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目的地ミネノア

枝話も入れてのトータル100話目です。

因みに昨日私の誕生日だったので昨日100話目更新したかったのですが、無理でした。スミマセン。

100話目ということで張り切って超長めに書いてみました。のんびりとお読み頂けると嬉しいです。(4話分くらいかな)

 私が付けた条件は3つだ。

 1.必要な材料の提供。

 2.製造方法の指導。

 3.タカシ・シラヤナギが信用できるまでエリクサーの所持を知られないこと。

 以上の条件をガレは承諾してくれた。そもそも材料はもう手元に揃っているらしい。皇帝が用意できなかったのは魔力を大量に保有した魔導師複数名くらいで他は問題なかったようだ。

 「エリクサーの材料ってどんなものなんですか?」

 「ヒール茸とドラゴンの血、それからこれがエリクサーの製造を難しくする1つでもある蕺草です。蕺草以外でも作れるのですが、それだとほぼ成功はしません。ヒール茸とドラゴンの血だけでもエリクサーは作れるのです。しかしこの2つ相性が非常に悪くどれだけ魔力を注いでも混ざらないんです。それをくっつけてくれるのが蕺草なのです」

 「この3つって簡単に手に入るものなんですか?」

 「ヒール茸は群生地が知られていますし、ドラゴンの素材は討伐さえすれば手に入ります。この国に無ければ隣国の冒険者ギルドに問い合わせすればどこかにはあるでしょう。1つ1つが高価ですから売りに出されても直ぐには売れませんから。問題は蕺草なんです。これは群生地もなく、どこに生えているのかは見つかればラッキーくらいな物で、我々も今回の採取で1番苦労しました」

 「じゃ、蕺草がなくなれば製造終了という事ですね?」

 「はい。申し訳ないのですが、今回取れたのは30回分も無いほどです。それまでには是非とも成功させて頂きたいのですが、こればかりは運もあります。今回成功しなければまた1から素材を探し揃えばまたお力をお貸し頂きたい」

 ガレと話していて思うのは、この人本当に誠実な人だなと言うこと。30回近くも挑戦出来て、それで出来なければって普通私を責めるでしょ!それなのにエリクサーがいくら製造困難な物だとしても微塵も相手を責めようと思っていない。

 「あの〜、全然関係ない話なんですが・・・・」

 「はい、何でしょう」

 「騎士の方たちって一般の人なんですか?それとも貴族の方とかですか?」

 「あ〜あ、僕は一応貴族です。侯爵家の次男です。シャルムとドルアドラも。でも騎士になるのに身分は関係ないですね。実力が無ければどんな階級の者でもなることは叶いません。逆を言えば、家なき子でも実力が在ればどこまでも登って行けるのが帝国騎士団です」

 ガチの実力主義だった。

 「それってずっとなんですか?」

 「ずっと?・・・あ〜、いえ、今の皇帝に成ってからですからここ十数年の間のことですね」

 今の皇帝から・・・・・。そうなると前帝の時はそうではなかった。それを完全実力主義に変えたってこと?皇帝なら鶴の一声だろうけど・・・・。今の皇帝はガレが言う通り”賢帝”なのかも・・・・。

 私が黙って考え込んでしまったから、ガレが心配そうに私を見ているが、ジュランは私の考えていることが分かったのか私を見て頷いた。

 通じ合っているのは嬉しいよ。でもね・・・・こう・・・全てを見抜かれるのは逆に恥ずかしいものよ・・・ジュランさん。

 「ではいつからエリクサー製造に入るのですか?」

 ジュランがガレに聞いた。

 「そうですね、出来るだけ早く作りたいですが、皆様もお疲れでしょうし、今回の旅はただの観光では無いでしょう。目的地まで我々が先導いたします。暫くはそちらで休養して、その後こちらにお力添えを頂くということでどうでしょうか?」

 「分かりました。そうして頂けるのであれば」

 「神子様はそれで宜しいですか?」

 「うん。大丈夫。コハクを先ず休ませたいしね」

 それは私達の共通の思いだった。騎士達はフェンリルの様子がおかしいとは思っていたようだが、そこまでだとは思わなかったようで、3人ともちょっと驚いていた。シャルムという騎士がアッシャムに尋ねていたから。フェンリルはそんなに体調が優れないのか?って。こうなるとフェンリルのことに皇帝は関係してないのは決定だ。だって、3人とも演技じゃなく、本当に驚いていたから。フェンリルの身に何が有ったのかは知らないのだろう。思い出しただけでもタカシ・シラヤナギを今から殺してやりたい気分だ。本当に赦せない。

 「では、我々はこれで。明日日が昇った頃お迎えに上がります」

 そう言うと騎士達はまた闇夜に消えていった。

 明日は朝早くから出発することになりそうだと、皆眠る事にした。ミリロは既に寝ていたよ。本当にこの子すごい子だ。


 日が昇る少し前に起き、身支度を整え、出発出来る様に準備をしてから朝食を作り始めた。

 さっさと出発できるように簡単なものにした。パンケーキと此処へ来るまでに偶々見つけた卵(ジュランに確認したら食べられるって言ってたから)と野菜とソーセージのスーブ。ソーセージはそんなに大量に残ってなかったからフェンリル辺りにブーブー文句言われそうだけど、食料調達が叶わなかったんだからしょうがない。人数分作った。これだけ早く出発するならここで一緒に野営をしなかった騎士達は食事は取ってこないだろうと予測して騎士たちの分も作ってある。

 そうしている間に皆起き出してきて身支度を整える。フェンリルは起きてそうそう私の隣に陣取り、鍋の中を覗き早速文句タラタラだった。

 早く食材調達しなくちゃ!フェンリルの餌になりそうだよ・・・・。(泣)

 皆顔を洗ったり旅用の服に着替えたりして用意が済んだら黙々と朝食を食べ始めた。

 最近の食事、静かじゃない?

 「皆、美味しくない?」

 私がそう聞くと皆一斉に私を見た。

 ジュランが「何故ですか?」と聞き、ミリロが「美味しいよ」という。アッシャムもミリロの言葉に頷く。

 「だって、皆静かなんだもん」

 「「「「あ〜あ!!!!」」」」

 「早く食わねばおかわり出来ぬだろう。予定通りの道を通れれば食材確保も定期的に街や村に寄れたのだが、想定外のことが起こり道を変更した。仕方が無いことだが、食材の残りもそれ程無かろう。此処からは仲間と謂えど弱肉強食だ!」

 皆自分の腹を膨らませる事を考えてて無言だったのね・・・・。

 私もとっとと食べよ。そうして食べ始めようとした所へ騎士達が到着した。

 「皆さんお食事中でしたか。では、急かすようで申し訳ないのですが、お食事が済み次第直ぐに出発して頂きたい。お願いできますか?」

 ガレの言葉に皆無言で頷くが、食べるスピードが上がってる気がする・・・・。早くしなきゃ!

 「みなさんは朝食食べて来られたんですか?」

 私がそう聞くとガレが頷いた。

 私は一瞬驚いたが、直ぐに3人分の朝食を出した。多分それって携帯食だろう。だから騎士には足りないはずだ。

 私が手を”どうぞ”というふうに出すと3人は顔を見合って「宜しいのですか?」と聞いてきた。私は自分の朝食を食べながら頷き、再び勧めた。それで騎士達はその場に座り出された朝食を食べ始めた。

 3人とも嬉しそうに笑顔で完食してくれたよ。作りがいもあるね。

 フェンリルとミリロ、ジュランにアッシャムは言うまでもなくおかわり勝手にしてたよ。最後パンケーキが1つだけ残っちゃってフェンリルとミリロで取り合いしてた。この2人の胃袋はブラックホールなのかも・・・。

 皆食事が済み出発しようとする。すると騎士達が少し離れた場所にある馬車を指した。

 「本来は馬だけを用意し、フェンリル様にはそのまま走って頂こうと思っていたのですが、昨夜フェンリル様の体調が優れないとのことでしたので、フェンリル様も乗れる馬車を用意しました。こちらにお乗り下さい。8馬力で引きますから早いですよ!」

 この申し出は有り難かった。馬車には少し警戒もするが、フェンリルを休ませることが出来るのはこの上もない申し出だ。私とジュランは即頷いた。

 「ちょっと待て。これだけの短時間であれほど大きな馬車を用意したというのか?!」

 フェンリルの疑問も最もだ。しかし私とジュランがそれを考えなかったわけではない。それを押してでも今は少しでもフェンリルを休ませたかったのだ。未だ魔力が完全回復しないフェンリル。その理由が分からず皆ずっとモヤモヤしていた。そんな事は無いと分かっていても未だに魔力を吸われ続けているのではないだろうかと・・・・。

 「我々は3人だけではありません。昨夜も大勢の騎士達と森の中で野営をしていました。昨日ジュラン様に会って直ぐに馬を出し、昨夜大勢の騎士達があの森に到着し待機していました。その時の運搬に使用した物です。だから要人を運ぶ為の馬車でないので申し訳ないのですが、フェンリル様が乗れるサイズとなるとこの馬車しか無く、これを急遽代用させていただくことにしました」

 「なるほど、討伐用の馬車でしたか・・・」

 そう答えたのはアッシャムだ。アッシャムは帝国で働いていたことが在るけど、この馬車は知らないみたいだ。

 討伐用の馬車とは、ドラゴンとか、オークキングのいる群れの討伐をする時に100人以上の騎士や冒険者の武器や食料を運ぶための専用の馬車のようだ。

 そう言われ渋々納得したフェンリルと共に馬車へ向かう。近づくと本当に大きな馬車だった。

 「良くここまで運べましたね・・・・」

 「この馬車には特徴が有って、横幅はどうすることも出来ないんです。多くの荷を積む用ですから馬も2頭やそこらじゃ引ききれない。だから横幅を確保して最大8頭で引けるようにしているんです。その代わり屋根を低くすることが出来るようにしてあるのです。それで森なんかを抜けられるようにしてあります」

 「それでも道幅が必要でしょう?通れない場所もあったんじゃ・・・・」

 「騎士の中にも魔法が得意なものもおります。何も騎士は討伐や戦争をするためだけにいる訳では無いですから」

 「それはどういう意味ですか?」

 「この国の地盤も脆いところはあります。そうした場所に村や街が無いわけじゃない。大雨が降ればそうした所は災害に見舞われる。その救助や支援も騎士の役割なんです」

 なるほど・・・。自衛隊みたいなものか。騎士はこの世界じゃ憧れの職業なのかも!

 ガレの話ではこの馬車で通れない道は土魔法や水・火魔法が得意な騎士で土砂を撤去したり、新たな土台を作ったりして一時的な道を作り出して馬車を通すらしい。その道は直ぐに消してしまうんだって。それを作り出したものがいないとその後崩れたりしたら二次災害になりかねないからだそうだ。避難経路確保のためであっても市民が通るためにはこの方法は使わないらしい。あくまで馬車を通すためらしい。本当に騎士達が帝国国民の為に働ける様に成っているのだと感心する。

 私達は馬車に乗り込み目的地まで運んでもらうことに・・・。

 「あ!」

 「神子様どうしましたか?」

 「私達の目的地知ってるの?」

 私の素っ頓狂な疑問にジュランは吹き出して笑った。

 「何を今更。知っていますよ。神子様の事も知っているようだったでしょう?確認したらどうやらカルマ様が皇帝に直に手紙を出していたようです」

 なるほど、情報源はカルマさんか・・・・。

 私達の目的地も知っていて当然か!なら、このまま楽させてもらおう!!

 1人で盛り上がって腕を振り上げたら皆から白い目で見られた。

 ブルーバレからの道がそもそも近道だった事もあり、数日で目的地に到着するそうだ。騎士に頼んで食料を調達できるところによって欲しいと頼んだら1週間程度持つ食材を既に積み込んであるのでなんとかなるだろうとのことだった。

 ・・・・いや、フェンリルに携帯食なんて食べさせようとしたら私達が餌にされちゃうよ・・・・。

 騎士が私の顔色を読んで、ちゃんと野菜や肉を積んでいると教えてくれた。ありがたや〜・・・。

 あ、でも調味料が少なくなってるんだよね・・・・。ま、贅沢言えないか!

 そうこうしている間にも流石8馬力。あっという間に山間部を抜け、森を背にしている。キャビンから外を見ると前方に大きな街が見えた。今はもう日が沈みかけているため街の外壁の所で夜を明かすらしい。

 確認したら明日、少しなら街で買い物が出来るらしい。調味料調達しなければ!!

 そうとなれば今日はちょっと豪華に作っても大丈夫!張り切って夕飯を作ったよ。

 今日使って良い分の食材を出してもらって、騎士たちの分も含めて作りました。

 スパイスも残っててもしょうがないから、一食分にはならない米も炊いて、カレー風チャーハンを作った。それからオーク肉もカツレツにした。サラダも作って野菜を食べない軍団に野菜を食べさせるためにゆで卵を潰してちょ〜っと薄味のマヨネーズも作って大量に掛けてやったさ!これで野菜も食べるだろう。

 ソーセージも今日の分の食材に大量に有ったから、今朝ブーブー言っていたスープも作った。野菜もさいの目に切って大量に入れてやったけどね・・・・。

 皆も騎士たちも満足そうに食べてた。今日は取り合いをしなくて済むからなのか、ガヤガヤと久しぶりに煩い夕食となった。

 夕食後は片付けを手伝ってくれたからのんびりと紅茶を飲んで過ごせたよ。

 そこでガレに改めてエリクサーの製造手順を聞いてみた。

 先ず蕺草を水で煮たし、そこへヒール茸とドラゴンの血を入れるらしい。その時に一緒に魔力を注ぐらしいんだけど、そこで大体が失敗するらしい。作る量に比例して魔力が必要になるんだけど、少量でもかなりの魔力を消費するらしくそれを意識しすぎると今度魔力が多くなりすぎて失敗。当然少なくてもエリクサーにはならず、蕺草の毒が強く出てヒール茸とドラゴンの血で毒の力が強まり即死級の毒薬が出来るらしい。

 「エリクサーって作っちゃだめなんじゃ・・・」

 「それでもダンジョンなどで発見されるのを待つよりは確実な方法なんです」

 「そっか〜。今はしょうがないのか・・・・」

 そんな話をしているとフェンリルがいきなりとんでもないことを言い出した。

 「エリクサーなら、西の国のダンジョンで得られるぞ!確かあそこの最下層のボスを倒すと隠し部屋の扉が出てきて、そこでエリクサーが得られたはずだ。その隠し部屋はボスを倒すと必ず出たはずだ」

 騎士たちも私も、ジュランもアッシャムも顎が外れるほど口をあんぐり開けて驚いた。

 知ってるならもっと前に言えよー!!

 落ち着きを取り戻してからガレが言った。

 「貴重な情報をありがとうございます。しかし、今はあなた達を無事に目的地まで送り届けること。それから西の国まで行っていたのでは時間がかかり過ぎてしまいます。我々としてはこのまま珠子様にお力添えを頂きたいと思います」

 「そうですね。どれほどの距離でどんな道のりになるのか分からないんです。私もその方が良いと思います」

 なんちゃって!(テヘペロ)本当はエリクサーの作り方を知りたいからなんだよね。エリクサーが在れば私がいなくても皆それぞれ1本づつ持ってれば安心だしね。協力はするよ。でもちゃんと得られるものは得ないと損でしょ!


 一夜を明かし、お昼前までにはこの外壁の所へ集合ということで朝食後解散した。

 私とジュランとアッシャムは街へ入り食料や必要なものの調達をすることにした。

 フェンリルとミリロは近場で運動がてら狩りをすることにしたらしい。

 「フェンリル様はまだ本調子では無いのですよ!ミリロ分かっていますか!」

 「大丈夫。無理はせず気晴らし程度に動くだけだよ」

 そう言ってフェンリルとミリロは外壁沿いの林の中へ掛けていった。

 騎士達は薪や水を調達しに行ってくれた。美味しいご飯を御馳走になっているんです!だって。へへっ。嬉しいね〜。

 「では神子様いきましょう。神子様が手に入れたいのは調味料でしたね。大きな問屋があるそうですよ。期待できそうですね。アッシャムは杖を新調するのですよね?」

 「はい。この杖は人から貰ったもので大切なものでは在るのですが、僕が使うにはちょっと小さすぎて・・・・」

 「そうですね。ずっと思っていました。何故無理して合わない杖を使っているのだろうと。そうですか。大切なものだったのですね」

 ジュランとアッシャムが笑顔で会話をしている。

 私はアッシャムの杖がアッシャムに合っていないなんて思わなかった。確かにジュランの杖は剣程の長さが合って大きいけど、好みの問題だと思ってたから・・・。そうか。杖って自分に合わせたものを使わないと行けないのか〜。

 「神子様は杖いりませんよね!神子様自身が杖みたいなものですから!」

 ジュラン、最近私の扱い雑じゃない?

 そう言うとジュランはおかしそうに笑い出した。

 そうして街へ入り、先ずは私の目的の調味料から調達していく。

 大きいとは言われたけど、本当に大きな店だった。問屋さんが買いに来るほどの店らしく、品揃えも良かった。だから、だからお米も手に入った〜!!ジュランに言ったら大量に買っておきましょうと言われ、100kg購入したよ。店の人も驚いてた。その量でもやはりこの世界では食べる人が多くないのかニホンで10kg二袋買うくらいの金額で買えたよ。銀貨6枚と銅貨3枚だった。それから塩と胡椒と砂糖と乾燥昆布まで手に入ったよ。それ以外も買いたい物が有ったけど、やっぱり胡椒が高くて手持ちが心許なくなってきたらか、先に冒険者ギルドに言って、解体してあった素材を売ることにした。ジュランとアッシャムに相談して鳥系の素材は全部と、ボアの皮と牙を2頭分。それから残っていたドラゴンの爪を出すことにした。

 ギルドの職員さんめっちゃ喜んでたよ。この街には薬師ギルドも在るらしく、そこからドラゴンの素材かそれ以外に薬になる素材は無いかと問い合わせが連日有ったらしい。どうやらこの街からそう離れていない街で高位貴族の方が不治の病に罹ったらしく、それを癒せるのがドラゴンの素材らしい。本当は血か肝が欲しかったようだけど、爪でも十分素材になるらしい。骨や牙、爪って剣とか防具になるんじゃないんだね。

 買い取り金額は全部で金貨4162枚と銅貨6枚になった。これで思う存分買い物が出来る。

 再び店に戻ってくると、店の人が何事かと声を掛けてきた。

 「また何か御用でしょうか?それともこちらに何か不手際でもありましたでしょうか?」

 相当不安になっているのか、声がちょっと小さい。

 「いえ、他にも欲しい物が有ったのですが、全て買うにはお金が足りなくなったので、冒険者ギルドに行って持っていた素材を売ってきたんです」

 私の答えにホッとしたのか店員さんは笑顔になった。

 「そうでしたか、ではどのようなものをお探しでしょうか」

 私は店員さんに肉料理に使えるハーブ類とカレーに必要なスパイスと小麦粉、後在るわけ無いと思っていたものを伝えたら在ると言われそれを買った。

 「いや〜、まさかこれが在るなんて思いませんでした。いい買い物が出来ました」

 私は店員さんにお礼をいい、店を後にした。

 次はアッシャムの杖を探しに街を歩く。店の人にジュランが聞いていたため、魔導具の店には迷わずに着けた。私はこの手の類の事は分からないから店の外で待っていた。暫くするとアッシャムは嬉しそうに杖を持って店を出てきた。

 「珠子様、こんな高価な杖をありがとうございます」

 「いいえ、そんなこと気にすること無いよ。アッシャムだって狩りをして獲物を取ってくれてるんだもん。これはその素材を売って得たお金なんだから。アッシャムもジュランもミリロも勿論コハクも使う権利はあるんだからね。遠慮はいらないよ。そんなこと言うなら1番使う権利のないの私になっちゃうんだから。遠慮しないで!」

 「はい!」

 本当に嬉しそう。大切なものと謂えどもやっぱり自分に合わない道具って使いづらいのかも・・・・。もっと早くに新調してあげるべきだった。

 「今回思わぬ掘り出し物に出会えたので良かったのですよ。このタイミングで」

 ジュランにそう言われ納得することにした。

 因みにジュランが使っている杖は21ゴルド。今回アッシャムが手に入れた杖は56ゴルドだからちょっとした高級品らしい。

 ん〜、ならあの2人にも何か買っていかねば揉めるのでは?そう思い、あの2人にちょうどいい物を買っていくことにした。

 当然食べ物だ!ジュランも何か欲しい物無いのか聞いたけど、フェンリルとミリロと一緒のもので良いと言うので、屋台の串焼き何かを大量に買って帰った。私が欲しかった卵や野菜と、何とコーヒーらしき豆も売っていたので買ってみた。大満足の買い物を終え街を出た。

 待ち合わせの外壁の所へ戻ると騎士たちもフェンリルもミリロもとっくに戻ってきていた。

 「ごめん。そんなに遅くなってるとは思わなかった。直ぐお昼作るね」

 そう言うとフェンリルとミリロはふくれっ面を止めてくれた。騎士達はそんな2人に苦笑していた。

 お昼は卵とお米が大量に手に入ったから勿論丼ものにした。汁だくの豚丼ならぬオーク丼を作ったら皆おかわりしまくってくれた。嬉しいね〜。

 お昼も済ませると直ぐに出発した。あまり一処に留まるとあの男に突き止められかねないとのことだった。早くミネノアに着いてエリクサーを作らなきゃ!そう早る気持ちがソワソワさせる。そんな私を見てミリロが隣で背中を撫でてくれた。

 キャビンから外を見ると何と馬車の周りを騎士が囲んでいた。私は驚き皆を見た。

 「言っていた森で待機していた騎士たちでしょう。ここで合流することになっていたんだと思いますよ」

 ジュランの言葉にホッとした。一瞬取り囲まれたと思ったからだ。そうして再びキャビンの外を見ると青白い歪んだ空間に次々と馬に乗った騎士達が入っていく。次第にこの馬車の馬が吸い込まれこのキャビンもその青白い空間へと入っていく。

 瞬く間とはこんな時間なのだろうかと言うほど僅かな瞬間に外の景色は変わっていた。

 私が外の景色に目をパチクリさせているとガレがキャビンの側へやって来て、キャビンの扉をほんの僅か開けてここがミネノアですと教えてくれた。

 「空間転移を使えるものがいたのか」

 フェンリルがそうつぶやく。

 「そのようですね」

 ジュランも小声でそういう。

 フェンリルの言葉の後、皆の警戒が上がったような気がした。この中の空気がピンと張り詰める。

 「皆、どうしたの?」

 私もつられて小声になる。

 「この魔法が使えるものはそう多くない。それが必ずしも見方とは限らないと言うことだ」

 「この魔法の歴史は決して誇られたものでは無いのです。裏切り、略奪等禄でもないことにばかり使われてきたのですよ」

 キャビンの扉がうっすら空いていたからなのかそのひそひそ話は近くにいたガレに聞こえていたようで・・・。

 「ご安心下さい。空間転移魔法を使ったのは我が帝国魔導師団のものです。身元も確かですよ」

 「その人は何者なのですか?」

 「現皇帝のご子息シール様です」

 え?!それって皇子様ってこと?そんな人にそんなことさせて良いの?!!

 私は外を見渡しそれらしき人を探す。その中に1人ぐったりと騎士の背に捕まるようにして馬に相乗りしている人を見つける。よく見ると馬車に1頭手綱がくくりつけられている馬がいた。

 どうやらその馬に皇子様が乗っていて、魔法を使うタイミングで騎士の馬に相乗りしたのだろう。そうなるとあれは魔力切れ・・・・。

 私は慌てて魔力飴を作り3粒程ガレに預けた。

 「これ、魔力補給に役に立つはずです。コハクの魔力切れにも効いたので」

 「ありがとうございます。早速シール様に渡します」

 そう言うとガレは馬車から離れ相乗りしている馬に近づく。騎士に何言かを話し、魔力飴を渡す。それはその騎士にもたれ掛かっている皇子様の口に入れられる。暫くすると皇子様はもたれ掛からずとも馬に乗っていられるようになったのか、自分が乗ってきた馬に乗り移った。その姿を見届けガレが馬車に近づいて私に礼を言ってくれた。

 「後でシール様も直接お礼が言いたいとの事でしたので、目的地についた後少しお時間をいただけますか?」

 「いや、そんな。お礼を言われるようなものでは無いですよ。そもそもコハクの為に作らなきゃいけなかったのを忘れていたのでちょうどよかったんです」

 そう言ったらフェンリルが私の頭に前脚を乗せてきた。飴を寄越せって事らしい・・・・・。ハイ、直ぐに作ります。この後目的地に着くまで大量に魔力飴を作らされた。こんなに誰がたべるんだ!

 暫くキャビンの中でフェンリルとにらめっこをしているとガレが到着しましたと教えてくれた。

 外に出て辺りを見渡すとそこは小さな村のようだった。その村は例えるならアンデルセン童話の世界のような建物ばかりだった。その景色に圧倒されていると私に声を掛けてきた女性がいた。

 「貴方がコトネ?」

 私はその女性を見る。その人は50代くらいのグレースヘアーのきれいな女性だった。

 「私はカルマの古馴染みのエレノエラというものよ。よろしくね」

 そう言ってエレノエラは私に手を差し出した。差し出された手に自分の手を重ねる。その人は普通の人間の見た目をしていたが、何処かジュランやアッシャムと同じ様な感じがした。

 「エレノエラさんはエルフ何ですか?」

 私の唐突な質問に目を大きく見開くエレノエラさん。次の瞬間は笑っていた。

 「私はカルマと同じ村の出身で、ハイエルフよ!」

 そう、とっても素敵な笑顔で答えてくれたエレノエラさんを私は一瞬で大好きになった。

 ミネノアに到着して騎士達は村を出て、街の宿で休息を取るとのことだった。私達はエレノエラさんの好意でエレノエラさんの自宅に泊まることになった。

 やっと、目的のミネノアにたどり着き、カルマさんの友人に会うことが出来た。それで気が抜けたのか、皆リビングで腰掛けたソファーで寝てしまった。

 翌朝起きると何故かフェンリルは全快していて、元気いっぱいだった。

誤字脱字報告宜しくお願いします。

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