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カムイは誤魔化し、フェンリルは爆弾発言

 カムイが呆然としたまま無言だったから、つられて私達も無言になる・・・・・。

 「あの、トレミー様、この者たちは…」

 カムイの隣にいた嫁と思われる女が尋ねる。

 全員の視線がその女に注がれる。そして私とフェンリルは次にカムイを見る。

 カムイは私とフェンリルを見る。

 いや、カムイ…この状況で話すのあなたの役割だから、こっちに助け求めるのやめてね。

 諦めたのかカムイがその女に話す。

 「このフェンリルは古くからのま〜、友人みたいなものだ。この娘は…う…ん、そう、知り合いだ」

 は? おのれなんじゃその説明は。

 私はギロリとカムイを睨む。カムイは絶対に私とは視線を合わせないぞっという態度。でもソワソワしてる感じも伝わるから、めちゃくちゃ滑稽…。

 「あの、私はカムイに助けて貰って魔法を習える場所を教えて貰っただけです」

 間違った事は言ってない。言ってないはずなんだけど…。何で嫁は不機嫌なん?

 「あの、カムイとはもしやトレミー様の事でしょうか? それに貰った貰ったっとなんの自慢でしょうか? 私はトレミー様の嫁です!」

 oh〜、なんとなく雰囲気でそういうタイプかなっとは思ったが、やはり嫉妬深かった…。アトノマツリ…。

 「いえ、本当にそういう意味ではなく、慈悲を掛けてもらったと解釈下さい。お情けです。はい」

 そう説明するとちょっと落ち着いたみたいだった。

 なんかカムイまで落ち着いたみたいだ。何をそんなに焦っていたのだろう。ま、予想はついてるけどな!(ニタッ)

 嫁は私の説明を聞いてカムイと何やら話している。ん? まだ本当は揉めてる? フェンリルを見ると、首を振られた。・・・言ってくれなきゃワカランヨ。

 「揉めてない。またイチャつき出しただけだ」

 wao〜(☉。☉)! なにしてんのこのバカップル。

 「カムイ〜」

 私は努めて冷静にカムイを呼んだつもりだったが…。隣のフェンリルが恐々とした表情をしていたので怨念籠もった声になっていたようだ…。モウシワケナイ、ケツシテソンナツモリハナイ。でもカムイは明らかに恐怖してる様だった。何故?

 フェンリルが戦闘に長けているのはこっちの世界でも当然なんでしょ?! カムイだってフェンリル程でなくとも相当な強さのはず。何故恐怖する? 何に恐怖してる?

 フェンリルがカムイの背に前脚を掛け、首を振る。カムイはそれにうんうん頷いている。獣同士何かを分かりあったのだろうか…。そうしてカムイが私の方を向き、かなり緊張してる時の人が話すような感じで「イコウカ」とだけ言った。え〜? いや…ま、いっか。なんか突っ込みたいこといっぱい過ぎて、どうでも良くなってきた。

 イコウカと連れてこられた所は額に1本若しくは2本角が生えた人ばかりの村だった。

 そう、嫁だと言った女の額にも角が1本生えていた。私はフェンリルを見た。フェンリルがそれに答えて、この村は鬼神属の村だと教えてくれた。私はヒソヒソ話をする様に小声でフェンリルに耳打ちした。

 「カムイが護ってる村って、こういう村ばかりなの?」

 「ああ、森の守り神だと言っただろう。こういう迫害されがちな種族を森に匿っているのだ。小奴らやハイエルフ等、この森に匿われて居る種族を襲おうとする者や奴隷等にしようとする者が森に侵入すると、その村の場所が分からないように森から追い出される様に結界が張られている」

 「追い出される?」

 「目的地を探してるつもりで彷徨って、森の外へ外へと誘導される謂わば一種の幻惑の類だ」

 私は素直に驚いた。結界って何かを弾いたり防いだりするものだと思ってたけどそんな結界もあるんだ。

 「カムイって何気に凄いよね」

 「・・・・・・、オリファンは精霊の類だと言っただろう? お主何を理解したのだ? われの話を聞いておらんかったのか?」

 「いや〜、信じて無かった。心の何処かで…」

 このセリフにフェンリルは完全に呆れて”フンッ”と私から目を反らした。

 いや、だってさ〜、私の世界ではそんな事無いし、そもそも妖精とか見える人ってアブナイ人扱いだし、神とか言い出す人も近寄っちゃいけない分類だし!

精霊の王とか、神の使いとか言われても信じて良いのか分からんやん! 信じきれへんこの気持ち分からんかな〜。

 フェンリルに頭をグイグイ圧された。縮むからヤメテ…。信じてなかった事は謝ります。ごめんチャイ。

 フェンリルとカムイからも睨まれた。

 なにさ、なにさ~。いいもん、別に…。

 「この際だから言うが、お主その子供っぽい性格なんとかしたほうが良いと思うぞ」

 「我もそう思う。珠子、聖女になりたいわけでなくともお前は聖女だ。それは自覚するより聖女である覚悟はしておいた方が後の自身の為になると思う」

 2人が私にそう言った。子供っぽい所は自覚してるけど、幼い頃から誰からも構われず、実の家族からも見放されて、何とか体裁のためだけに生かされていたような人生で、初めて自分を個として認識してくれて優しくしてくれるのに出会えたら、人であろうと獣であろうと甘えてみたくもなる。今まで抑圧されていた反動を自分でもコントロール出来ないでいる。分かって欲しいは我儘なんだろうな…。ちょっと悲しくなって涙が出る。わかってても、私はまだ未成熟なのだろう。大人になりたくないわけじゃないけど、それを強要されてると感じるとブレーキを掛けたくなる。未知という恐怖に勝てる人はいないと思う。誰も知らない事には恐怖する。私はそう思ってる。

 カムイの言葉は完全には理解出来なかった。聖女である覚悟とはなんだろうか?

 私達の話に加われなかったのが不服なのか、嫁が膨れてる。鬼神も案外子供っぽいなと思った。

 カムイの好みは子供っぽい娘?・・・あれ?

 「トレミー様、今宵は私と飲み明かしましょう?」

 「おお、そうだな。久々にチャチャと会ったのだ。楽しい時間を過ごさねば!」

 カムイがそう答えると女は上機嫌になった。

続きます。


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