味い飯の為に旨い魔物を狩るのだからな」

 「はいはい。でもちょっと休ませて、片付けしなきゃ。水がもうないから近くの沢から汲んでくる。食器類も洗って置かなくちゃ不衛生だしね」

 「人間とは、つくづく面倒な生き物だな。ただそうせねば人間は簡単に死んでしまうからな」

 そう言ってフェンリルは私の背を前脚でつついた。私はつんのめり転びそうになるのをギリギリで踏ん張る。コイツ....マタブンナグッテヤロウカ...そんな感じで私達の旅は続いてゆく。

 「あ、兵糧攻め....」

 「珠子、もうせぬ。すまん、許せ」

 ご飯抜きは嫌なんだね。

誤字脱字報告宜しくお願いします。

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