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その男、何者?

 皆と分かれた後私とジュランは家中を隈無く捜索した。引き出しの書類は全て1枚づつしっかりと確認した。そうして手分けして捜索を続けていると玄関のドアが勢いよく開く音がする。

 バーンッ!!

 私は驚いて捜索していた部屋を出て音のした方を見た。ジュランも同じだったようで奥の部屋を捜索していたジュランと目が合った。

 「神子様はそこに居て下さい。私が見てきます。何かあれば窓から脱出してくださいね」

 そう言うとジュランは玄関へと向かって行った。

 数分静かな時間が流れ私はジュランの言葉に従って窓から逃げ出す準備をする。部屋の窓の近くに隠れて、そーっと窓を開ける。そして外の気配を伺っていると何やら話し声が聞こえてくる。緊張状態でその声に耳を傾けていると声の1人はジュランだった。もう一人は聞き覚えの無い男の声・・・・・。私は助けに行くべきかジュランの言葉に従って逃げるべきか迷って10分以上その場で蹲ったまま居た。かなり緊張していたからなのか足音が近づいていることに気づかずに部屋の中へ入ってきた知らない男と目が合った。

 「#&%`$?!*+」

 「神子様大丈夫ですから出てきて下さい」

 私は恐怖と驚きとこの世の終わりと思うほどの絶望感でジュランの声は聞こえていなかった。

 「聖女か・・・・・」

 「はい、そうです」

 「相当力が強いな。現在要るこの大陸の中では随一じゃないか?!」

 「ええ。それどころかこの世界中の現在過去未来に置いても1番だと思います」

 「ははは、それほどか」

 男とジュランの会話は私の頭の上で続いていた。その声で段々と冷静になれ、会話の内容を聞き取れるまでになる。

 冷静になれてからも蹲った姿勢のまま2人の会話を聞いている。

 「そんなら簡単な話だ。全土に薄くコイツの魔力を敷くか覆えばいい」

 「・・・・そんな事をすれば」

 「危ないって言うんだろう!そんなら大丈夫だ。その魔力にちょっとした細工をすればいい」

 魔力に細工?2人は一体何の話をしているのだろう。そもそもこの男の人は誰なんだろう?

 そう思って2人を見たらジュランと目が合い、ホッとしたように笑うジュランが私を呼ぶ。

 「よかった。落ち着いたようですね。神子様、こちらはルブル族のダルガレオノフォンヴァンさんです」

 「・・・・・・え?」

 誰だって?ダレダレガレボンバーさん?

 「皆にはダルさんと呼ばれているそうです。ミリロとフェンリル様はルブル族の村で待機しているそうですよ。ルブル族も今回の戦争を止める事に参加してくれるそうです」

 ジュランは完全に私達の眼の前に要る男の人を信じているようだった。私は不安になりながらも「そう」とだけ答えた。

 普段のジュランならミリロやフェンリルを確認できていない状況で相手の素性を信じるなんてありえない。何か有ったのだろうか。

 この時の私はとってもミラクルに冴えていた。

 私はあの湖の畔で会ったルブル族を思い出した。その3人は小学校高学年から中学生程度の背丈でガッシリした体型にヒゲを皆好きな様に編み込んでいた。でも目の前の男はヒゲもなければ背丈もジュランより高い。玄関先での話し声が聞こえるまで少し時間が有った。その時なにかされているんだ。アッシャムの持つ幻惑魔法はそうそう使えないって聞いているから魔法以外かな?そうなると・・・・・浮かんだのは元の世界に有った幻覚を見せる麻薬の類だった。でもこの世界にも麻薬ってあるのかな?

 そう考えた時ピンときた。接着剤が持ち込まれたんだ。麻薬だって持ち込めたはず!そうだとすれば幻覚や幻聴をうむ薬・・・・・・。知らない・・・・。覚醒剤とか大麻は知ってるけど、どんな症状が出るのか知らないし今のジュランの状態になる都合の良い薬物となると更に分からない…。やっぱり魔法だと考えた方が良いのかな?とにかくジュランの目を覚まさせる方法を考えないと。男に悟られてはきっとジュランが危ない。こんな時はいつもジュランやアッシャムが相談に乗ってくれたけど、今日はどちらにも相談できない。私が頑張らなきゃ・・・・。

 (どういう状況だ。何が起こったのだ?)

 頭に流れ込む声に周りを見渡すとフェンリルとミリロが窓から私を覗いていた。

 (玄関から入ろうとしたがいつもと違う雰囲気を感じてな)

 野生の勘!ありがとう・・・・・。

 ミリロもフェンリルの側でピースサインしている。どこまでも無邪気なミリロでした。

 (この男、ルブル族っていってこの家の中に入ってきたの。ジュランは完全に信じているようなんだ。魔法か薬物のせいだと思うんだけど)

 (ああ、そうだろうな。薬物ならそれを解くのは簡単なのだが、魔法となれば少々厄介かもしれん)

 (どういう事?)

 (薬物のせいなら腹に1発入れれば目を覚ますだろう。ま〜気絶するかもしれんがな。しかし魔法なら使用している者を攻撃しなければ意味がない。あの男からは魔力を感じない)

 (じゃ、薬物と断定してもいいって事?)

 (いや待て。何処か離れた所で術を掛けているかもしれん。外から少し探る。もう少しそこで我慢しろ)

 そう言うとフェンリルとミリロは左右に分かれ周辺を探るようだ。

 10分ちょっとだろうか、言われた通り待っているとフェンリルとミリロが戻ってきた。2人が何か合図を送ってくるが何が言いたいのか分からない。合図なんて決めたことは無いから、2人がどんな事を伝えようとしているのか不明だった。私が首を振ると漸く現実に戻ったのか念視に切り替えてきた。

 (無駄な時間。私の置かれている状況を考えて)

 (すまぬ)(ごめんなさい)

 (で?)

 (うむ、近くにはそれらしい者は居なかった)

 (私の方も同じ。近くにはいそうに無いよ)

 (なら薬物?それとももっと遠くを捜索する?)

 (いや、決めつけるのは良くないが、一旦攻撃してみるのも良いかもしれん。で、お主ジュランに攻撃できるのか?)

 (どういう意味?)

 (そのままだ。ジュランはいつもお主の周りで世話を焼いているが本来は相当な使い手なのだぞ。やりあえるのか?気絶するくらい強い打撃が入らなければあまり意味がない。それどころかその男にバレてしまうかもしれん)

 フェンリルの助言に悩んだ私はミリロをなんとかして部屋の中へ入れる方法を考える。そんな時タイミング良く男とジュランが部屋を出ていこうとしている。

 「神子様。ずっとそんな所で蹲って何しているんですか?さ、リビングの方へ参りましょう」

 そう言うとジュランと男は窓に背を向け扉を開け部屋を出ていく。その隙にミリロを窓から部屋の中へといれることに成功。そして私は何食わぬ顔でリビングへと向かった。

誤字脱字報告よろしくお願いします。


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