動き出した計画、ジュランの対策
リビングに着くと男とジュランが隣り合って座っていた。私はジュランの向かいに座り2人を見た。
「ダルさんだったかしら?貴方はあのブルーバレの辺りに住んでいるの?」
私がそう話しかけるとダレは私を見て首を振る。
「いいえ、私は、う”〜ん・・・・そうですね皆さんで言う所の出稼ぎとかになるのかな?村で作ったもの採れた物等を他の街や村に売りに行くことが表向きですが、本当の職業は村に取って有益になること害をなすものの情報を得ることが本職です。だから村に居ることは殆ど無いです。今の主な住居は皇都です」
「スパイって事?」
また首を振る。
「スパイって他国へ潜入してその国の人間になりすましてその国の情報を盗み出す人の事ですよね?私の仕事はあくまで自分たちに取って有害な情報です。今回のキルトの領主が起こそうとしている計画は我々にとって大きな害、脅威となるものです。それを阻止しようとしている人と手を組むことは有益な事です」
う〜ん・・・・。筋は通っているよね?でもこれを本気で信じて良いのか・・・・・。そもそもなんでフェンリルとミリロが一緒じゃなかった?そこが1番疑わしい原因だよね?住まいは皇都って言ったけどタイミング良く皇都からここまで来た?んなわけ無いよね?じゃ、やっぱりルブル族じゃないって事だよね?直接聞いちゃおうかな・・・・。そんなことしたらフェンリルあたりが怒りそうだけど・・・・。こんな時ジュランならどうするんだろう?
私は悩むと稀に頭や体を左右に揺すってしまうのだが、それが出ていたようでジュランが私の左腕を支えるように掴み心配そうな顔で私を見てきた。
「神子様?大丈夫ですか?」
私は2人の困惑した顔を見てやってしまったと気付いた。「大丈夫、大丈夫」と空返事をしておいた。相当私の行動が気になるのかまだ心配顔をしている。ダレも・・・・。え〜〜い!!ままよ!
「ダレさんは本当にルブル族なのですか?」
「・・・・・・・ええ。そうですが・・・・・」
私の質問にジュランの顔を見て不思議そうな表情をして私を見て困った顔をする。
「ルブル族に何か・・・・」
「いえ、別にそういう訳では無いのですが・・・」
「いや、何かあるならはっきりと仰って下さい。蟠りがある状態ではこの計画は成功しません。それほどに無効の計画はとんでもないものなのです」
「・・・・・なら伺いますが、貴方はヒゲもなければ背も高い、それにルブル族の村に私達の仲間の使いを出したんですが、その仲間と一緒じゃなかった。貴方は誰ですか?」
「はい。ダレです。正真正銘ルブル族のダレです」
いや、ダジャレを言った訳ではない。誰なんだって・・・・あ〜もう良いや!
「ヒゲは?ルブル族ってもっと背が低いんじゃないんですか?」
私は疑心暗鬼になりすぎて相当仏頂面で声も不機嫌な声だったらしい。
ダレはそれが可笑しかったのか、目に涙を溜めて笑っている。
「ヒゲと背丈は誰が見てもルブル族だって分かってしまいますからね。ヒゲは当然剃っています。背丈はルブル族の中にも私のように高身長になるものも稀に生まれるのです。そうして見た目ルブル族に見えないものが他の村や街に住みお金を稼ぎ情報を得てくるのが我らの掟とでも言うのかな?」
その表情はとても穏やかで優しく、ルブル族が争いを嫌う種族なのだと納得させられる。
「私も初めは疑いました。ミリロもいなかったですし神子様がおっしゃる通り背丈も私よりも高い。でもルブル族の証はそこでは無いのですよ」
そう言って私にウィンクしたジュラン。ジュランの言葉に促されるようにダレが服を捲り背中を見せてくれる。そこにはタトゥーの様な模様が薄っすらと有り、ダレがどんどんと魔力を上げるとその模様はくっきりと浮かび上がった。それは本当に見事な模様で見とれてしまうほどのものだった。
「この背中の模様が魔力を流すことで浮き上がることこそルブル族の証なのです」
「ジュランはそれを知っていたの?」
「ヒゲや背丈と同様に有名な事です。ルブル族の背は芸術だって」
またウィンクした。ジュランが何となく乙女になってる気がする。ジュランとダレを交互に見るが寒気のようなものを感じ気の所為ということにしてサクッと忘れることにした。
あ、ミリロどうしよう・・・・・・。まいっか。ミリロ自身がどうにかするでしょう!
私は気を張りすぎて疲れてしまい、後のことはどうでも良くなってしまった。そうしてリビングでまた眠ってしまったのだ。
目を覚ますと呆れた顔のミリロとフェンリル。私は体を起こし一応「ごめんなさい」と謝って置いた。確かにこんな状況の中寝るってあり得ないしね。
私は周りをキョロキョロ見渡し2人に尋ねる。
「ジュランは?」
「おらぬ」「いない」
?何処に行ったんだろう・・・・。そう言えばダレもいないな〜。呑気にそんな事を思っていたらフェンリルの必殺前脚顔面潰しを久しぶりに受けることになってしまった。
「何を呑気に構えておる。あの男にジュランが連れ去られたのだぞ!お主があの男の背中の模様を見たせいだ」
???ルブル族の証の?
「神子様、ルブル族の魔力は結界魔法に特化されているほど他の魔法を使いこなせるものは少ないです。ましてや背中にあんな物あれば私も覚えています。あれは催眠魔法の魔法陣だと」
この世界の魔法ってどうなってるの?
「この世界の魔法って自分たちの都合の良いように作れるのね」
「「魔法だから!!」」
???????今は深く掘り下げるのは好しておこう。今はジュランだ!そもそもルブル族でなければ彼奴は誰なんだ?!
「あのダレと名乗った男誰なの?」
「「ダレなんでしょ!?」」
・・・・・・。いや、もう良いや。あの男面倒くさい!
「どちらにしてもあの男はルブル族じゃないってことで良いのね」
「ああ。それどころかわれらが撒いてきたとおもっていた連中かもしれん」
!?やばい状況じゃん!そんな奴にジュラン連れて行かれたの?早く連れ戻さなきゃ。ジュラン殺されちゃうかも・・・・!
「神子様、ジュランなら大丈夫だと思いますよ!?」
「なんでそんなこと言うの?ミリロはジュランの事が心配じゃないの?」
「?何を言っておるのだ」「何言っているんですか?!」「「ジュランに催眠系の魔法は効きません」」
・・・・・え〜〜〜〜〜!!!!そうなの?私は2人の話に頭がついて行かずに視線が定まらない。床や壁や辺りを彷徨っていると目の前で手を2度叩かれた。
「神子様しっかりして下さい。私達がこれだけ早く戻ってこられたのは皇子様のお陰なんです。皇子様がルブル族への使いを代わりに出してくれたからなんです」
そうか・・・・。皇子様・・・・・?皇子?
「皇子様は攫われたのでは?」
「ああ、われらもエレノエラに攫われたと思ったからアッシャムと共にあの2人を皇都に返そうとしたのだが、皇子はそもそも攫われてなどいなかった。あの晩騎士たちの戻りが遅いとヤキモキした皇子は自らも街へ戻ったのだ。あの2人が居るから此処は大丈夫だと踏んだのだろう。それで援軍と共に戻って来る所にアッシャム達と合流したのだ」
情報が多すぎて・・・・・追いつけません。え〜、先ず皇子様は攫われてはいなかった。皇子様が攫われていると思ったからガレと中村くんは皇帝にその事を伝えようと皇都へアッシャムを連れ立って向かった。攫われていなかった皇子様がアッシャム達と合流????
「皇子様が空間移動魔法を使ってくれた時この村まで直接では無かったじゃないですか。アッシャムもその場所まで普通に移動してそこから魔法を使おうとしたみたい。それでそこへ行くまでの間に皇子様たちと鉢合わせて、皇子様が無事なことを確認できてこちらに援軍率いて戻って来たってこと!神子様理解できた?」
ミリロが友達を誂うように私の顔を覗き込み嬉しそうな顔を見せる。
うん。理解できたよ。なら、助け出すはジュランだけって事ね。
私は立ち上がり、外へと向かってあるき出す。
庭先には大勢の騎士達がいて、皆キビキビと動いていた。大多数が村と草原の間に向かい、スタンピードを抑え込むための要員のようだ。ジュラン救出には皇子様とガレ、それに中村くんとグリッグと名乗った騎士が同行してくれるらしい。
皆でジュランをと思ったら、フェンリルはこの場に残りスタンピードを抑え込むと言った。騎士が大勢居るし大丈夫でしょと言ったが頑なに残ると言い、しょうがないので村に置いていくことにした。フェンリルなりに考えがあるのでしょうと思いたいが、多分楽しそうな方を選んだだけだと思う・・・・・。
あなた私の従魔だよね?!
誤字脱字報告宜しくお願いします。




