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ピースサインは皆殺し?

 翌朝皇子様が言っていたように日が昇る前に出発することになった。そのため食事を摂ることはできなかった。とにかく進めるところまで進み王国へ入る前に追いつけるなら追いつきたいとのことだった。無理でも出来る限り暴動が起きている街に入る前に追いつきたいと皇子様は切実だった。なぜそんなにも切羽詰まっているのか聞いたら、王国と帝国の関係性にあると言われた。魔族が襲ってくるまでは緊張状態にありながらも一定の関係性は保たれていたそうだ。しかし魔族が襲ってきたときもその後の復興にも帝国は積極的な支援を行うことは少なかったそうだ。それというのも帝国内にあの王族と繋がっている者がいると言われていたからだそうで、その者の特定が出来ていない中で金銭的な支援など、遠隔で行える支援以外をすれば王国へ送り込んだ者がどのようなことに巻き込まれるか分かったものではないから、命さえ危うい状態になるかもしれない場所へ部下を行かせる訳には行かなかったからだそうだけど、もっともな理由なのに王国の民衆は納得しなかったそうだ。

 そもそも民に通達したということは帝国内にスパイがいるということを皇帝自ら認めたことになるのだ。それは帝国の信頼の失墜にもなりかねない。それを公にしたのに納得しないとは・・・・・。そういえばあの国に学校ってあったのだろうか?平民だけでなく、貴族も頭大丈夫?って人結構いた様な気がするなぁ。そうなると、帝国が公表したことがどれほど重大なことか理解できたものは少ないだろう。そうなれば帝国はさらに支援を渋るのは言うまでもない。それはさらなる民衆の反感を買うことになるだろう。完全な負のスパイラルである。

 だから皇子様は切羽詰まった感じなのか。ガレも中村君も相当強い。皇子様も相当な腕と見える。なら心配しなくても大丈夫なんじゃ・・・・。

 「心配なのは神子様ですよ。私もアッシャムも皇子も騎士達も強いですけど、神子様は魔物を食料にする以外はヘッポコですよね!」

 ミリロや・・・・なぜ断定口調なのかな?

 私だって・・・・・私だって・・・・。

 「黄昏て夕日に向かって走ろうとするなよ!」

 中村君まで酷い・・・・・。

 「神子様は何もしなくていいですから、一般の人を間違って分解しないようにしてくださいね」

 何?分解って何?ミリロ、私はそんな趣味ないからね!!断固として無いから!!!

 「いいもん!魔物居たら戦うもん!」

 「「いじけないで!!」」

 ふ~んだっ!

 「とにかく今日は一歩でも先へ行かなくてはなりません。急ぎましょう」

 皇子様がその場を宥めてくれて私たちのメメッチイ争いを止めてくれる。流石皇子様!カッコいい!!ガレはまたそっぽを向いている。そんなに私と皇子様が仲良くするのが気に食わないのね。ま、将来ある人だから、その人を守らなきゃいけない立場なら当然か・・・・・。の割には中村君は気にしないのよね?!

 そんなやり取りの中、私たちは先を急ぎ歩き出した。森の手前で野営していたから今日は一日森の中を歩くことになるらしい。この大森林地帯は魔物の出現も度々報告されていて、稀に高ランクの魔物が出現するので、魔導士団や騎士団で交代に見回りをしているらしい。中村君はその見回りのタイミングで王国側から抜けてきたところを発見されたようだ。

 「俺が使った道はもっと南側でこんな寒くなかったけどな。茂っていた草木もちょっと南国ぽかった。この辺は針葉樹が多い。一年を通じて寒いんだろうな。日聖大丈夫か?」

 「うん。平気。私体の周りに魔力を纏わせることが出来るようになってから外気に影響されることは少なくなったの。魔力を纏うほどではない時には着る物での調整が必要だけど、ここまで分かりやすく寒い土地なら魔力を纏うから大丈夫!」

 私はそうして中村君に向かってピースサインをする。

 それを見て、中村君もガレも皇子様も信じられないものを見たというような顔をする。

 私は不思議に思って首を傾げる。ミリロとアッシャムは“アチャ~”という顔をしている。

 どうやらピースサインは拙かったようだ。

 「・・・・へへぇ。。。。。ごめんなさい」

 はしたないのだろうと理解した私はその勘違いをアッシャムから直された。

 「神子様、そのサインはこの大陸全土に置いて《皆殺し》を意味します。神子様は我々を殺すおつもりですか?それともテントーレ王国の民ですか?」

 ピースサインってそんな意味があったの・・・・・?私はアッシャムの言葉に恐怖し、自分がとんでもないことをしたのだと理解した。どうしよう・・・・。

 「分かってるって!ユウも騎士団の皆と話し始めたころそれやったんだよ。ユウ達の世界では平和とか任せとけとか仲のいい相手に元気とか伝えるときに使うサインなんだろ?!この世界ではやらないほうが良いだけだよ」

 そういってガレは私に笑いかけてくれた。・・・・・ガレが笑った顔、久しぶりに見た気がする。その顔を見て私はなんだかホッとして、知らずに緊張して強張っていた体の力が抜けるような気がした。

 また皇子様の指示のもと歩き始めた私達はもう少し行くとテントーレ王国に入るというところで5~6人の人影を見つけることができた。

 「私が先を見てきます。皆様はこの距離を保ってついて来てください」

 そういうとアッシャムはアッという間に見えなくなり、「では私は前の者を確認してきます」という声だけ聞こえたら、枯れ草のガサガサという音とともに凄いスピードで前の集団の影を追って行ってしまった。

 「では、アッシャム殿のいう通り、我々はこの距離を保ち前へ進みましょう」

 皇子様が前の集団の歩いた道を正しく辿り、距離を保って気配を見失わないように進んでいく。

 皇子様なのに大したものだなぁと思ったら、命の危機があった場合、騎士達の護衛を待たず皇族だけで逃げられるために幼いころから隠密や野営の訓練などもしているそうだ。皇帝もこのくらいなら朝飯前だそうだ。大きな国のトップになるって大変なんだなぁ。

 皇子様の背中がちょっとだけ大きく見えた。


 

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