迷宮スタンピード
ガレの本心を知らない私はあの日から何となく皇子様もガレも遠ざけるようになっていた。
私、何でこんなに落ち込んでるんだろ…。
今日は皆で近くにある狩り場まで狩りをしに行くことになっていた。私の魔力操作は順調に進み今は神子の姿の顔とそれに近い体型になっている。私は前創造神と現創造神の力の結晶だから、体内で循環させるだけじゃなく、体外に少しずつ放出した方が上手く魔力操作出来る事が理解出来たのでそれを意識しながら訓練を続けていた。今日からは常に魔力の流れを意識しながら魔力操作をする様にとジュランとアッシャムとエレノエラさん3人に言われた。足から地面に僅かに魔力を流しながらジュランとミリロに挟まれて狩り場まで歩く。
「今日の狩り場は何が狩れるの?食材になりそうな魔物沢山いそう?」
「ええ、前にフェンリル様が騎士を連れて行った時には鳥系も小物も大型も取れたようですよ」
・・・・。
「その割には持って帰ってきたの・・・・」
「ええ、フェンリル様も騎士もアイテムボックスもアイテムバックも持ってませんから」
ジュランが明るい声で楽しそうに返事をしてくれる。・・・・。いや、めっちゃ食べるんだからそこは頑張って持って帰ってきてよ〜。私はジュランの言葉に脱力した・・・。
「なら、今日頑張って大物仕留めてその素材を換金して、それでアイテムバック皆に買おうよ!私もアイテムバック欲しい!」
私の後ろからミリロが手を挙げて元気に意見を述べた。こういう事に関しては本当に無邪気だよな…。
「アイテムバックって1個いくらくらいなの?」
私はジュランに小声で尋ねた。
「大きさに依りますが女性が持つ一般的な小型バックタイプで1個数千万〜ですね。何百万なら詐欺だと思ったほうがいいです」
「その大きさでどれくらい入るの?」
「だいたい1軒分程度ですね」
金額を聞いて驚いたけど、それだけの容量を入れられるならフェンリルとミリロだけで狩りに行ってもらっても全部持ち帰ってくれるだろ。それならこのメンバーでも食材の心配はする事無さそうだ。私が付いていく必要も、その場所まで回収しに行く手間も無くなるだろう。
「狩りの出来次第だね」
ジュランに小声のままそう返した。
ジュランはそれに笑って返した。「そうですね」って。
「聖女珠子様〜」
背後から大きな声で呼ばれて皆で振り返る。
そこにはガレに中村くん、それと数人の騎士を従えていた皇子様がいた。
皇子様が私の側まで走って来る。その後を付いて騎士達が走って来る。騎士達はガレも中村くんも軽装ではなくフル装備だ。相当重たい筈なのにしっかりと皇子様の後を付いてくる。毎日訓練頑張ってるんだろうな〜なんて思う。
「皇子様、どうしたんですか?」
「今日狩りに行かれると聞いて参上致しました。我々もお役に立ちたく」
このから回ってる感のやる気に対して私はどう返事をすれば良いのか困っていると、フェンリルがぬっと顔を近づけて来て「良い心がけだ。われに付いてこい」なんて偉そうに言うから皇子様余計にやる気を出しちゃって騎士達は困惑してた…。
皇子様は私の隣に並び歩きだすと、私を見て笑顔を見せた。
「貴方に良い所も見せたいですしね。男としては」
これ返事するまで続くのかな・・・。迷惑・・・。私は苦笑いをするだけで精一杯だった。
ガレは顔を背け、中村くんはごめんってジェスチャーしてる。他の騎士達は気にしてない様子で皇子様を囲うように周りを警戒中。
狩り場まで着くとフェンリルとミリロ、ジュランとアッシャムがいつもそうしている様にペアになり胸辺りまである背の高い草むらの中を進んで行く。
「珠子様は我々の後ろへ」
そう言ったのは皇子様ではなくガレだった。
皇子様の前には中村くんがいた。
「あの、私は…皇子様守らなくて良いんですか?」
「我々は皇族を護る騎士でもありますが、要人を護る事も仕事のうちです」
そう言って私を背に隠しながら草むらをグングン進んで行く。その背中はとっても頼もしかった。
そうこうしながら進んでいると、先を行っていた皆が魔物を狩っているのだろうか風や水魔法、時々雷が落ちている場所があった。
「我々も先を急ぎましょう。フェンリル様相手に遅れを取れば今日の成果は0もありえます。せっかくです。沢山狩りましょう!」
ガレは私に笑顔を向けた。ガレの笑顔久しぶりに見た。私も釣られて笑ってしまった。
「そうですね。成果0は食事時に嫌味を言われそうです」
「でしょ!?」
ガレとの話は楽しい。弾んだ気持ちで私も狩りを頑張った。私の狩り方法を見た帝国騎士団一同は明らかにひいていた・・・・。
そうして狩りも済み、村へと戻る。
途中昼食を挟んだ時に皆の調子を聞いてみたら、今日は私が付いてきてるから狩りまくってると言っていた。・・・・皆ちゃんとうちの食料事情を理解してくれてるみたいで食材になるものだけ選んで狩っているようで、食べられない魔物は脅して逃がして居るようだった。
「あ、でも此処は村の人達の狩り場でも在るから、ちゃんと食べられる魔物は残して、害獣になる魔物は狩り尽くしてよ!」
そうお願いしておいたらその後の狩りはそれを実践してくれたようでゴブリンやらオーガにトロールなんかもいた。それを見た皇子様達騎士団は緊張した顔をして何やら話し込み、数名が街へ戻って行った。
皇子様とガレに中村くんが残ったが、緊張した表情はそのままだった。
「あの〜、何か有ったんですか?」
「この辺ではオーガは稀に出現してもトロールは出現しません。ルブル族の結界はオーガやトロールといった巨大種に特に効果があるのです。だから稀にオーガが何処からか入ってくることは有れど、それでも精精1体位でこんなに出ることは無い。それがトロールまで出たとなればスタンピードを疑わざるを得ません」
皇子様が私にそう説明してくれる。
スタンピード…。ダンジョンから魔物が溢れ出したって事?!
そんな事になれば村が危ない。村だけじゃなく街も・・・・・・・。
「でも、この辺にダンジョンが在るなんて言ってませんでしたよ!カルマさんも、エレノエラさんも!」
「ええ、我々も知りませんでした。でもこれはダンジョンの存在を否定するのは無理な状況です」
そうして皆が狩ってきた成果はこの国を脅かす新たな火種となった。
誤字脱字報告宜しくお願いします。
昨日は更新出来ずに申し訳ありません。14日まで毎日更新すると言ったのに、本当にすみませんでした。
今回の話は書くのにちょっと苦労しました。
前話との話で食い違っている所があったら申し訳ありません。報告頂ければ確認して訂正を出来るだけ早く掛けます。宜しくお願いします。




