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第十話【ジグルドの弟子】

グルドに連れ去られて、僕スイートローズ国 第二王子ジェイドは魔塔に来てしまった。

「一応、僕はこの国の王子なのですが。」と一言嫌味を言ってみた。

「ふむ。」と言ってからジグルドはローブの袖をめくり、綺麗な白い腕を見せれば、薔薇が蔓になっているようなタトゥーが浮きでてきた。

「これは?」

「触ってみるが良い。」と言われ念のため安全なのかどうか確認すれば記憶を見るだけだと言われたので触ってみた。するとセピア色の記憶が劇を見るかのように脳内に広がった。



◇◇◇

鎧を纏った美しい金色の長い髪の女性とピンク色の髪の毛をした背の高いローブを着た男性が王城らしきところの前で見つめあっていた。

男性は「君を一生守る。」と熱を帯びた瞳で見つめていた。

「だが、私は動物だ。ジグルドのように長い時間を生きられない。」

「いいや、君はヒトだ。俺は先祖の血の呪いで長寿なだけだ。」

「それでも、ジグルドに不幸を背負わせてしまう。だから、私は…」

◇◇◇


「っ!?今のは…?」と困惑して声を出してしまった。

「どうだった!?全て見れたか?」と僕の肩を持ってグラグラ揺さぶって問うジグルド。

「い、いえ。ほんの一部。二言三言だけの会話を見ただけです。」

「なんじゃと!?先祖帰りなはずじゃのに。魂の輝きも…ん?」とジグルドは目を細めて僕をじっと見つめる。気まず過ぎて今すぐ帰りたいと思ってしまった。思わず顔を青くして顔を逸らしてしまう。

「なっ!?そんな馬鹿な。よく見ると別の魂ではないか。だが、微かにローズの輝きが見える。どういう事じゃ?こうして目を凝らさんと間違えてしまうほどに、そっくりじゃ。」

唖然とした顔をして、目をパチクリさせるジグルド。何を言ってるのかさっぱり理解できない。

僕が初代スイートローズ王の先祖返りだと思っていたが、よく見れば違いましたという事なのだろうか?

「あの、僕はどうすれば良いですか。」

「いいや。わからん。」というジグルドの回答に、もう解放してほしいと強く思ってしまった。

「その、気分が悪くならないのですか?僕に触れると具合を悪くする人が多いのですが。」

「魔力が体から漏れ出とるからな。魔法学校に通えば解決するじゃろ。」

「いえ、もう外に出ただけで、人に被害が出るので基本部屋から出る事ができないのです。」

「ふむ。ならワシが直々に魔法を教えてやるとするか。その魂に免じてな。今日からジグルド先生と呼ぶが良い。」と、やっと僕の肩を離し、嬉しそうにバンッと胸をはって提案するジグルド。

でも、まぁ、この体質を治せるのなら良いかと思い、とりあえずは提案を受け入れる事にした。

「よろしくお願いします。先生。とりあえず、父上に一筆書きますね。」と顔を引きつらせながら微笑んだ。ジグルドは嬉しそうに「ワシに弟子ができた!!そうだ!ワシの婚約者殿にも報告しておかねば!!いきなりお前さんがいてはビックリするからのう!!」と言って部屋を出て行った。


◇◇◇


ジェイドから、兄との事、ジグルドの事が書かれた、とても濃厚な内容の手紙を受け取ってしまった。どうなってるの?本編では一切そんな事なかったじゃない。そうだ。クレアに相談してみましょう。そう思い、分厚い手紙を持ってクレアのいる裏の屋敷へ移動した。


仕事部屋の方にいるとの事だったので、訪ねてみれば、クレアは早速縫物をしてくれていた。

手縫いで何着も服を作るのは難しいわ。この時代のミシンは大きくて手縫いした方が早いかも知れないくらいだ。後でこの事も考えなくちゃ。

「どうしたの?」と聞かれたが、ジェイドの魔力の事は秘密だという事を思い出した。来てみたもののなんて言おうか迷っていると、スッと視界にピンク色の髪が映った。

「なんじゃ。どうしてここにおるのじゃ。」と声を発するジグルドだが、存在がいると認識するまで3秒かかった。

「うわぁっ!?」とクレアと一緒に驚いた。

「婚約者殿、どうやって塔を抜け出したのじゃ。まぁ良い。聞いてくれ!ワシにもとうとう弟子ができたのじゃ!」

一瞬不服そうな顔をしていたが、機嫌が良さそうに弟子の話をするジグルド。

「弟子って、魔塔にいる人達は弟子ではないのですか?とても慕っていらっしゃいましたけど。」とクレア。

「あー…あれらは、勝手に住み着きよった。放置しておったら勝手に魔塔等と名付けよって、まぁ心地よいから放置しておるが、気に入らんなら全員追い出すぞい?」

「い、いえ。大丈夫です。御弟子様が出来て良かったですね。」と少し青ざめた顔で顔を逸らして断るクレア。

「じゃが、難儀な事に男なんじゃ。婚約者殿に不便な思いをさせてしまうかもしれぬ。」

「な、なら!そのお弟子様の修行が終わるまで私ここで大人しく待っておりますわ。大親友のリアと一緒ですので寂しくありませんし。」と命一杯作り笑いをするクレア。

いつの間にか大親友になっている。それほどジグルドに軟禁されるが嫌なのであろう。

「ふむ。弟子の婚約者と一緒か。なら安心じゃな。」と言うと右手をぐっと握ったかと思えば赤い光を放ちながらゆっくり開く。手の平には美しい金の指輪がのっていた。指輪にはルビーとダイヤが混ざったようなキラキラとした石がはまっていた。それを左手でつかんで、クレアの左手を掴み、ゆっくりと薬指にはめた。

「綺麗…。」と呟くクレア。確かに見たこともない宝石だ。綺麗と思わず言葉を漏らしてしまう気持ちもわかる。

「何かあれば、いや、何でも良い。声が聞きたくなったりしただけでも良い。この指輪にキスをくれ。ワシは何をしていても必ず駆けつける。」

「ありがとう…ございます。」と少し赤面するクレア。

「では、魔塔に帰るとするかのう。リアと言ったか、もう心配いらぬぞ。わしの婚約者殿を頼んだ。」

「え、あ。はい。」

「しかし、嬉しいのう。ワシの心臓の欠片を綺麗と言うてくれて。」と言ってクレアの頬にチュッとキスを落として消えるジグルド。


「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」と絶望的な声を上げるクレア。

確かに、あの綺麗な宝石がジグルドの心臓の欠片だと知ると、純粋に綺麗だとは思えない。むしろ臓器。

「落ち着いてクレア。」

ギャラクレアがグシャグシャと頭を掻くのでそれを止めてなだめる。

「ヤバいのよ!!いつもいつも!!自分の体の一部を食べさそうとしたり、私の使用済みの下着を…いや、今のは聞かなかった事にしてちょうだい。」と、やっと落ち着いて椅子に腰かけるクレア。

「ジェイドがジグルド様の弟子になった話をしようとしたの。こんなのストーリーになかったじゃない?それぞれのキャラクターが変な行動をとってるみたいなの。」

「確かに変だわ。ジグルドの異常さを見れば一目瞭然よ。聖女だった時はずっと可愛いキャラだったじゃない。カッコ良さなんて皆無だったわ。それが今はこれよ。異常な執着心にカッコ良いとこを見せようとたまにでっかくなるのよ。どうなってるのよ。」

「それは、摩訶不思議ですね。」

「ぷふっ!あっははは!摩訶不思議って表現面白いわね。とにかく、私達はここがゲームの世界ではないってちゃんと自覚して生きないといけないって事よ。こんな事なら普通のモブと婚約した方がマシだったかもしれないわ。」と話しながら裁縫作業を始めるクレア。

「そうですね。私も気を付けないといけないかもしれませんね。」

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