プロポーズ大作戦?
昼ご飯を皆で食べてからは少しだけ魔力操作の訓練をしてその後はのんびり過ごした。
玄関横にあるテラス席で何故かミリロとコーヒーを飲んでいる。
「いつもならジュランかエレノエラさんなんだけど、ミリロとこうしているって不思議な感覚かも。ミリロはジュランかコハクと一緒にいる感じがするから」
「そうかな?・・・・う〜ん、そうかも」
私に向かって頭を掻きながら照れ笑いをするミリロは可愛かった。ミリロは直ぐにカップに視線を落とし何かを見つめるように黙った。
「ミリロ?どうかした?」
「・・・・あのね、神子様・・・・」
「ん?」
「神子様変わっちゃったでしょ!?・・・・ジュランから神子様は違うから大丈夫って何度も言われたけど、私不安で・・・・」
「あ〜、変異するとどうのこうのとか言う話?」
「・・・・うん。あのね、私の種族は獣人といわれる中でも珍しいタイプで、犬の獣人でも、虎の獣人でも人型のままで獣の姿になる種族はそうは無いんだ。でも、私の種族は稀に獣の姿に変われる奴が生まれるんだ。普通にしていれば人型のままなんだけど、突如獣に変化するやつが居る。獣の姿になれる奴皆が獣化するわけじゃないから、それが何でかは分ってないんだけど、獣化したやつは決まって何処かへ行ってしまって帰ってくることは無いんだ。・・・・神子様の姿を見てどうしてもその記憶と重なっちゃって・・・」
「そっか。心配してくれたんだ。・・・・でも大丈夫だよ。多分コハクが説明してくれた通りだと思うから、このまままた魔法を使えるように魔力循環をするようにすればそのうち前の姿に戻るはずだから!」
「でも!」
不安いっぱいで泣きそうな目をしたミリロを私は力一杯抱きしめた。
「大丈夫だよ。何があっても皆の元を離れることは無いよ。ずっと一緒!」
私がそう言うとミリロは私の顔を見て、子どものように「本当に?」と聞いてきた。私が「本当に!」と返してあげると少し安心したように笑った。
2人並んでコーヒーを飲んでいると馬の蹄の音が聞こえて来た。その方向を見ると、皇子様と中村くんと騎士がこちらに向かってきていた。
私は立ち上がり庭先へ出る。
馬が私の前で停まり、乗っていた主人達を降ろす。
「中村くん!今日は来られないからって、・・・ガレが来てるけど・・・」
「ああ、皇子の護衛の仕事だったのは本当。それが終わって、皇子が日聖がくれた飴のお礼をしたいからってこっちに来たんだ。迷惑だったか?」
「いや、そんな事はないけど・・・・」
私と中村くんの会話が途切れた所で皇子様が私の前に歩み出た。
「お体の具合はいかがですか?倒れたと聞いて心配していたのですが、大勢で押しかけては余計疲れさせてしまうと、伺うのが遅くなりました」
皇子様は丁寧に頭を下げてそう言ってくれた。
私はフッと同じ王子でもあのクソ王子とは雲泥の差だなと一瞬思った。でも直ぐにあんな外道と比べることが失礼と思い直し、クソ王子の記憶はドブ川に捨てた。
「いえ、こちらこそご心配頂きありがとうございます。お陰でこの通り、回復しております」
(いや〜、前の姿と違いすぎじゃね?)
皇子の後ろに控えていた中村くんのつぶやきを聞き逃さなかった私は、中村くんへ鉄拳を食らわせようと構えると、その前に柄の部分で中村くんの頭を小突く皇子様。
「ユウ、失礼だぞ。レディーに向かって。聖女様はお綺麗な方ではないか!どの様な立場の者にも分け隔てなく、御心を配られている。その様な方に向かって、見かけだけを気にするような中身のない何処ぞの貴族連中と一緒にするな、分かったな!これは皇帝の命と受けよ」
なんだろう〜・・・・。私、始めからこの国に召喚されたら運命変わってたのかな・・・・・?!
ま、聞く限りまともな人は異世界召喚なんかしないって事だから、あのクソ王族だからしたことだし、今更かな・・・・。私は心のなかで泣いた。
だって、皇子様カッコいいし!中身も外見もイケメンはイケメンなのよ!
そんな事を考えていたら、中村くんが私の顔を見て冷やかす様に薄笑いを浮かべていた。
「聖女様、お礼が遅くなりましたが、先日の魔力飴成物のお礼の品です。気に入って頂けると良いのですが・・・」
そう言うともうひとりの騎士が私の前に来て大きな花束と宝飾箱の様な物を差し出した。
私は花束を受け取ると「ありがとうございます」と返し、「お気遣いなく」と良い添えた。
「しかし、あれは相当なものです。皇族が恩を受けておきながら何もしないというのは格好がつかないのです。ご迷惑でしょうが、お受け取り頂けないでしょうか?」
そう言って皇子様は宝飾品の入っていそうな箱をパカッと開け、私に中身を見せた。
それは、中央に大粒のブルーサファイアが鎮座し周りを大小様ざなま大きさのダイアモンドがあしらわれているネックレスだった。首周りは輝きからしてプラチナと思われる。
材料費タダ。作業時間一粒辺り40〜50秒程度。それが・・・・・こんな高価なものと同等なわけ無いじゃん!!!何考えてんのこの皇子様。物の価値を知らないの?
私はそう思い中村くんを見るが何故か中村くんがドヤ顔をしている。・・・・いや、そのドヤ顔の意味分かんないんだけど・・・・。
「皇子様、お気持ちは大変ありがたいのですが、あの飴は私の従魔でもあるフェンリルや仲間たちが移動による魔力切れを起こさないために普段から作り置きしているものです。あの時は偶々切らして居ましたが、普段から通常は持ち歩いているものですので、それでこの様な・・・・・・」
私がやんわりと辞退しようとすると皇子様にはたれた耳と尻尾が見えた。幻覚を見たようで私は目を何度もパチクリした。
皇族の好意を無碍にしたら何か罰せられるかなとも思ったが、誰がどう考えての釣り合いの取れない礼を受け取ることは出来ない。そりゃー気持ちは嬉しいよ。プレゼントなんてこっちの世界に来るまで貰ったこと無いし、ましてや宝石なんて貰えるわけ無かったから・・・・・。でも、だからといってそこまで非常識にはなれない。ここはお断り一択で!
「申し訳有りませんでした。聖女様にご迷惑を・・・・」
まだションボリとしている皇子様を見て流石に申し訳なくなり、私は代替案を出した。
「では、街で1番美味しいお菓子を下さいませんか?」
そう言うと皇子様はパーッと明るい表情になり、明日必ずこの国1番の美味しいお菓子を持ってくると約束してくれた。
・・・・・私はこの街で手に入る物で十分なんですけどね・・・・・。
「神子様せっかくなんだから貰っておけば良いのに。あれ、多分王宮の宝物庫辺りから持ってきたんじゃないかな?!」
ミリロの言葉に私は確信をもって自分にグッジョブ!と言った。受け取らなくて良かった〜。
玄関近くで押し問答していたため、家の中に居たエレノエラさん達が気付き皇子様たちをディナーに招待した。今日は村の人から鴨とチーズと葱を分けてもらっていたのだ。私のアイテムボックスからも食材を出して豪華な晩餐となった。
皇子様は私の隣に座り、終始ご機嫌で食事を楽しんでいた。
私は目が覚めた最高潮の時よりはやや痩せているが、前の神子の姿ではない。顔も元の世界のときの顔に戻っている。それなのに誰も非難しない。
私にとってはそれだけで十分な褒美だった。こんな幸せが在るなんて、知ることが出来て本当に良かった。和やかに晩餐は過ぎ、夜も更け皇子様たちは宿へと帰る。ガレも一緒に帰ると言った。
「ユウは帰って良いのか?付き添うか?」
ガレが中村くんにそう聞いたが「帰りますよ」とそっけなく返事をしていた。それを見ていた皇子様が何を思ったか、中村くんに尋ねる。
「ユウ、本当に良いのだな。お前がそう言うなら俺が貰うぞ」
「どうぞ!」
中村くんが皇子様に何かを勧めるように手を出す。すると皇子様が、私に向き直りとんでもないことを言い出した。
「聖女珠子様、わたくしの婚約者になっては頂けないでしょうか?ゆくゆくは私の后となって、この国の民の為に共に生きて行っては下さいませんか?」
は?・・・・・何言うたこの皇子様・・・・。
幻聴を聞いたと思った私は目が点、お口あんぐりで皇子様を見ていた。
その様子を見ても皇子様はキッラキラの笑顔を私に向けていた。
誤字脱字報告宜しくお願いします。
明日の引っ越しに向けてやることが多すぎて書く時間が遅くなりました。
予定通り明日から11日まで時間が取れるか分からないので、更新はお休みの予定とさせて下さい。
宜しくお願いします。
いつもお読み頂き、ありがとうございます。




