表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/178

予想していた事も起こったが、予想していなかった事も起こった

 知里に引っ張られて随分と進んだ所で私達は魔物と遭遇していた。それもそのはず、私達は魔物の縄張りに向かって突き進んでいたのだから。

 「・・・・・・」

 「・・・・・・」

 2人共、顎が外れそうな程に驚いている。

 ここまで私を引っ張ってきたのはあなた達でしょ?

 何故驚く!って、ま、この辺の地理なんて知るはずもないから仕方ないかもしれないけど、脇道を見たら子供でも分かる程、禍々しい感じがしてたけどね…ポリポリ。


 私はと言うと、こんな状況でも何故だか死ぬ気がしない。ランクとやらが低いのかも。

 私達の目の前に居るのは、かなりでかい蛇。

 蛇の弱点って何だっけ? 思い出せそうにないので、近くに武器になりそうなモノをがないか辺りを見渡す。枯れ枝ばかりで武器になりそうな物は見当たらない。どうしようかと再び考えていると、誰かに腕を掴まれた。そしてそのでかい蛇の前に突き出された。

 腕を掴んだのは知里で背中を押したのは洋輔だった。2人で私を蛇の前に突き出して、即座に踵を返して脇道の入口に向かって走り出した様だった。

 「あ〜、ま、予想はしてたけど、実行するんだ」

 振り返って逃げる2人を見て、悠長にそう口にした。そんな現状でも、死ぬ気がしないのは何故だろ?

 蛇に向き直って、蛇を見る。すると蛇が、私の頭よりかなり頭上にあった頭をずずーっと下げた。

 「そなた、何者」

 突如聞こえた声に私は辺りをキョロキョロする。それらしい人影はない。まさかな…と思い、蛇を見る。

 「聞こえているだろ。何者だ。その身に秘めし魔力、お主、神の使いか?」

 私は、選択肢の無い選択をして蛇に問いかけた。

 「蛇さん、この声あなたなの?」

 「われは蛇ではない。ブラックフォーグという種でブラックサーペントなどより遥かに上の種だ」

 蛇と何が違うのか困惑していると、蛇さんが私の頭の上に、自分の頭を乗せてきた。

 「ウォッ、重たっ!」

 「失礼な事を考えるからだ!」

 私はその重みに耐えながら話し続けた。

 「だって、見た目は蛇さんみたいだし、蛇じゃ無いと言われても、じゃあ何なの?って…」

 そういうと、蛇さんはのそりと頭を退けてくれた。

 「ふん、お主この世界の者か?」

 私は首を振り、違うと答えた。

 「なるほど。召喚者か。だからお主の魔力は体内に留まっているのだな。そうか良かろう。お主に魔法を教えよう」

 そう言うと蛇さんは頭を地面に着けるように下げて来た。

 「我に乗るが良い。人間が歩くより早く着くだろう」

 へ? どゆこと?

 私はオロオロして、その場で右を見たり左を見たり蛇さん見たりしていると、制服の首辺りを咥えられて背にぽいっと放り投げられた。

 蛇さんは、体長10メートル以上で横幅も3〜4メートルありそうだった。デカい。

 でもその背に乗って、蛇さんが蛇じゃないと言ったのがちょっと分かる気がした。鱗は有るんだけど、その鱗が虹色でキラキラと綺麗だった。下から見上げたら、真っ黒な黒光りした蛇みたいだったのに、上から蛇さん見ると、背は七色に輝き、頭は眩しい位に白く輝いている。尻尾のほんの先っちょだけ赤い。

 フォーグって元の世界で言うところの何に当たるんだろう? そんな事を考え背に乗っていると、「着いたぞ。ここだ」といわれ、また地面に着くように頭を下げてくれた。私は蛇さんの頭を滑り台代わりにして滑って降りた。

 「お主…。ま〜、良い」

 蛇さんが蔦で覆われた繁みに近付く。すると蔦は蛇さんを招き入れるように、意思を持ってるように、左右に避けていく。

 「うぉ、凄っ」

 私はその光景に驚き、変な声を出す。

 「何をしている。早く入らぬか」

 蛇さんがそう言うので、蛇さんの横に引っ付いて、蔦の中へと歩いて行く。

 蔦の量が凄くて中が想像出来なかったが、1メートル程の長さの蔦を潜ると、太陽光溢れる、温かな広場に出た。

 私はその光景に360度、ぐるっと辺りを見渡す。

 私がくるくるしてる間に、この村の人が歩み寄ってきた。

 「水神様、良くお越しくださいました。今宵は饗しを受けて下さいますかな?」

 「あ~、頼みたいことが在るからな、暫く滞在させてもらうよ」

 「畏まりました。では、奥へ」

 そう村人にいわれ、蛇さんは村人に付いていく。

 「何をしている」

 蛇さんは振り返り私にそういった。ついて来いという意味だと理解し、蛇さんに付いていく。

 村人に案内され、蛇さんがいても圧迫感が無い広い場所に着いた。目の前には大きな茅葺屋根の家があった。左右には目の前の家の半分くらいの大きさの家があった。目の前の家と左右の家との間には松明が焚かれていた。案内してくれた村人が村長さんで、この広場に着いた時、その村長さんの隣に立ったのが、戦士の2人だった。この村はどうやらエルフの村のようだった。

 「エルフと思って居るなら違うぞ。こ奴らはハイエルフという種族だ」

 うぉっ、心読まれた?

 蛇さんがニッと笑った様に感じた。

 ハイエルフの皆さんは、蛇さんと付き合いが長そうだった。村のみんなは蛇さんを水神様と言っていたから、守神的な存在なのだろう。

 その日の夜は宴会が開かれた。

 神様である蛇さんを饗すため、村踊りに覚えのある男女が踊りを披露し、音楽ができる人は楽器を演奏してくれた。

 この世界に来て、初めて心休まる夜を過ごした。

 宴は夜遅くまで続き、みんな笑顔で楽しそうだった。蛇さんも、楽しんでるように見えた。

 クラスメートの2人に囮にされると予想通りの事があったが、蛇さんに会って、こんな楽しい夜を過ごせるという予想外の事もあった。

 

 すごい1日だった。

 あ、因みに蛇さんが村長さんに頼んだのは、私に魔法を教えてやって欲しいという事だった。

誤字脱字報告宜しくお願い致します。


明日の朝8時に枝話を投稿する予定です。

なので10時の本筋はお休みで、20時の1話のみとなります。ごめんなさいm(_ _;)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ