テントーレ王国の実行
魔法授業が行われた2日後、私と中村雄介、新村洋輔、新村知里が王宮の門の前に呼び出されていた。
「何で私達だけ呼ばれたのかな?」
知里が両手で雄介の右手を握りながら聞いた。
この中で知里以外は魔法授業を受けていない。逆を言えば知里は魔法授業を受けている。全員に共通する事が絞り込めない。知里が魔法授業受けていなければそれが共通項になる。しかしそうではない。召喚者と言うなら、振り出しに戻ってこの4人である事が何故となる。何も分からないまま知里以外が押し黙ったまま居ると、私達の前にローグラ侯爵が現れた。
「おはようございます。昨日は良くお休みになられましたか」
表情は笑顔だが、笑ってるように感じない。でも1人そんな事気にしない人物が居た。
「ローグラ侯爵様でしたよね?! 私達何で呼ばれたんですか?」
{{{いや、お前いい加減空気読めよ!!!}}}
私達3人は知里を見て、驚愕の顔をする。
ローグラ侯爵はそんな知里の態度をなんとも思ってない様だった。
「ハッハッハ〜、いやいや大した事では在りません。この4人で精霊の森の調査をお願いしたいのです」
顔は相変わらずにこやかだが、裏がある様にしか感じていない私達3人は数歩後退る。
それが分かっていないこの女だけがニコニコと答える。
「え〜、そのくらいなら何時でも。ドレスも可愛いし、おやつも美味しいし~」
私達3人は知里の言葉に同時にため息を吐く。知里には何を言っても無駄だと…。
隠れた問題児の発覚だった。それはいつもは爪弾きの私でさえも弾かれずにこの場にい続けている事が何よりだった。
そんな無駄な事をしてる間に馬車が用意され、私達は幌馬車の荷台に乗せられた。
「痛っ」
馬車が揺れる度に知里が煩い。痛いのはあんただけじゃないと言いたいが、面倒くさいことが分かるので、誰も何も言わずにいる。
私達はそれぞれ離れた場所で座っていた。
知里は雄介の隣にべったりくっつこうとしていたが、雄介が離れて座るように強く言ったからだ。
そうやって暫く馬車で揺られていると馬車が停まった。
「到着だ。降りろ!」
馭者が乱暴に私達に言い放つ。
荷台の奥に居た私と雄介は自ら降りたが、知里と洋輔は腕を引っ張られて無理やり降ろされた。
ずっと黙っていた洋輔が馭者に文句をいう。
「協力を依頼したのはそっちなのに、なんて態度だ! 後で王様に言いつけてやる」
そのセリフに馭者は笑みを浮かべる。
「あー、せいぜい頑張んな。この精霊の森から出られたらな」
「どういう意味だ」
洋輔の言葉に馭者はあばよっと返し馬車を走らせ遠ざかっていった。
4人が4人を見合い、様子を伺う。
沈黙を破ったのは雄介だった。
「ねぇ、新村、あ、女のほうね、魔法授業受けたって言ってたけど、どうだったの?」
雄介の問の意味が分からずに、首を傾げる知里だったが、「そういうの良いから!」と雄介に又しても強く言われ、怖ず怖ずと答えた。
「何を聞きたいのか分からないから、何を答えれば良いのかわからない」
「順也や智哉は1回目の授業で魔力操作が多少出来るようになったと聞いた。他のみんなも魔力を感じ取れて、少しずつ魔力操作が出来るようになって、魔法も教えて貰ってると言っていた。新村はどうなの?魔力操作出来るようになったの?」
雄介の問いに私はピンときた。そういうことか!と。知里も何となく感づいたようで、下を向いた。知里のその様子を見て、3人とも感づいた。
雄介に至っては、あそこに集められた時点で何となく予感はしていたそうだった。それが知里の様子を見て、確信に変わった。
私達は捨てられたのだ。
と言うことは、ここは魔物の住む森だと言うことだろうと推察した。
皆が死を覚悟した瞬間だった。
私完全に気を抜いてた〜!!
まだ死にたくないのに、どうすれば良いの〜!
頭の中が真っ白になる中、ある存在を思い出した。そう、女神だ! 女神をここへ呼べば、何かわかるかも知れない。あの時どうやって女神を呼び出したか思い出そうとするが、何もわからない。だって、気付いたらお風呂堂々と覗かれていただけだから。
「女神〜カモーン!」
「「「・・・!」」」
3人が私を見て離れていく。
「頭イカれたのか?」と雄介が言うと、
「いや、元からこういうやつだったんだよ」と洋輔が返す。
「醜いんだから視界に入るな!」と、こんな状況でもブレない知里。ある意味大物!
私は念じて見るが女神は現れない。
それもそのはず、女神が私の声に答えることを断固拒否しているからだ。
王国側の推測は当たっていたのだった。
神をも殺せる魔力を持つ私を、人間同士で抹殺してほしかったのだ。いつ神界に怒りの矛先が向くのかわからない。だから、女神は願ったのだ。自分たちの安寧の為に私が居なくなることを…。
「俺は自力で王都に戻ってみせる。お前らも自力で頑張れよ!」
そう言って雄介はこの場を離れてゆく。聖騎士のスキルを持つ雄介がこの中では今の所1番強いだろう。その雄介が居なくなれば、残された者の死は確実なものになるだろう。
そんな事を考えていた時、不意に腕を掴まれた。
「行くよ! 置いてかれたら死んじゃうでしょ!」
そう言ったのは知里だった。
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