枝話②
私を囮にした後の2人はー。
「何で着いてくるのよ?!」
「だって、知里ちゃんだけだと危ないでしょ? 俺が守るから」
「キモっ!」
2人は終始こんな調子で森を抜けようとしていた。しかし、知里は魔法授業で切り捨てられたように魔法はからっきし。洋輔は盗賊スキルだった。2人でこの森を抜けるのは至難の業だろう…。
私達はと言うとー。
「ささ、水神様、お酒をどうぞ」
「お食事も、水神様のお好きな物を取り揃えました」
そういわれた蛇さんは盃になみなみと盛られた酒を舌でチョロチョロ嘗めている。
その後、取り分けられた食事を口にした。
私は蛇さんの横で食事を食べていた。こっちの世界に来て、初めてのというくらい美味しいし食事だった。
料理はホーンブルの串焼き、この村で取れた野菜の数々。他にも煮たような料理など多くの料理が出されていた。私はその料理の数々をパクパクと食べた。
「気に入ったようだね。お主は暫くこの村で暮らすんだ。国に帰れば命が危ないんだろう。この村で魔法を学ぶと良い。ハイエルフは魔法が上手い種族だからな」
蛇さんは私の状況を解ってくれてるみたいだった。
「何で解ったの?」
「お主達はこの森の事は知らないんだな。お主の事をこ奴らに話してもいいか?」
蛇さんは私に許諾を求めた。蛇さんは本当に神様なのかも。そう思った私は頷いた。
「この娘は、先程この森で出会った。召喚者で召喚した国から捨てられたのだろう。他にも2人居たがこの娘を囮にしてわれから逃げた」
村長さんは蛇さんの話を黙って聞いている。蛇さんは話を続ける。
「そのことから、生きていることが知られるのはこの娘が魔法を十分に操れる様になってからの方がいい。この娘にとってはずっと死んたものと誤解してくれていた方が良いんだろうけどな。だから当分この娘をこの村で匿ってやって、その間に魔法を学ばせてやって欲しい。頼めるか?」
「水神様の願いです。我らがこの村で安全に暮らせるのは水神様の御蔭です。我らで出来る恩返しなら当然させていただきます」
そうして私はこのハイエルフの村で暮らすことになった。
蛇さんは2週間程村に滞在して、森へ帰って行った。蛇さんが森へ帰った後も私はハイエルフの村で魔法を学んでいた。
ハイエルフの人達は驚いていた。私の魔力量に。
「こんなに豊富な魔力量の持ち主は、我らハイエルフの中でも現れない。凄いな」
元の世界でも、この世界でも、普通の人として扱われたのは初めてだ。それがとても嬉しかった。だからどんなに厳しい教えでも楽しかった。
私は毎日笑顔で過ごした。
そんな私に少しずつ変化は訪れた。
「もう、何なの〜?」
知里と洋輔は魔物に襲われていた。脇道から抜けられたが、馬車で来た道程を歩きで行けば、魔物に遭遇する確率も上がるのは当然の話だった。
オーク3体に反対側にはエレファントベアーが1体。オーク3体だけなら頑張れば初級冒険者でも、逃げるくらいは出来る。でも、エレファントベアーは上級冒険者でも無傷では居られない。下手したら死者を出してもおかしく無い魔物だ。
それでも自分だけは助かりたい2人は、何とかして逃げようと画策する。互いに考えることは同じなのか、相手を囮にして自分が助かろうとしていた。
この時、洋輔のスキルの本当の能力を知っていれば2人共助かる道が有ったのかもしれないが、それを知らない2人はオークの代わりにエレファントベアーの腹に収まった。
オークは当然勝ち目の無い相手に、即座に逃げた。弱肉強食の世界で、無知は最弱なのかもしれない。
4人の内2人は逃げ延びて、2人は魔物の餌になった。それを王国は知らない。
誤字脱字報告宜しくお願い致します。
予定通り、本筋は今日の20時に更新します。




