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第二十三話【何事もなかったかのように。】

◇◇◇ジェイド視点◇◇◇


正直、頭がどうかしているだろう。昨日、リアの身にあれだけの大きな事が起こって、リア自身は覚えていないとはいえ、次の日には僕から告白って頭がおかしすぎる。

でも朝食の時に頭の中に、はっきりとクルス・リスメギスの声が聞こえた。


『時間は待ってはくれませんよ。』


普通、賢者の石とやらは所有者にしか声が届かないはずなのに…。そもそもクルス・リスメギス並みの錬金術士が賢者の石になったなんて例がないせいか。若くして自ら賢者の石になりたがる奴なんていない。何もかもが異例な状態の未知の賢者の石。何が起こっても不思議ではないか。

こんな複雑な気持ちで告白させるなんて…覚えておけよクルス。僕への復讐か?


告白してみると、リアの顔が真っ赤になっていて驚いた。ちゃんと僕を男性として意識してくれているのが分かって嬉しくなってしまった。今すぐにでも、その唇にキスをしてしまいたくなる。


「リア、その…すまない。」

「ふぇ…?」

なんともなさけない声を出すリアが可愛すぎる。たまらん!!


「キスをしてもいいかな?」

「キッ!?きひゅ・・・?」

「嫌だった?」

「い、嫌ではないで…しゅ。」

相当パニックなのか噛み噛み状態なエルヒリアを見て、より一層愛おしくなってしまった。


「普段はどこか大人びていてしっかりしている君が、僕の為にこうも乱れてくれるのは嬉しいね。」

しっかりと思っている事を言葉にしてみた。でないとリアには浸透しないからね。

そっと優しく顎を持てば、ぎゅっと目をつぶるリア。目をつぶったという事は同意を得たという事かな?

優しく触れるだけのキスをしてみたが、これでは彼女に伝わらないと思い「口をあけて。」と言ってみれば薄っすらと口が開いてそこへ舌をねじ込んだ。ちょっと早いとは思ったけれど、婚約もしているし大丈夫かな。これくらいしないと意識してもらえないと思ったからね。


口を離せば真っ赤になって少し行き苦しそうにして口元を抑えるリア。

「ん~~~~!!」となんとも言えない声をあげる。喜んでいるのか、困っているのかどっちだろう?


「リア、好きだよ。」

「あの…えっと…いつから…。」


ゆっくり離れて椅子に座った。


「リアが僕とダンスを踊ってくれたあの日からかな。あの時、何重にも魔力漏れを防ぐ魔法をかけてもらっていたけれど、臆する事なく踊っていたし、何より他の男性に比べて僕はとても小さかった。それを恥じらう様子もなくて嬉しくてね。」


なんでも口にするというのは恥ずかしいものだ。少し照れてしまい顔が熱くなりそうだったけれど、グッとなんとか自分なりにこらえて、それを悟られないようにポーカーフェイススマイルを作る。


「ごめんなさいっ。私全く気付かなくって。その、飲食店や錬金術の事ばかり考えてて…。」

少し申し訳なさそうな顔をするリア。なんとか顔の熱を逃がそうと手で両頬を押さえる。


「うん、知ってるよ。だからこうして、これからは何でも口にしていこうと思ってるし。そもそも、僕はリアの事が好きだけれど、生き続ける事に自信がなかったからね。ジグルド先生に出会って生きる未来が見えて、やっとリアとの未来を望んで良いんだって思って今に至るというね。」


「それって、もしかして、もう死なないって事ですか?」

「うん。魔力を放出してしまう体質のせいで死ぬ可能性は0に近いよ。」

「良かったですね!私もちょっと諦めていましたから…。治す手がかりを探そうとはしてたんですけど…。」


リアの発言は危なかっしい。僕の未来がまるで見透かされていたかのようだ。

まぁ、実際見透かされているか。前世で僕らが登場する物語を見ているせいか。だけど、それを簡単に口にするあたり…リアは純粋というか、どこか抜けているというか。


「リア、兄上から聞いたよ。この世界が物語の中の世界だって言う事を。」

「あ、え。そう‥‥ですか。」


リアの顔から完全に熱が引いてしまっていた。しまった、今話すべきじゃなかったと後悔する。


「だから、これからは遠慮なく何でも話してほしい。恐らくリアの事だろうから、僕が死んでしまうから僕との婚約を望んだんだろうけど、それは気にしなくて良いから。僕自身も生きるという事を諦めていた。」


「何でもお見通しなんですね。」と言って困ったように笑うリア。


もう一度席を立ってリアの手を持ち立ち上がらせてから、包み込むように抱きしめた。


「ジェイド?」

「リア、今までの事はどうだっていい。これからは僕の事も考えて、僕との未来を視野にいれてほしい。リアがやりたい事はなんでも叶えるよう努力もする。どうか僕を…感じて。」


心の奥底で罪悪感が満ちていた。昨日あんな大変な事があったというのに、リアは覚えていないけれど、リアから大好きだった人を奪ったという罪悪感。本来なら傷ついたリアに優しくして、もっと簡単にリアの心を手に入れるはずだった。だけれど、クルス・リスメギスはそうはさせなかった。

見事な魔法の力でリアを傷つける事なく終わったのだ。

罪悪感もあるけれど、気持ちだけが焦ってしまう。早く聖女へ繋いでもらわなければ、自分は神の強制力でリア以外の人を強制的に好きになって、リア以外の人と結婚してしまうのではないかという恐怖。罪悪感と恐怖でどうにかなってしまいそうだ。


「わ、わかりました。ちゃんとジェイドとの事は視野にいれます。」

「うん。リアの事業が円滑に進むように、また人をおくるよ。」

「ありがとうございます。」

「困ったな。離れたくない。」

「え!?えっと、えーっと。」

「結婚しよっか。」

「はい!?」


しまった。つい感極まってしまった。だってリアすっごく良い匂いがするし、抱き心地だって柔らかくて愛おしいっていうか。正直早まりすぎた。冗談だって言おう。よし、言おう。


「えっと、、、」

「わ、わかりましたっ!!王族の教育も受けてちゃんと準備しますっ!」

「へっ!?あ、うん。えっと、さ、最短でも準備に1年はかかるから…その、ゆっくり、ゆっくりでいいから。」


僕とした事が、もはや顔の熱を抑えられなくなっていた。リアが離れようとするが後頭部を抑えてガシッと抱きしめた。


「えっ、えぇ!?」

「もう少しだけこのままでいていいかい?」

「はい…。」


◇◇◇ミア視点◇◇◇


ミアは知っています。クルス・リスメギスという錬金術の先生がいらっしゃった事を。

お嬢様が心底敬愛なされていた方です。

ミアは以前、不覚にもプレジャデス王子殿下の魔法にかかってしまい、お嬢様の重要機密をペラペラと口を滑らせてしまった事もあり、クルス様に強力な魔除けを用意して頂きそれを肌身離さず所持しておりました。

昨日もミアはギルバートと共に影から中庭へ行くお嬢様を見守っておりました。

すると、とんでもない話と共に眩い光と共にクルス様が消えて、お嬢様の後ろにジェイド様が現れたのです。何が何やらサッパリでした。隣にいたギルバートなんて「ここで何をしていましたっけ。」と言って少し身を乗り出して王子を見るギルバート。


「ギル、もしかして…クルス先生とお嬢様の会話を覚えていないのですか?」

「会話?賢者の石の声は所持者にしか聞こえないだろう?何を言っている?」


やはりそうですか。そうでしたか。クルス先生…貴方は…。

お嬢様の為に消えてしまわれたのですね。そして、私には記憶操作の魔法が聞かない事がわかっていて、遺書のような謎の手紙とエルヒリア様に全財産を譲渡する書類を私に送りつけてきたのね。


確かにお嬢様とジェイド様の恋仲を心より願っておりましたが…これでは…あんまりです。


お嬢様の部屋扉の前で不覚にもしゃがみ込んで声を押し殺して泣いてしまいました。

読んで下さってありがとうございます!

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